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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

「信用」と「信頼」の違いをご存知ですか?

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かなり前に、「『怒る叱るの違いをご存知ですか?」などという記事を書かせていただきましたが、今日は3年半ぶりに似たような言葉あそびをひとつ。

さて、「信用」と「信頼」、意味の違いをご存知でしょうか。
広辞苑には、以下のように書いてあります。

  • 信用:信じて任用すること。
  • 信頼:信じて頼ること。

おい(^^;)。広辞苑は、どうもこういう「熟語をただ分解しただけ」の説明が目立ちます。

よくよく考えると、「信用取引」という言葉はあるけど、「信頼取引」という言葉はない。また、「信頼関係」という言葉はあるけど、「信用関係」という言葉はありませんね。

私は、このふたつの言葉には、大きく2つの違いがあると思っています。

1.過去を「信用」する、未来を「信頼」する

信用とは、何らかの実績や成果物を作成して、その出来栄えに対しての評価のことをいいます。そのため「信用」するためには、実績や成果物が必要不可欠なわけです。この実績や成果物といった、過去の業績に対して「信用」するのです。

一方「信頼」は、そうした過去の実績や業績、あるいはその人の立居振舞を見たうえで、「この人ならこの仕事を任せてもちゃんとしてくれるだろう」とか「この人なら私の秘密を打ち明けても大丈夫だろう」などと、その人の未来の行動を期待する行為や感情のことを指します。もちろん「信頼」するためには何らかの根拠が必要ですが、その根拠を見たうえで、未来を「信頼」するというわけです。

そう考えると、「信頼」してもらうためにはまず「信用」が必要です。「信用」なしには「信頼」を勝ち取るのは難しいでしょう。

2.物理的に「信用」する、精神的に「信頼」する

前述のとおり、「信用」は何らかの実績や成果物を必要とします。その人の過去の行為(事実)や作り上げてきた作品といった物理的なモノに対して「これは大丈夫だ」と信用するわけですね。ですから「信用」は、モノを評価する人から、そのモノを作った人に対する片方向になるのです。

一方「信頼」は、その人の実績や過去の振る舞いを見たうえで、その人の人間性や習慣、クセ、感覚といった目に見えないものに対して期待し、その期待に応えてくれるだろうという気持ちの表れです。気持ちに気持ちで応えるのが「信頼」です。「信頼」は気持ちと気持ちのつながりですから、双方向です。

さて、仕事にしてもプライベートにしても、気持ちよく活動をするためには双方向の信頼関係を構築することが欠かせません。次回は、「相手に信頼してもらうためには?」というテーマで書いてみることにします。

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