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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

なぜマレーシアでWiMAXを推しているかが少しわかった

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基本的に通信関係の話は触れないことにしているのですが、今回のエントリーは珍しく通信に関係の話です。でも、純粋に通信事業や通信規格の話ではありませんし、日本の中の話でもありません。今回仕事でマレーシアに来ていろんな人と話をして、そのなかでわかったこと。東南アジアで力のあるマレーシアが、次世代の通信インフラとしてWiMAXを推しているという事実。そこに少し触れて、そして判った事情。なるほどなと言う事情。そして・・・

 

物事について日本を基準に考えはいけないという基本的な約束事

別に日本が特別と言うわけでもなく、世界のどの国も夫々の事情で勝手に動いているわけで、たとえばいわゆるガラパゴス論のように日本だけが特殊なことをしている訳ではありません。でも東南アジア諸国に比べて日本が先に行っていると理解できる部分があるのは事実だとは思います。実際に日本の事情と状況の情報を彼らは本当に欲しがっているし、必要とされている。

でも、でも、そんな環境の中、たとえば実際問題として、日本の通信事業や通信事情をガラパゴス理論を語る人の殆どが通信の業界の外に居ることが多く、何も言わない人は通信業界の人に多く、私の場合には元々IT業界にいたのに今は通信業界に身を置き、更に幸か不幸か海外の事情に直接触れる立場で、通信事業のあり方とか通信行政への接し方についてこちらから何かしら伝えたり、あるいは教えられたりする立場だったりするわけで、多分なんだか単純なガラパゴス論を述べたり、あるいはそれを否定したり肯定したりするのとは別の立場に居るような気がします。

たとえば今はクアラルンプール。マレーシアの通信事業者、行政に近い立場の方、あるいは実際に何らかの通信にかかわるリサーチなどをしている方の話を聞くチャンスがありました。マレーシアで技術関連を専攻する学生の方とディスカッション・セッションをするチャンスがありました。そして、日本からマレーシアの通信事業をサポートする色々な立場の方とお話するチャンスがありました。

もちろん全部のお話をするわけにはいかないのですが、間違いないのが、日本を基準に考える必要は無く、また彼の国事情が変だと考える必要も無く、夫々が夫々の立場と事情を踏まえて発展し、更に発展しようとしていること。これだけは間違いないです。ソコに触れ、そこでの自分の立場と意見をバカボンのパパのように「これでいいのだ」と集約できるほどの境地ではないですが、少しは近づけた気がします。

 

で、なんでマレーシアはWiMAXを推進しようとしているか?

あまり単純な話ではないですが、それを乱暴にまとめると、アメリカに留学していた人がアメリカでWiFiのサービスに触れ、それを何らかの事業として展開できないかと考え、それをアメリカ国内で始めるのは大変だし、ならばと自国で展開して事業にしようとしたのがそもそもの発端のひとつであるそうです。

当初はWiFiのサービスをしっかりと立ち上げ、それが政府関係者も認知するところとなり、それまでの自国の通信インフラの状況を踏まえて将来的なビジョンを描く中でWiFiから派生する新しいデータ通信インフラとして当然の帰結となったのがWiMAXに取り組むこと。いわゆる電話系の話は別にあって、3Gをどういう形で普及させ、またそれを3.9Gや4Gに展開してゆくかというのは別の観点で考えられているのですが、まず今から整備できるのはWiMAXであったということ。

なるほどな。やっぱり技術もビジネス化するという考え方も、基本的に外から来たんだ、ということが改めて認識できました。

 

でもそれが悪いことでは全くありません

きっかけはどうでもよくて、要はそういうメンタリティを誰が持ち、それをどれほどのエネルギーを注いで形にしようかという動きができるかどうか。別にきっかけが外から来たのが良い悪いの話ではありません。きっかけはきっかけでしかありません。一番大事なのはそうやって自分の国をより良くしようというキモチ。そしてそれを実際に出来る環境。そしてやる人が注ぐエネルギー。

因みにWiMAX自身がどうのこうとか、あるいは他の選択肢がどうのこうのと言うのがたとえば私の今回の仕事のある部分だったりするわけですが、それはそれ。自国のために判断するのは彼らで、私が出来るのは日本の状況を伝えること、そしてその場に居合わせた私がそれらをどう理解し、何をどう判断しているかを伝え、彼ら自身の判断のひとつの材料としてもらうこと。そして、それらの情報を材料にするかどうか、もし材料にするから、それらの材料を情報として捉え、そして洞察に結びつけるか。それ自体を彼らが判断すればよいわけです。学生なら学生のレベルで、それ以外の人なら、夫々の立場で。反面教師でも全然かまいません。そもそも私の役割は奉仕ではありませんし、何らかの社会貢献みたいな意識もありません。良い意味で、単純に、ネタになれば嬉しい。

マレーシアを含め、私自身は夫々の国に別に何の義理も無いですが、でも、何かしら手伝いが出来たのであれば、うれしいな、と本気で思って居たりします。なんだか凄く純粋な意味で何か手伝いたいというキモチでいたりします。

そんなことを感じたクアラルンプールの夜は、日本時間の1時間前。まもなく夜の10時半。今の状況と立場、今回の出張の中で自分が何を出来るか。とても大きな課題ですが、考えるまもなくハノイに移動です。

 

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