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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

「怒る」と「叱る」の違いをご存知ですか?

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いや、辞書の上での意味はほとんど一緒なんですけどね。
広辞苑なんて、「おこる」の意味に「叱る」って書いてあるぐらいですから。

ただ、コミュニケーションとか育児とかの世界では、「怒る」と「叱る」は別だ、と教えているものが多いですね。で、色んな文献や資料、意見などを読みあさってみたんですが、その中で(私なりに)もっともしっくりくる文章を見つけたので、ご紹介します。

それは、

   「自分のために怒る。相手のために叱る。

というものです。

「怒る」とは、相手が自分に悪い影響を与えたり、自分が指示したとおりに動いてくれなかったりした場合に、自分が腹をたてたことを相手にぶつける動作なわけです。「オレハオコッテンダゾー」ということを相手にわかってほしいとか、うっぷんを晴らしたいとか、相手を困らせたいとか、そんな理由ですることなんですね。そのような自分の目的が果たせればそれでいい。相手がそれでどうなろうが知ったこっちゃない、というわけです。

一方「叱る」とは、相手が自分を含めて誰かに悪い影響を与えたり、自分が指示したとおりに動いてくれなかったりした場合に、相手をより良くしようとする注意やアドバイスを、あえて声を荒げたり語気を強めたりして相手に伝える動作です。(会社の場合だと)金銭的・社会的に損失になるような行いだとか、(育児の場合だと)生命に関わる行いだとかを是正する、そして本人が同じ間違いを繰り返さないようにする、そんな理由ですることなんです。

人間は感情の生き物ですから、「怒るな」と言われても難しいですよね。相手が対等の立場だったら怒ってももいいと思います。ただ、感情的に怒るとかえって逆効果になる場合もあります。相手がもし部下だったりかわいい子どもだったりする場合は、感情的に怒る前に一瞬「まてまて」という気持ちを持って、それを「相手のためになるように叱るにはどうすればいいか」を考えるようにすれば、より効果的に自分の気持ちを相手に伝えることができるようになるんじゃないか、と思うんです。

「相手のために叱る」ということを突き詰めれば、実は上司に対して叱ることもできるんじゃないかと。これはとっても難しいことですけどね。例えば朝令暮改な(朝言ったことと夕方言ったことが違う)人に「部長、さっきと言っていたことが違うじゃないですか!」と怒ったら、それこそ火に油を注ぎます。ここはひとつ冷静に、「部長、その指示の真意がよくわかりません。我々にもわかるように、ちゃんと説明してください」とでも言ってみてはいかがでしょうか。これでも、「オマエの言っていることはわからん、わかるように説明しろ」と叱っていることになるんですよ。

さて、効果的に「叱る」ために重要なことを3つ。

  • すぐ叱る。あとになって「あの件だけどね・・・」と叱るのは効果が薄い。
  • 短く叱る。言いたいことは山ほどあっても、ダラダラと説教するのは意味がない。できれば二言、三言ぐらいで。
    それから、叱ったらすぐその場を離れること。ニラミをきかせると逆効果。
  • 1対1で叱る。みんなの前で叱って恥をかかせる必要はない。
    部内で最もデキるヤツがミスをした場合は、あえてみんなの前で叱るという超高度な技もあるが、失敗すると怖い。

効果的に叱って、デキる部下を育てましょう。

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