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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

2009年10大ニュース5位

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【朝メール】20091221より__

===ほぼ毎朝エッセー===

□□2009年の10大ニュース(6) 5位

第10位 「9年ぶりの増資」
第9位 「ボーナス3回化」
第8位 「NTTドコモとのビジネスが始まる」
第7位 「相次ぐ競合撤退:アクセスシンプル、インテリシンク、SMG」
第6位 「組織変更」

さて、第5位は??

リリースプロジェクト化 w/ネクストアクション」です。

ネクストアクションという方法で業務の期限と完了とを管理するようにしたのは、だいぶ前に感じますが、今年の1月からです。それまでのe-Janには、少なからず次のような現象が発生していました。

・多忙で集団健忘症になっている
・約束事を忘れてしまい業務が予定通りに進まない
・予定より遅れていることをチェックする仕組みが無い
・業務を約束通りにやらなくても滅多におとがめされない
・注意もされなければ、本人も不実施に気がつかずにいる
・頼んだことがなされないためメンバー間に不信感が生まれる
・約束を真剣に守った人がすっぽかした人と待遇が変わらない
・あまりに多忙で何から着手すればいいのかがわからない

いわゆる酸素が少なくなって息がしづらい金魚鉢の中のような状態でした。とにかく、何かの打開策を必要としていました。

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「恐怖による統制」をとる、ということも一つなのかもしれませんが、それは良くないです。やはり個人個人が能動的に、これが自分のやるべきことを認識して自発的に仕事はされるべきだとのe-Jan主義があります。望ましくない状況を「信頼による統制」で何とかしなければいけないと手法を様々に考えていました。

ヒントをもらったのは、昨年のお正月に読んでいたGetting things done (GTD)という考え方と、年末に大塚商会の展示会でデモを見た「議事録ドリブン会議」というアプリケーションの考え方からです。それまでは、やらなければいけないことを、ToDoとして報告書の中に記載してもらっていました。

GTD曰く、頭の中に「やるべきことリスト」抱えていると、脳はプライオリティを付けるのが苦手なので、全ての「やるべきこと」を平等に処理しようとするそうです。そして、当然のことながら、ひとつのことに集中できないので、そのどれもが進まずにストレスがたまると言います。ToDoは良くありません。

「議事録ドリブン会議」の良いところは、会議でのアウトプットとして、シンプルに「誰が」「いつまでに」「何を」「どこに」するのかということを記録に残してフォローするというところでした。それまでの自分たちの議事録には、決まったことが書いてありましたが、具体的に誰が何をいつまでにやるのかということが欠けていて、それがフォローされない状態でした。

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それなので、ここでの対策ポイントは次のようなことでしょう。
・約束の発生を全て記録に残す
・実施されているかどうかを日々チェックする
・ツールとして朝メール、社内ブログ、DR (daily report)を利用する

そこで、定まったテキスト形のネクストアクションという方式を考案し、社内ブログにそれを記載してもらうことにしました。顧客訪問、サポート、そして会議、と、約束事が発生する現場でそのままそれを明文化してもらうことにしたのです。そして、毎日書いてもらっているDRにも同じ形式のネクストアクションを記載してもらうようにしました。これで約束事が発生する公式な場は全て網羅できたことになります。

次に、Kumarさんに開発してもらったDRを自動回収する朝メールジェネレーター、そして、社内ブログからのデータと合わせて、重複をチェックし削除する、西村さんに開発してもらったネクストアクションエディターという2つのツールで、一つ一つのデータを毎朝収集する仕組みができました。

最後に、収集したデータを【朝メール】を書く際に、一人ひとり個別にチェックするというフローにしました。記載漏れがあれば、それを指摘すればいいだけです。「あれができていない」などと感情を害する必要もありません。定まった形式のデータはチェックしやすいため、今のところ全員分のチェックが約2時間半で毎朝実施できています。(結構しんどいですが…。)

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もちろん、人のやることなので、ミスや改善の必要な場所は多々ありますが、効果は大きかったです。約束事が実施されていないのではないかというお互いの不信感が払拭されました。約束が遅れていることが確認でき、それが遅れている原因を考えるようなこともできるようになりました。

そして、このネクストアクションを、新バージョンリリースのためのプロジェクトのツールとしても使ってみました。5月以降からですね。プログラムの新バージョンのリリースは、全社を巻き込む大プロジェクトになってきているために、期日を守りながら自分の担当部分を実施しておくことがことのほか重要になってきました。これを導入して、全体での進捗管理と業務分担が見えるようになったのです。

全体のプロジェクトは遅れたり、負担が一部に集中することもあります。ただし、全体の把握ができるという意味では、やはり大きな進歩を遂げた手法にたどりつけたと考えています。ギアがかみ合っている感が出ましたね。「リリースプロジェクト化 w/ネクストアクション」が、今年の5位でした。

2009年10大ニュース第4位はこちら>>

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