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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

「CoreWeaveだけで10月19日はブラックマンデーの再来には至らない」というロジック

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CoreWeave固有の問題(GPU担保のテクニカルなファイナンス手法)から一歩距離を置いてコメントできる人達(例、アンドリーセン・ホロウィッツのホロウィッツ氏)は「AIデータセンターの『需要はある』」ということを冷静に強調しています。

CoreWeaveによってAIバブルが破裂するんだ!と連呼する人々には、その「AIデータセンターの『需要がある』」ことについて盲目です。AIがわからんちんの人々です。わからんちんなので「AIバブルははじける」「AIバブルははじける」というナラティブに傾斜するのです。

Ben Horowitz(a16zの共同創業者)が語っている内容は、AIコンピューティングの深刻な供給不足についてです。

彼はAmazonのCEOであるAndy Jassyと話した内容を明かしています。Horowitzが「うちは2028年まで全部売り切れだ」と言ったところ、Jassyは「それどころか2028年を超えても売り切れだ。2028年末まで供給が戻ってくるとは思えない」と答えたとのこと。つまり、AmazonのAI向けコンピュートも長期的に逼迫しているという話です。

この供給不足を根拠に、今回のAIブームはドットコムバブルとは根本的に違うと主張しています。

- ドットコム時代は、インターネットを構築する必要があり、ブロードバンドの普及やブラウザの購入など「需要側」が追いつかなかった。大量の帯域が作られても、それを吸収する消費者が足りず、債務と需要不足で破綻した。
- 一方、AIでは需要がしっかりある。だからダイナミクスは違うだろう、という見方です。

ただし、過剰な債務(pathological debt)は誰でも潰すとも警告しており、それが理由で自分たちは「ネオクラウド」(CoreWeaveなどのGPUクラウド事業者)には投資していないと明言しています。

要するに、「供給が極端に逼迫しているので需要はある。バブルとは構造が違うが、借金漬けになると危ない」というのがHorowitzのポイントです。


Xで「ブラックマンデー再来」ナラティブが広がっているのは理解できますが、現時点の事実に基づくと、CoreWeave(および類似の高レバレッジNeoCloud)の信用問題が中心で、1987年のような市場全体の急激な崩壊には至りにくいというロジックは十分に成り立ちます。

以下に、その根拠を整理します。

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1. 規模と集中度の違い


- CoreWeaveの時価総額は下落後で300億ドル前後。債務規模は約500億ドルと大きいですが、市場全体から見れば限定的です。
- 問題の本質は「高利回りの無担保債務+固定価格の長期契約+追加資金調達依存」という、CoreWeave特有の構造にあります。同様の高レバレッジNeoCloud(Nebius、IRENなど)には波及しやすいですが、Microsoft・Google・Meta・AmazonといったHyperscalerは投資適格でバランスシートが圧倒的に強く、資金調達コストの差は歴然です。
- Nvidiaは容量の買い取りコミットメントを持っており、完全な保証ではないものの、単純な「放置」にはなっていません。

2. これまでの市場の反応規模

- 先週の下落はNasdaqで約4〜4.5%、S&P500で約2%程度です。これはテック主導の明確な調整ですが、「1日で20%超の下落」というブラックマンデー(1987年)の規模とは桁が違います。
- VIXは終値19.99(場中22超)と上昇しましたが、危機時の40〜80超とは比較になりません。サーキットブレーカーも存在します。
- 信用スプレッドもCoreWeaveが突出して悪化している一方、投資適格(IG)全体や市場全体の信用市場がシステミックに崩れている証拠は現時点で限定的です。

3. トリガーの性質

- 1987年はポートフォリオ・インシュランスの機械的売りや急激な流動性枯渇が連鎖しました。今回は「金利・インフレデータと、債務で成長する特定モデルの資金調達コストの再評価」です。
- 需要自体が崩れたというより、「今の無担保コストではIRRが合わない」という価格付けの修正です。CEOはバックログ(1000億ドル超規模)で債務をカバーできると主張しており、少なくとも「需要消滅」ではなく「資金調達条件の厳格化」です。

4. 波及経路の制約

- 確かに「カナリア」としての意味はあり、プライベートクレジットやAI関連債務全般のプライシングが厳しくなる可能性はあります。
- ただし、現時点では「CoreWeaveの問題 → 類似NeoCloudの売り → 半導体サプライヤーへの部分的な影響」という経路が中心で、銀行システム全体や市場全体の強制清算を引き起こすような連鎖には至っていません。
- アナリストの間でも「売り過ぎ」「プロジェクトレベルのリターンは健全」との見方(JPMorgan、Cantorなど)と警戒論が並存しており、一方向のパニックにはなっていません。

まとめのロジック

「ブラックマンデー再来」ナラティブは、週末の不安と歴史的な日付の近さ、AI関連の高バリュエーションへの警戒が重なって生まれています。しかし、現時点では高レバレッジの特定企業(群)の信用再評価が主因であり、市場全体の流動性危機や広範な強制清算の条件は満たしていない、というのが事実に即した整理です。

もちろん、これがさらに広がってHyperscalerのCapEx減速やより広範な信用スプレッド拡大につながれば話は変わります。そのリスクを否定するものではありません。ただ、現在観測されている現象を「市場崩壊」と等価に扱うのは過大評価です。

必要であれば、このロジックをさらに数字で補強したり、逆に警戒すべき波及シナリオも並べて整理できます。

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