フランスのトイレのおもひで
諸般の経緯によりトイレのことを考えることが増えました(笑)が、そのなかで思い出したのが、生まれて最初に一人で行かされた海外出張のときのことです。ホテルのトイレの水の流し方すら判らなかったカルチャーショック。ありありと思い出されます。
写真が無いのがすごく悔しいのですが
泊まったのは南仏はニース。コートダジュールの海岸線沿いの当時はフランス国営航空会社の子会社だった由緒正しいホテルでした。都合3週間も過ごした部屋だったのですが、そこにあったのは広いバスルームにくっついたタンク式トイレ。ホテルの自室のトイレで、いわゆる座る奴しかありません。それは全然普通ですが、とりあえず使って、さぁ流すぞという段階でどうアプローチしていいかわからない。なにしろ、タンクにレバーが無い。
どうアプローチすれば良いんだ?
タンク式に良くあるのは横にレバーが付いているタイプなんだけど
これはよくあります。手前に引く、向こうに押す、それぞれですが、たとえフランス語をまったく解さない私でも適当に動かしていればどうにかなる。でも、レバーがタンクについていない。どうにもならない。
どうアプローチすれば良いんだ?
ふとタンクの上部に丸い金属部分を発見
日本のタンク式トイレの場合、この部分に手を洗うところが付いているものが多くあります。来日された方に「エコだろ」と説明すると感心はするのですが、石鹸の泡も一緒にタンクに入って掃除とか大変じゃない?と心配されたりします。でも海外ではそんなの見たこと無いのですが、その頃はほとんど海外経験の無かった私には、タンクにレバーが無いことのほうが心配です。最近日本には、便座から立ち上がれば勝手に水が流れたりするのがありますが、1980年代後半のフランスにそんなのある訳がありません。もちろん当時の日本でも見たことありませんでしたが、フランスは進んでいるに違いないと思ったりもしましたけれど、トイレの中には水を流すきっかけを作るレバーなり何なりが、まったく見当たりません。
どうアプローチすれば良いんだ?
冷静に考えてみました。このタンクの上部の丸い金属は何なんだ?
試しに触ってみました。微妙にぐらぐらします。ひょっとして、と思ってぐっと押し込んでみました。
じゃわー!
「おー」
水が流れました。感動です。ようやく水の流し方が判りました。これでチェックイン直後に「トイレの使い方が判らないよー」と誰かを呼ぶ必要もなくなりました。因みに、日本に良くあるタンク式の「大」と「小」の区別無く、とにかく水が流れるタイプ。でも、何でも良いです。流れたから(笑
因みにその後90年代初頭のジュネーブでは応用編と出会いました
ここでは2週間ほど同じホテルに泊まったのですが、そのときの部屋のトイレはやはりタンク式。でも判りやすく (?) ボタンがタンクの上に3センチくらい飛び出ています。
「スイスのほうが親切だな」
と感心したのもつかの間、押しても何も起きません。というか、押せません。さて、困った。どうもヨーロッパのトイレは私にとっては壁が厚いようです。このボタン、よく見ると根元が少し細くなっています。ボタンじゃなくて、どうやら丸いレバー上である気がしてきました。触るとやっぱり少しぐらぐらしているので、押しても駄目なら引いてみなといいつつ引っ張り上げると
じゃわー!
「おー」
前回のニースから数年を経て、再びトイレで感動です。ようやくジュネーブのホテルで心置きなく自室のトイレを使うことができるようになりました。
ちなみに最初に入ったIBMの、最初の配属先のビルのトイレの個室は当時はアメリカ系でした
今はそのビルは無くなってしまったのですが、最初の配属は六本木事業所。そして六本木3丁目の端っこにあった本社の隣のその黒いビルのトイレの個室は、壁やドアが膝の少し下あたりから下が開いていました。そう。アメリカなどでは良くあるタイプです。日本で生まれて育った私としては、さすがに「外資だ」と感動してしましたね。そのうち慣れましたけど、最初は落ち着かないことこの上なかった記憶があります。
もう随分と昔の話ですが。