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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

映像で伝える意味を考えるTechCrunchのTechCrunched

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人にモノを伝える方法はいくつもあるわけで、たとえば先日エントリーにした電子書籍の話で言えば基本的に文字で伝える方法のバリエーションであるわけです。後は絵だとか映像とか音声だけとかいろいろ方法があるわけですが、それぞれ向き不向きあるいは得手不得手があるわけです。それ自体良い悪いの話ではない。もちろん受け取り手側は受け取り手の理由で選択するわけですが。

 

そういえば昔CNETのテレビ番組が日本でも放送されていた事を知ってる人って余り居ないのかも

元々CNETってテクノロジーに特化した番組制作会社であったことを知ってる人って日本で知ってる人って意外と少ないかもしれません。これは米国と日本でのCNETというブランドの辿った道筋の違いがあるんで仕方ないんですが、海外のメディアなり何なりのブランドの位置付けとかビジネスの内容が日本国内のそれとは異なる事ってのは良くある話です。

因みにCNETのブランドの変遷の中にZiff Davisというブランドが絡んでいて、そこにまたITmediaさんが絡んでいるという資本とブランドの絡み合いってのがあるんですが、実はマーケティングなり広報なりという仕事をやってる人はそのあたりも含めた合従連衡の話を知ってる知ってないでちょっと色々ありますよ・・・ ってのは余談。

で話を本論にもどすと、実は米国にはテレビプログラムとして業界の動向、なかでもIT業界の動向を伝えるプログラムと言う流れがずっと存在してる事なんです。そしてそこでは編集者や記者自らが語りかけ、更に読み物としての原稿も書くと言う事もやっていたりします。もちろん純粋に映像だけの人、文章だけの人もいますがが、それはその人それぞれの話。でも、そういう世界がテレビ番組と言う形で成立し、Web上でのストリーミングの世界も巻き込んで成立しているという所を知ってる知らないでは全然物の見え方が変わってきます。

 

編集者が直接語りかける事の意味

記事として書かれたものを読むと言うのは当然あります。誌上・紙上であれ、Web上であれ、何かしら文字に触れることは可能です。そしてネタの切り口や言い回しなど文字から伝わるその人なりの部分というのもあるわけです。が、どうしても本当はその人はどんな風な聴きかをしてそんな話を引っ張って来たのか、本当の所はどんなふうにそのネタについて感じてるのかってのは判らなかったりします。

でも個々の編集者のそこまでを知りたいの?

単純に編集者という肩書にしてしまうと、そこまで知りたいと思う人は少ないかもしれません。ただ、正しい肩書を未だ思いついていないのですが情報を整理して誰かに伝えるという役割を持ってるその人が、そもそもどんな行動原理なのかってのを知りたいと事があります。特に自分自身が若干でも利害関係を持ちそうな内容について触れる事がある人の場合には。

でも個々のその人のそんな事を知ることが出来るの?

それが実は映像じゃないかと思います。もちろんその人を直接見る機会として講演会とかはあるかもしれません。でも離れた場所で一発切りの話を聴いたところで判断できる要素はそれほどありません。でもたかだか60秒くらいのビデオクリップであっても、その映像の中の表情や口調で伝わってくるものがあります。しかもそれがレギュラー化してくることによって、最初のころ頑張って演出していた部分というのが落ちてきて「素に近い状態」になってきますから、そうなれば色々と見えてきます。

でも何が見えてくるの?

バイアスのかかってる方向と深さ、って所が私としては気になります。因みに人間だれしも主義主張がありますし立場もありますから、物の見方見え方理解の仕方、そして主張の仕方には何かしらのバイアスがかかっているものです。それ自体は悪い話ではない。ただし、それが自分の許容できる種類のもの、あるいは許容できる範囲内なのかどうなのかって所は見たい。そしてそれを理解したうえでその人の「話」を聴きたい。

これがワタシの情報に対する欲求の一つの大きな柱です。

 

そしてタイトルにあるTechCrunchのビデオクリップの件

2005年に米国でスタートしたTechCrunchは現在のWeb系メディアの中では比較的新しい部類に入るかもしれません。日本では2009年から日本語版として運営が開始されています。その中で基本的には文字が主体で、しかも流れてゆく情報を整理してコメントを付け加えるというスタイルなのですが、メディアとしての主張の部分が比較的薄いという印象を持っていました。

もちろんどんな話題をピックするかってのは編集機能が必要な話ですし、実際Google Newsとかとちがって人がキチンと介在しているわけですが、メディアとしての顔の見え無さについては他の経済系メディアやそれなりに歴史を誇るIT系メディアと何ら変わる事は無いという印象を持っていました。

でも、ここで、遂に編集者が顔を出したのが先週のこれ。

まだまだ乱暴です。それこそCNETの米国サイトにあるような洗練されたテレビプログラムとしてのビデオクリップによる物事の解説とは違います。もちろんソフィスティケートされた物言いが良いかというと多分立ち位置が違うのでそれが正解だとは思いませんが、なにより顔を出して喋るという行動に出たことは良いことだよねと思います。

私ごときが褒めてどうするよという話ではありますが。

 

翻って日本のメディアは編集者が顔を出さないんだろうと言う話

もちろん色々な立場やら事情が巻きついてるのは知っています。それが嫌だと新たにメディア立ち上げる人たちが居て、新しい動きが色々と起きているのも知っています。そもそもメディアの中でも文字と音声と映像の世界の間に大きな違いがあることも理解しています。

でも、たとえば編集者の人が何かの記者会見に出た後にそれに関する解説を読むのはまぁそれなりなんですが、たとえばその話をビデオアーカイブとかで見ることが出来るとその人の表情から色んなモノが読み取れたりしておもしろいんですよね。

たとえば幸か不幸か直接面識のあるジャーナリストの方もいらっしゃったりしますが、実際にお会いする前と後ではやっぱり全然違うんですよね。これは一般の世界でも良くある話ですが、何かを伝えると言う仕事の中であればなおのこと、そもそもどういう人なのかを知りたい。そのうえでその人がどういう語り口をするのか、それを掲載している媒体ってのはどういうポジションなのか、などなどと、映像で直接語りかけてくることによって得られるものっていうのは、単純にそこにあるだけの情報だけじゃないと思うんです。

だからこそ、色んなメディアの編集者、特に編集長レベルの方には、もし自社でWeb系のメディアがあるんだったら簡単にできるんだから、是非とも映像を通して読者に語りかけていただきたいなと思うところであります。

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