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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

ついに!CACHATTOが3大キャリアの推奨サービスとして発表される

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本日、KDDIさんとの協業についてプレスリリースをさせていただきました。「CACHATTO for au」という製品のリリースです。 KDDIさんのサイトにもご紹介してもらっています。

Cachato_for_au_2

http://www.kddi.com/business/keitai_office/index.html

これにより3大キャリアにそれぞれ製品を提供させてもらいながら協業をするという体制が出来上がりました。それぞれの製品は、CACHATTO for SoftBankCACHATTO docomo EditionCACHATTO for au です。以下、プレス文から引用します。

 いいじゃんネットは、ソフトバンクグループとCACHATTO SE(CACHATTO for SoftBank)を、NTTドコモとCACHATTO DE(CACHATTO docomo Edition)を、それぞれ協業関係を構築しながら国内企業に販売してまいりました。今回、KDDIとCACHATTO AEを販売することで通信キャリア3社との協業関係が構築できました。Android™端末やiPhoneといった各種最新インターネットデバイスにいち早く対応し、CACHATTOの強みであるデータを残さずシンクライアントとして利用できる仕組みを提供することで、システム管理者、ユーザー双方が安心して快適に企業のデータにリモートアクセスできるサービスの提供を推進してまいります。

ここに至った背景について少し記述してみましょう。

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■CACHATTOの生い立ち

CACHATTOは法人向け携帯電話用のリモートアクセスサービスとして2003年1月にデビューしました。

「それいいじゃんと言ってもらう」

それまでは、「自分たちがいい」と思うもネットサービスを創っては世に出していました。しかし、かなり独善的な「いいじゃん」だったのでしょう。なかなかビジネスになりませんでした。反省します。「お客様が、それいいじゃん言ってくれる」ものを創ることにしたのです。

2000年の開業以来蓄積した要素技術のカタログを作成して、200社のお客様をラウンドして、意見を聞いて、「これなら使ってもいいかな」と言ってもらえるコンセプトにたどり着きます。それがCACHATTOの原型。携帯電話を使って社内のメールが読み書きできるというサービスでした。

すぐさまにそのコンセプトを開発し製品化します。そして一軒一軒お客様を回って販売する活動に入ったのです。自信作です。左うちわになると信じて疑いませんでした。

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■各キャリアは海外からのOEMサービスを国内提供していた

「社内LANにカチャっとつなぐだけでリモートアクセスが実現できる」

これが当初よりのCACHATTOの謳い文句です。ところが実際にやってみるとお客様それぞれの環境は大きく異なりました。それぞれの案件で導入に数ヶ月から半年ほどかかってしまいます。全然「カチャっと」ではありません。必然的に売り上げも立たず想定外の苦戦をします。

携帯電話用のソリューションです。エンドユーザーだけでなく、携帯キャリアにも何とかコネクションをつけて採用してもらえないものか、ラウンドします。

2004年。出足が遅かったのでしょう。すでにどのキャリアも海外のリモートアクセス製品を採用して自社サービスとして提供していました。ボーダフォンは英国本社指定のもの、ドコモもKDDIもアメリカのベンチャー企業の技術をもとにしたOEMサービスを提供していました。

キャリアさんを訪ねると、お話は紳士的に聞いてもらえます。しかし、弱小ベンチャー企業のソフトウェアには信頼が無かったのでしょう。明らかに「箸にも棒にもかからない」状態でした。

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■iPhoneショック

CACHATTOが黒字化したのは2005年度。費用を削減し、地道にお客様を増やしていった成果です。デビューしたのが2002年度なので黒字化に丸3年かかったことになります。黒字化すれば事業は続けられます。

2005年携帯のポータル対応。2006年パソコン用インターフェースの実装。2008年、iPhoneデビューに合わせてスマートフォン対応をします。ひたすら製品をお客様要望に合わせて地道な改善します。

iPhone対応をしたときに、社内イントラのウェブページがCACHATTOを通じてサクサク使えることに興奮を覚えます。わくわく感とでもいうのでしょうか。「これはすごい!」確信に近いものを感じました。

当初iPhoneは法人向けになかなか売れません。お遊び要素が強すぎたのでしょう。任天堂のDSやソニーのPSPなどのゲーム機の一種と捉えられてしまったのかも知れません。ただ、その使い勝手の良さを信じているソフトバンクグループはCACHATTOと組み合わせて推進してくれました。ボーダフォンより引き継いだリモートアクセスサービスの提供は停止していたこともあったのでしょう。

2010年、iPhone対応を地道に進めている中、iPadやAndroidが法人用途で躍進を始めます。デビュー直後から法人向けに予想外に受け入れられたiPad。半年ほどでCACHATTO経由でiPadを使うユーザーが5000名にもなります。世界的にはAndroid端末が急伸します。日本でもソフトバンクによるiPhoneの成功を横目で見ていたドコモとKDDIが、思いきりAndroid端末に傾注していきます。

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■ついに3大キャリアから弊社サービスを提供してもらえることに

ビジネス向けにスマートフォンを使う。必然的にこの要望が強く出てきました。iPhone/iPad/Android端末。そして、従来の携帯電話から最新スマートフォンまで多数の実績をもつCACHATTO。

2011年に入り、3大キャリアから法人向けリモートアクセスの推奨サービスとして提供されることになりました。それぞれに従来の海外からの携帯電話向けOEMサービスは提供を中止しています。

・CACHATTO for SoftBank (SoftBank Solution Partner "PREMIUM")
・CACHATTO docomo Edition (ドコモ・プロスパート・プログラム)
・CACHATTo for au (「CACHATTO for au」をご紹介していく予定です)

「少しでも製品を良くしよう」
「お客様に『それいいじゃん』と言い続けてもらおう」

このことを会社全体でひたすら日夜考え続けて作業を続けているだけです。日々のお客様サポートや営業活動も多数あります。改良しなければいけないこともまだまだ山のようにあります。どのように実現するのか、ひたすら悩み続けてもいます。

派手なことはしていません。嘘やハッタリ、スタントプレーはありません。会社として、極めてまじめなアプローチをしています。それが、このような、外目から見ると派手なビジネス展開へと結び付いています。この感じるギャップの大きさに、ビジネスというものの不思議を感じます。

まじめな正攻法が認めてもらえる。本当に嬉しいことだと思います。

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■「関連プレスリリース

2011-1-21 ドコモ・プロスパート・プログラムに登録、「CACHATTO DE」を発表

2011-2-21 いいじゃんネットがSoftBank Solution Provider PREMIUM に加入

2011-2-24 「CACHATTO for au」を発表

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