ブロガーズミーティングで講演-自発的な人材を育てる
先日、ブロガーズミーティングで『なぜ、自発的な人材が育たないのか?どうすれば、自発的な人材が育てることができるのか?』というテーマでお話する機会をいただきました。
小俣さんや大木さんに早速コメントをいただきました。ありがとうございます。
どんなことをお話したかをカンタンにお話しますと…。
自発的…という言葉を噛み砕くと、
- 自ら気づく
- 自ら行動する
ということになるかと思いますが、
- 自ら気づかせるためには?
- 自ら行動するよう促すためには?
という観点のお話をしました。そのために必要な3つのシンプルなポイントは、
- 聞く
- 問いかける
- 褒める
という点で、その理由としては、
- 問いかけることによって、相手が思考するトリガーを作り、その習慣が「自分で気づく」という回路を強化すること。(アドバイスだけでは、「自分で気づく」機会を奪ってしまう。また、丸なげでは一部しか育たない。)
- 小さな成功体験を褒めることによって、「うれしい」という感情が生まれ、やる気になること。
そのための具体的な事例を体験や理論を元にお話しました。
けれども、これらは信頼関係が伴わないと逆効果になることもあります。(参考:JR西が上司と部下の関係を研究 仲が悪ければほめても逆効果)では、信頼関係を築くためにはどうしたらよいのか?となりますが、いろいろと試した結果、「話を聞く」ということがもっとも大切なのではないかなと考えています。
そこで、「聞く」「問いかける」「褒める」の3つのポイントについて、エッセンスをお話ししました。(ちなみに、私が人の管理をやるようになって、最初にやっていたことは、これと真逆の「指示命令する」「アドバイスする」「叱る」でしたね。なかなかうまく行かなかったことを思い出します。)
「聞く」「問いかける」「褒める」と書いてしまうと、極めて当たり前の話のようにも思います。あなたも「そんなこと当然だ」「私は部下の話をちゃんと聞いているよ」と思っているかもしれません。
けれども、自分のことを考えてみると、例えば「聞く」1つとっても、私たちは心底話を聞いてもらったという経験があまりありません。ということは、多くの人が「話を聞いている」と思っているだけなのかもしれません。(でなければ、もう少し話を聞いてもらったという体験があってもいいはずです。)
▼うまく行かないときは、別のやり方をやる
今回は、自発的な人材を育てるためには、「聞く」「問いかける」「褒める」が大切だというお話をしましたが、私は「うまく行かなかったら別のことをやってみる」というのが基本的な意見です。そういう意味では、教えることもアリだし、叱ることもアリ。プレッシャーをかけることもまた、アリ。チームがそれで上手くいっていればそれでよし。
「聞く」「問いかける」「褒める」などのキーワードがあると、
- 教えちゃダメ
- アドバイスしちゃダメ
- 叱っちゃダメ
- プレッシャーをかけちゃダメ
という二元論になってしまいがちですが、そうではありません。どっちもアリです。
組織の成長過程で最適解は違うでしょうし、組織の資質によっても違うでしょう。例えば、軍隊では指揮統制がとても大切だと思いますし、指示命令は非常に重要でしょう。また、組織が新しいころはリーダーが決めて指示することも必要でしょうし、グイ ッと引っ張るリーダーシップも必要でしょう。
けれども、多くの方が「プレッシャーをかけても動かない」「指示しても思う通りに動いてくれない」とお悩みなのではないかと思います。(もしくは、そうされている立場の方も多いかもしれません。)プレッシャーや指示命令も短期的には有効だと思いますが、長い目で見たときにはそれに加えて「職場としての安心感」も重要ではないかと思います。3つのポイントは、それを作ってくれます。
人が成長し、組織が変わり、今までのやり方ではうまく行かなくなったとき、1つの選択肢として、「聞く」「問いかける」「褒める」という自発的な人材を育てるための方法論を知っておくと、グンと幅が広がります。引っ張るリーダーシップというよりも、後押しするリーダーシップと言えるでしょう。
そのようなことをお話しました。
今回は、あえてコーチングという言葉を出しませんでした。なぜなら、コーチングは「話し方」や「質問の仕方」、「タイプに分ける」など、テクニックに関する情報が多く、テクニック論に思われたくなかったのが理由です。1つ1つはツールとしてとても有効だと思いますが、人相手には、「ああすれば、こうなる」とはいきませんし、私たちはそんなに単純じゃない。
もっと大切なことは、テクニックでどうのこうのするのではなく、「一人ひとりをちゃんと見る、聞く、感じる」というリーダーのあり方だと思います。それを磨くためにも、基本のキである「聞く」「問いかける」「褒める」は大切だなぁと思うのが、現場を通して学んできた実感ですね。
いやぁ~それにしても、いつもお話させていただく場と雰囲気が違うせいか、やや緊張しました(笑)。