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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

私ごときが心配する話ではないのだろうけど、スマートグリッド系の通信インフラ周りの耐用年数がちょっと気になる件

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巷で話題のスマートグリッドの話。日本でも色んな形で取り組みが始まり、たとえばスマートメーターとかについては具体的な製品が出始めているようです。当然ですがそれと歩調を合わせるようにそれらの機器を繋ぐネットワークの規格化の話も進んでいるわけですが、ここで通信屋というか無線屋としてなんとなく気になることがひとつ。

それらを繋ぐネットワークって誰が運用するんだろ?

 

もちろんいわゆる公衆通信ネットワークとは異なるものになるんだとは思うんですけどね

通常個人や企業が利用できる通信ネットワークのサービスの場合、特に最近の技術の進展を考えても多分10年とか20年で完全に代替わりするのがひとつの流れじゃないかと思うんですね。もちろんそれ以上に長生きしている規格なりサービスは存在していますが、世代的にはどこかで新しいものに切り替わってしまっているわけです。ただ、何かしらの理由によりそれらを止められないとか、置き換えが出来ないとかの事情があって生きながらえるものがあるはずです。

で、そういった規格面での話と並行して、当然機器周りを何時まで作り続ける事ができるかとか、耐用年数やら保守体制やらの問題もあったりするわけで、本当に長生きさせるのは難しい話です。

いずれにせよ陳腐化という問題は比較的身近な問題として存在する世界だといえるんじゃないかと思います。

 

目的が特定されたネットワークだと当然考え方が変わるわけで

色んな業務用無線やら特殊用途の有線通信サービス、あるいは一般の人が機器を持つことすらできない衛星通信などのネットワークの場合には、そのあたりの感覚が全く異なるわけです。規格を制定すれば、その規格に沿った機器を利用する主体が存在する限り面倒見るというものだったりするわけです。

ただ、こちらも当然社会のニーズなどによって陳腐化するわけですし、逓減するはずの運用コストが物価の上昇とか人件費の高騰など色んな理由で当初の目論見とは異なって上昇を始めたりとか、10年とか20年とかのスパンで考えるといろんな事が起きたりもするわけです。そのあたりをどこまで面倒見るかってのは別の次元で考える話ですが、公衆サービスと同じようにどこかでケリをつける必要があったりするものだったりするわけですよね。

 

というコトを踏まえつつ、どういうネットワークを利用してスマートグリッドのサービスが稼動するのか、ちょっとだけ気になります

通常ネットワークを利用したサービスというとアプリケーションレベルの話に目が行きがちですが、必ずそれらを繋ぐ物理的な伝送経路が何かしら存在し、それを誰かが作り、誰かが保守し続ける必要があるわけです。

だからといって今現在存在しないテクノロジーを意識して長生きするものを考えろっていうのは酷な話ですし、実際今後の製造なり運用なり何なりといった技術の発展は今をベースにしてゆくわけですから、いきなり違うものが出てくるとは思えない。流れはあるわけです。

ただ、たとえば10年前、20年前の技術がそのまま運用されているもの、特にIT系や通信系の世界ではそれほど多くは無いのは事実です。当然のように、10年後や20年後も同じ話だと思います。で、多分そういった代替わりの速度はもっと速くなってしまう気もします。そもそも気をつけないと面倒を見れるスキルと知識を持った人材が居なくなってしまうという、恐ろしい問題もありますし。

単純に技術の発展を追い続けることが出来ない装置産業の宿命と、その上でいろんな事をやりたいとかやれるよね?とか短いスパンと早いスピードでモノを考えるITの世界の行動原理との間のギャップというかキャズムというか、両方の業界を知っている私ごときですら「このままじゃココを埋めるのは所詮無理なのかもしれない」とか思ったりもします。

 

ただ、だからと言って「アホか!こうするべきなんだよ!なんでこう考えないんだよ?」と言い切れるほどの主義主張が無いところが情け無いんですけどね。

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