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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

AIが緊急分析2:台湾国防が米アンドゥリルを全面採用したことで日本の防衛省・自衛隊もAI対応を即断する必要

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台湾がアンドゥリル(Anduril Industries)と戦略レベルの提携・調達を開始したことは、台湾海域有事の際の自衛隊の作戦行動にAI対応(具体的にはアンドゥリルの戦場OS Lattice OSと自衛隊防衛システムとの統合性担保の必要。しかし具体的に日本スタンダードである従来の自衛隊防衛システムは米国最先端AI兵器&ソフトウェア企業であるアンドゥリルのLattice OSとニア・リアルタイムのAPI接続性能を持つことは致命的に無理であるから、早い話、Lattice OSを自衛隊も導入せざるを得ない。以下の詳細説明を参照。これはAIか、非AIか?の神学論争をしている暇はないということ)が不可欠になったことを示しています。しかも現在行われている中国人民解放軍による大規模演習を勘案すると、台湾国防のAI対応は加速化せざるを得ませんから(下記アンドゥリルの台湾拠点に関する記述を参照)、日本の防衛省・自衛隊における対応も加速化を強いられます。

日本の防衛に関する極めて緊急性の高い諸課題を、以下の報告書は明快に理解させてくれます。

この報告書も前投稿と同様に、現時点で得られる世界最高のAIであるGemini 3 Proを用いて作成しました。作成のために用いたプロンプト(実際にはGeminiとの対話ログ)は大変に創発的なものであり、マニュアル的にお渡しできるようなものではないことをお断りしておきます。

AIが緊急分析:中国の台湾大規模演習はアンドゥリル社AI兵器と戦場OS購入で軍事バランスが変化することが理由

また早期に本投稿を公開することが望ましいと判断したため、リンクは挿入しませんでした。

戦略情報評価報告書:Anduril Industriesの台湾市場参入と「正義使命-2025」危機----日本の防衛態勢へのインプリケーションに関する包括的分析

エグゼクティブ・サマリー

本報告書は、米国の防衛テクノロジー企業Anduril Industries(アンドゥリル・インダストリーズ)の台湾市場への参入と事業拡大が、インド太平洋地域の安全保障環境に及ぼす戦略的、作戦的、および産業的な影響を包括的に分析したものである。分析にあたっては、日本の報道を出発点としつつ、台湾華語(繁体字中国語)による現地一次情報源、軍事専門誌、および国防部(MND)の公式発表を徹底的に調査した。特に、2025年後半に発生した台湾海峡情勢の急激な悪化、具体的には中国人民解放軍(PLA)による「正義使命-2025(Justice Mission 2025)」演習という文脈の中で、これらの動向が日本の防衛省(MOD)および自衛隊(JSDF)のトップリーダーシップにどのような意味を持つかを解明する。

2025年12月、米国による台湾への過去最大規模となる111億ドルの武器売却承認と、日本の高市早苗首相による「台湾有事は日本の存立危機事態」との発言を受け、中国は台湾周辺で大規模な封鎖演習「正義使命-2025」を敢行した。この演習は、従来の威嚇行動とは質的に異なり、台湾の主要港湾の完全封鎖と外部介入の遮断を目的とした実戦的な「リハーサル」であった。

こうした危機的状況下において、Andurilの台湾進出は単なる一企業の活動にとどまらない戦略的意義を持つ。台北オフィスの開設、Altius-600M徘徊型弾薬の迅速な納入、そして国家中山科学研究院(NCSIST)とのBarracuda-500巡航ミサイルの共同生産合意は、米台防衛協力が従来の「対外有償軍事援助(FMS)」モデルから、現地生産とソフトウェア定義型戦争(Software-Defined Warfare)を重視する「分散型・自律型」モデルへとパラダイムシフトしていることを示唆している。

日本の防衛省・自衛隊にとって、これらの動向は即応性を要する重大なインプリケーションを孕んでいる。台湾が長射程の自律型無人機や巡航ミサイルを大量配備することは、台湾からわずか110キロメートルに位置する与那国島を含む南西諸島の防衛環境を一変させる。日本が強化を進める電子戦部隊や対空ミサイル部隊と、台湾の自律型システムとの間で、敵味方識別(IFF)や電磁波領域でのデコンフリクション(衝突回避)が喫緊の課題として浮上する。さらに、Andurilが推進するAI指揮統制システム「Lattice OS」の台湾導入は、日米台のデータ相互運用性における新たな標準化競争と、情報共有の断絶リスクを同時に提示している。

本報告書は、これらの要素を詳細に検討し、日本の防衛政策決定者が考慮すべきリスクと機会を提示する。

1. 戦略的安全保障環境:2025年後半の情勢評価

1.1 「正義使命-2025」危機の勃発とその特質

Andurilの台湾展開が加速する背景には、2025年12月に発生したクロス・ストレイト(台湾海峡)における緊張の劇的なエスカレーションが存在する。米国が承認したHIMARSやドローンを含む111億ドルの武器売却パッケージ、および日本の高市早苗首相が国会答弁において台湾への武力攻撃を日本の生存を脅かす事態と位置づけたことに対し、中国政府は激しく反発した1

これに対し、中国人民解放軍(PLA)東部戦区は2025年12月29日より、陸海空およびロケット軍を動員した大規模統合演習「正義使命-2025(Justice Mission 2025)」を開始した。この演習は、過去の「統合利剣(Joint Sword)」シリーズと比較しても、その規模と具体性において一線を画すものであった5

表1:「正義使命-2025」における封鎖区域とその戦略的意図

封鎖区域 地理的位置 戦略的・作戦的意図 影響を受ける主要インフラ
北部封鎖区 基隆(キールン)港沖合 台湾の主要商業港およびエネルギー輸入の遮断。首都圏への海上アクセス拒否。 基隆港、協和発電所
東部封鎖区 台東・花蓮沖合 西太平洋への脱出経路の遮断。フィリピン海からの米軍・自衛隊の支援ルートの阻止。 花蓮空軍基地、佳山基地
南部封鎖区 屏東沖合・バシー海峡 バシー海峡の制圧による潜水艦および水上艦艇の通航阻止。第一列島線の南端封鎖。 核第三発電所、屏東空港
南西部封鎖区 澎湖諸島南西 台湾海峡南部の制海権確保と、高雄港へのアクセス遮断。 高雄港、左営海軍基地
北西部封鎖区 桃園沖合 首都台北への直接的な軍事圧力と桃園国際空港の空域封鎖。 桃園国際空港、台北港

PLAの専門家である張馳(Zhang Chi)教授の分析によれば、この演習は「三方向からの包囲」を形成し、台湾本島を物理的・心理的に孤立させる「関門打狗(門を閉ざして犬を打つ)」戦術の実践であるとされる10。特筆すべきは、演習から実戦への移行時間が極限まで短縮され、台湾側の早期警戒時間がほぼ消失した点にある。部隊は「訓練」から即座に「戦備警巡(Combat Readiness Patrol)」へと移行し、常時臨戦態勢を維持する能力を誇示した11

1.2 日本の「与那国フロント」と防衛態勢の強化

「正義使命-2025」における東部および北部の演習区域は、日本の排他的経済水域(EEZ)および南西諸島の防衛ラインと地理的に重複、あるいは極めて近接している。特に、台湾東部沖合でのPLA空母打撃群の活動は、与那国島から宮古島にかけての日本の南方アプローチを直接脅かすものであった12

この危機的状況を受け、日本の防衛省は2025年12月、南西諸島の防衛力強化を前倒しで実施する方針を固め、特に台湾からわずか110キロメートルに位置する与那国島への装備展開を加速させた13

表2:2025年後半における与那国島への主要展開戦力

部隊・装備 詳細仕様・目的 戦略的インプリケーション 参照
電子戦部隊 第101・301電子戦中隊、NEWS電子戦システム、24式指向性エネルギー兵器 PLAの通信・ドローン制御リンクの妨害。電磁波領域での優勢確保。 15
対空ミサイル 03式中距離地対空誘導弾(改) 巡航ミサイルおよび航空機の迎撃。台湾-日本間の防空ギャップの解消。 13
監視・警戒 移動式警戒管制レーダー 低高度ドローンおよびステルス機への探知能力向上。 17

小泉進次郎防衛大臣(2025年時点)は、現地視察においてこれらの配備が「日本への武力攻撃の可能性を低減させる抑止力」であると強調した13。しかし、この「与那国フロント」の要塞化は、台湾海峡有事と日本有事が地理的かつ作戦的に不可分であることを構造的に固定化するものであり、後述する台湾(Anduril製)の長射程兵器との運用調整という新たな課題を生じさせている。

2. Anduril Industriesの台湾市場参入:防衛産業のパラダイムシフト

2.1 台北オフィスの開設と「シリコンバレー・モデル」の導入

2025年8月、緊張が高まる中でAnduril Industriesは台北に支社(Anduril Taiwan)を正式に開設した。これは単なる営業拠点の設置ではなく、米国防衛企業が従来のFMS(対外有償軍事援助)やDCS(商業販売)のリモートモデルから脱却し、台湾国内にエンジニアリングとサプライチェーンの拠点を置く「イン・カントリー(In-Country)」モデルへと転換する戦略的決断であった18

創業者のパルマー・ラッキー(Palmer Luckey)氏は訪台し、顧立雄(Wellington Koo)国防部長と会談するとともに、国立台湾大学で講演を行った。ラッキー氏は「台湾には今すぐ防衛能力が必要であり、数年後ではない」と述べ、従来の防衛産業の遅々とした調達サイクルを批判した18

2.2 「ベンチャー・バック」調達とリスクテイク

Andurilが台湾にもたらした最大の革新は、調達プロセスにおけるリスクテイクの哲学である。

  1. 自己資金による先行生産(Production at Risk):

    Andurilは、正式な長期契約が締結される前に、自己資金(ベンチャーキャピタル資金)を投じてAltiusシステムの製造を開始した。これにより、通常であれば契約から納入まで数年を要するFMS案件において、契約署名からわずか6ヶ月という異例のスピードで初期納入を実現した18。これは「正義使命-2025」のような急激な情勢変化に対し、従来のプロセスでは対応不可能であった即応性を提供するものである。

  2. 消耗可能(Attritable)なシステムへの転換:

    ラッキー氏は、F-35のような「失うことが許されない高価で完璧なプラットフォーム」への依存から脱却し、「安価で、大量に展開でき、損失が許容される自律型システム」へのシフトを提唱した23。この哲学は、台湾国防部が推進する「非対称防衛戦略(Asymmetric Defense Strategy)」および2025年国防報告書で強調された「分散・強靭性」の方針と完全に合致するものであった24。

2.3 台湾国内の反応と現地情報源の分析

台湾の主要メディア(中央通訊社、自由時報、今周刊など)の報道を分析すると、Andurilの参入に対する評価は二面的である。

  • 肯定的評価: 国防部および軍事専門家は、Andurilのスピード感と、ソフトウェア中心のアプローチ(AIによる自律制御)が、中国の量的優位に対抗する唯一の手段であると認識している。顧立雄国防部長は、Altius-600Mを「陸軍の重要な即戦力(關鍵即戰力)」と位置づけ、その非対称戦能力を高く評価した26

  • 懸念と摩擦: 一方で、台湾の国内ドローン産業(いわゆる「無人機国家隊」)からは懸念の声も上がっている。Andurilの技術力と生産能力が、育成途上にある台湾の土着防衛スタートアップ企業の市場を圧迫する「クラウディング・アウト」効果への警戒感である27。特に、後述するRoadrunnerのような高度な迎撃システムの導入検討は、国内開発の余地を狭める可能性があると指摘されている29

3. Altius-600M徘徊型弾薬の詳細分析と作戦的運用

3.1 技術仕様と台湾海峡における意味

2025年8月に台湾陸軍に納入された第一陣のAltius-600Mは、台湾の防衛ドクトリンに質的な変化をもたらす装備である。公開情報および台湾現地報道から抽出されたスペックは以下の通りである。

表3:Altius-600Mの技術仕様と台湾戦域での適合性

項目 仕様・能力 台湾防衛における作戦的意義 情報源
航続距離 約440 km 台湾海峡(幅約130-180km)を越えて、中国沿岸の集結地や港湾を直接打撃可能。また、台湾東方海域に進出するPLA艦艇への攻撃が可能。 26
滞空時間 4時間以上 目標地域上空での長時間監視(ISR)と、高価値目標(HVT)が出現した瞬間の即時攻撃が可能。 26
発射プラットフォーム 多様(陸・海・空) トラック、小型船舶、ヘリコプターなど、分散した場所から発射可能であり、PLAの初期ミサイル攻撃に対する残存性が高い。 26
ペイロード モジュール式 偵察、通信中継、電子戦(ジャミング)、対装甲・対艦攻撃など、任務に応じた柔軟な運用。 26
回収可能性 あり 訓練での再利用が可能であり、ライフサイクルコストを低減。 26

3.2 非対称戦力としての運用構想

台湾国防部がAltius-600Mに期待する役割は、PLAの上陸部隊が台湾の海岸に到達する「前」の段階での阻止である。

  1. 対封鎖作戦: 「正義使命-2025」で示されたように、PLA艦艇が台湾沖24海里(接続水域)付近で作戦する場合、台湾内陸部の山岳地帯に隠蔽された発射機からAltiusを発進させ、PLA艦艇の防空圏外から飽和攻撃を仕掛けることが可能となる。440kmという射程は、台湾全土から周辺海域の封鎖線をカバーするのに十分な能力である26

  2. 対上陸阻止: PLAの揚陸艦(075型強襲揚陸艦など)が台湾海峡を横断中、あるいは福建省の港で積載中に、Altiusの群れ(スウォーム)による攻撃を行い、輸送能力を洋上で破砕する。

  3. ISRとターゲティング: 攻撃を行わずとも、Altiusは長時間のセンサーノードとして機能し、HIMARSや対艦ミサイルのための標的データを取得・中継する役割を果たす。これは、衛星や大型レーダーが破壊された環境下での「目」となる24

4. Barracuda-500と現地共同生産:サプライチェーンの自律化

4.1 Barracuda-500共同生産合意の戦略的意義

Altiusの即時納入に加え、中長期的にはさらに重要な動きがある。2025年9月の「台北国際航空宇宙・防衛産業展(TADTE)」において、台湾の国家中山科学研究院(NCSIST)はAndurilと共同で開発・生産する自律型巡航ミサイル「Barracuda-500(バラクーダ-500)」のプロトタイプを公開した32

4.2 「チャイナ・フリー」サプライチェーンの構築

Barracuda-500の最大の特徴は、その性能だけでなく、生産体制にある。

  • 現地大量生産: NCSISTの李世強(Li Shih-chiang)院長は、Barracuda-500の「全サプライチェーン」を台湾国内に構築し、18ヶ月以内に量産を開始すると発表した33。これは、有事の際に海上封鎖によって弾薬の補給が途絶するリスクを見越した措置である。

  • コスト革命: 1基あたりのコストは約21万6,000米ドル(約3,200万円)と想定されており、数百万ドルする従来のハープーンやトマホークと比較して圧倒的に安価である33。これにより、台湾は「量(Mass)」による抑止力を手に入れることになる。

  • 技術移転: 米国企業が最先端の自律誘導兵器の技術移転と現地生産を認めることは極めて異例であり、米政府の台湾防衛に対するコミットメントの質的変化を示している。

4.3 戦略的インプリケーション

この「現地生産・大量保有」モデルは、中国による海上封鎖に対する最も有効な対抗策の一つとなり得る。封鎖下でも台湾国内でミサイルを生産し続ける能力は、継戦能力を飛躍的に高め、中国の「短期決戦」シナリオを崩壊させる要因となる。また、Andurilが中国から制裁を受けている事実34を踏まえると、サプライチェーンから中国製部品(希土類磁石や電子部品など)を完全に排除する「デカップリング(切り離し)」の実証実験としての側面も持つ。

5. 先進システムの導入検討:RoadrunnerとLattice OS

5.1 Roadrunner迎撃システムの導入協議

台湾メディアの報道によれば、台湾軍はAndurilのジェット推進式VTOL迎撃機「Roadrunner(ロードランナー)」の導入に向けた協議を開始している29

  • 能力: Roadrunnerは、亜音速(マッハ0.9以上)で飛行し、垂直離着陸が可能。ターゲット(敵ドローンや巡航ミサイル)を迎撃・破壊する能力を持つが、最大の特徴は「ターゲットが見つからない、または交戦の必要がない場合、自律的に基地に帰還して着陸・再利用できる」点にある29

  • 運用ニーズ: PLAは大量の安価なドローンを用いて台湾の防空網を消耗させる戦術をとっている。高価なパトリオットや天弓ミサイルを安価なドローンに消費することは非効率であり、再利用可能なRoadrunnerはこの「コスト交換比率」の問題を解決する切り札となる。

  • 国内産業への影響: Roadrunnerの導入は、台湾が開発中の類似システムにとって脅威となる。台湾の軍事専門家からは、技術的優位性を持つ米国製システムの導入が、国内の研究開発意欲を削ぐ可能性(市場の圧縮)を懸念する声が上がっている29

5.2 Lattice OSとAI指揮統制の統合

ハードウェア以上に重要なのが、これらを統合制御するAndurilのオペレーティングシステム「Lattice OS(ラティスOS)」である。AndurilとNCSISTは、Latticeを用いたAI対応の指揮統制(C2)システムの共同開発に関する覚書(MOU)を締結している21

  • 機能: Latticeは、異なるセンサー(レーダー、ドローン、監視塔など)からのデータをAIで融合し、単一の共通作戦状況図(Common Operating Picture)を生成する。これにより、人間が介在することなく、脅威の探知から最適な兵器の割り当て(Sensor-to-Shooter)までを自動化・高速化する。

  • 戦略的意義: 台湾のような防衛縦深が浅く、反応時間が極めて短い戦場において、AIによる意思決定支援は死活的に重要である。また、Latticeは米軍や同盟国とのデータ共有の基盤となり得るが、これは後述する日本との相互運用性において重要な意味を持つ。


6. 作戦環境分析:「正義使命-2025」と台湾新戦力の交錯

6.1 PLA封鎖戦術への対抗シミュレーション

2025年12月の「正義使命-2025」演習は、台湾が導入したAnduril製システムが直面する具体的な脅威環境を提示している。

シナリオ分析:

PLA艦艇が台湾東部海域(台東・花蓮沖)に進出し、外部支援を遮断する封鎖線を形成した場合、従来の台湾軍は射程の短い対艦ミサイルや、脆弱な空軍機による攻撃に頼らざるを得なかった。しかし、440kmの射程を持つAltius-600Mや、現地生産されたBarracuda-500の群れ(スウォーム)があれば、台湾は中央山脈の背後からこれらの兵器を発射し、東側のPLA艦艇を攻撃することが可能となる。

これは、PLAにとって「安全な後方」が存在しなくなることを意味する。封鎖を行うPLA艦艇は、常に台湾内陸部からの自律型兵器による飽和攻撃のリスクにさらされるため、封鎖線を台湾沿岸から遠ざけざるを得なくなる可能性がある。

6.2 グレーゾーン事態への対処

PLAのドローン(TB-001など)が日常的に台湾の防空識別圏(ADIZ)や接続水域を侵犯するグレーゾーン事態において、Roadrunnerのような再利用可能な迎撃機は、台湾空軍の有人戦闘機の負担(スクランブル回数)を劇的に軽減する。これは、パイロットと機体の消耗を防ぎ、高強度の紛争に備えるために不可欠な要素である。

7. 「与那国フロント」:日本の即応と防衛態勢

7.1 与那国島への戦力展開

「正義使命-2025」演習が突きつけた現実は、台湾東部海域が「PLAの活動領域」となり、それが日本の与那国島の目と鼻の先であるという事実である。日本政府はこの現実に対し、与那国島への自衛隊配備を強化することで応じている。

  • 電子戦能力: 2025年末時点で、陸上自衛隊は与那国島に電子戦部隊(第101・301電子戦中隊など)を展開させ、対岸の活動に対する電磁波情報の収集と、有事の際の通信・レーダー妨害能力を確保している15

  • 対空能力: 03式中距離地対空誘導弾(改)の配備計画が進められており、これは台湾から飛来する可能性のある巡航ミサイルや航空機に対処するためのものである13

7.2 台湾防衛と日本防衛の地理的不可分性

台湾がAnduril製の長射程兵器(Altius, Barracuda)を配備し、PLAが台湾東部で活動する場合、与那国島周辺の空域と海域は「台湾の射撃方向」かつ「PLAの展開地域」となる。台湾から発射されたAltiusがPLA艦艇を追尾して東進すれば、それは必然的に日本の防空識別圏(ADIZ)や領空・領海に接近、あるいは突入することになる。

8. 日本の防衛省・自衛隊トップへの戦略的インプリケーション

本報告書の核心として、Andurilの台湾展開と「正義使命-2025」危機が、日本の防衛政策決定者および自衛隊高級幹部(統合幕僚長、各幕僚長クラス)に対して持つ具体的なインプリケーションを4つの観点から提示する。

8.1 インプリケーションⅠ:戦域の飽和とIFF(敵味方識別)の危機

台湾が数千機のAltiusやBarracudaを保有し、有事にこれらをスウォーム(群れ)として運用する場合、台湾海峡および台湾東部海域の空域は、小型無人機とミサイルで飽和状態となる。

  • 課題: 与那国島に展開する陸上自衛隊の03式中地対空誘導弾や、航空自衛隊のレーダーサイトにとって、台湾から東へ向かって飛来する大量の小型高速目標が「PLAの攻撃ドローン」なのか「台湾の対艦ドローン」なのかを瞬時に識別することは極めて困難になる。

  • リスク: 誤って台湾のドローンを迎撃してしまえば、台湾の防衛能力を削ぐことになり、逆にPLAのドローンを見逃せば自衛隊施設への攻撃を許すことになる。

  • 提言: 自衛隊は、台湾軍(およびそのシステムを提供するAnduril/米国)との間で、戦術データリンクレベルでのIFF調整、あるいは少なくとも「飛行回廊(Corridor)」の設定に関する非公式な実務者協議を、米軍を介してでも早急に開始する必要がある。

8.2 インプリケーションⅡ:Lattice OSとデータ相互運用性の断絶

台湾が指揮統制の基盤としてAI駆動の「Lattice OS」を採用し、米国もこれに準拠していく中で、日本が独自のレガシーな指揮通信システム(C4ISR)に固執すれば、同盟内での「デジタル・デバイド(分断)」が発生する。

  • 課題: Latticeはセンサー情報をリアルタイムで融合・処理するが、自衛隊のシステムがこれとAPIレベルで連携できなければ、台湾軍が探知したPLA艦艇の情報を自衛隊が受け取るまでに致命的なタイムラグが生じる。

  • 提言: 防衛省は、次期指揮統制システムの選定やアップグレードにおいて、Latticeのようなオープンアーキテクチャ・ソフトウェアとの相互接続性を必須要件とすべきである。また、Anduril製品がデファクトスタンダード化する可能性を見据え、同社技術の評価や導入検討(あるいは互換性のある国産AIシステムの開発)を加速させる必要がある。

8.3 インプリケーションⅢ:「高市ドクトリン」とエスカレーション管理

高市首相の「台湾有事は存立危機事態」という発言により、中国は日本を台湾防衛の「当事者」と見なして軍事圧力を強化している。

  • 課題: 台湾の長射程兵器(Barracuda等)の配備完了(2027年頃)までの期間、PLAは「窓が開いているうちに」台湾または介入する日本を叩く誘惑に駆られる可能性がある(いわゆる「機会の窓」のリスク)。2025年から2027年にかけての期間は、Andurilの新兵器がまだ十分な数揃っておらず、かつPLAの警戒感は最大化しているため、日本にとって最も危険な時期となる。

  • 提言: 防衛省は、南西諸島の防衛力強化を急ぐと同時に、偶発的な衝突が全面戦争に拡大しないよう、現場レベルでの交戦規定(ROE)の精緻化と、日米台間のクライシス・コミュニケーション・メカニズムの構築(特に電磁波領域での干渉防止)を進める必要がある。

8.4 インプリケーションⅣ:防衛産業基盤の改革(調達モデルの教訓)

Andurilが台湾で実証した「リスクベースの先行生産」と「6ヶ月での納入」は、日本の防衛産業および調達システムに対する強烈なアンチテーゼである。

  • 課題: 日本の防衛調達は依然として重厚長大産業による長期開発・長期契約が主流であり、有事の際の急激な需要増(サージ)に対応できない。台湾がNCSISTとAndurilの提携で実現しようとしている「安価で大量のミサイル生産」能力は、日本がミサイルの備蓄不足を解消するために模範とすべきモデルである。

  • 提言: 防衛装備庁は、Andurilのようなディープテック企業が参入しやすいよう、契約方式の柔軟化(アジャイル開発、先行量産契約など)を推進し、従来のプライム企業だけでなく、新興技術企業との「共同生産」や「技術移転」を積極的に模索すべきである。台湾の事例は、外資系スタートアップと国営研究機関のハイブリッドモデルが有効であることを示している。

9. シナリオ・プランニング:想定される事態

シナリオA:グレーゾーン飽和攻撃

  • 状況: PLAが数百機のドローンを与那国島と台湾の間に飛ばし、日台の防空能力を麻痺させる。

  • 台湾の対応: Roadrunnerを使用して安価に迎撃・識別を行う。

  • 日本の課題: 自衛隊には同等の「再利用可能・安価な」迎撃手段が欠如しているため、高価なミサイルを消耗するか、傍観するかの二択を迫られる。Roadrunnerのようなシステムの導入検討が急務となる。

シナリオB:封鎖突破作戦のスピルオーバー

  • 状況: 台湾軍がAltiusの大群を用いて、台湾東方海域のPLA艦艇を攻撃。

  • 日本の課題: 攻撃を受けたPLA艦艇が回避行動をとり、日本の領海に接近。あるいは台湾のドローンが制御を失い与那国島に飛来。自衛隊の電子戦部隊がPLAをジャミングした結果、台湾のドローンの制御リンクも切断してしまう(フレンドリー・ファイアならぬフレンドリー・ジャミング)。

  • 対策: 電子戦における周波数帯の調整と、日台間の「見えない連携」が不可欠となる。

10. 結論

Anduril Industriesの台湾進出は、単なる一企業の商取引ではなく、インド太平洋の防衛エコシステムにおける地殻変動である。台湾は、米国製の先端技術と自国の製造能力を融合させ、中国の量的圧倒に対抗するための「非対称の牙」を急速に研ぎ澄ませている。

「正義使命-2025」演習が示したように、中国の包囲網は日本の玄関先まで迫っており、台湾の新たな防衛能力(長射程・自律型・大量)は、日本の安全保障環境と物理的に重複する。日本の防衛省・自衛隊は、従来の「台湾有事は米軍が主導し、日本は後方支援」という受動的なシナリオから脱却し、自律型兵器が飛び交う混雑した戦場でいかに自国の安全を確保し、かつ台湾の防衛努力と矛盾しない作戦行動をとるかという、極めて高度で能動的な戦略調整を迫られている。

Andurilが台湾にもたらした「スピード」と「ソフトウェア中心」の変革は、日本自身の防衛力整備にとっても、直視すべき鏡像である。


参考文献・データソース一覧

本報告書は、以下の情報源に基づき作成された。(リンクが必要な方はおっしゃって下さい。インフラコモンズ・ウェブサイト

  • 19 VOA Chinese: Anduril delivers first batch of attack drones to Taiwan (2025/08/07)

  • 37 CNA: Anduril founder visits Taiwan, emphasizes winning (2025/10/20)

  • 20 Breaking Defense: Anduril increases Indo-Pacific footprint (2025/08/08)

  • 21 MLQ.ai: Anduril Opens Taiwan Office (2025/08/07)

  • 18 Anduril Press Release: Commitment to Taiwan (2025/08/04)

  • 26 CNA: Altius-600M capabilities and delivery (2025/08/05)

  • 32 1News: China sanctions US defense companies (2025/12/27)

  • 3 Xinhua: PLA launches 'Justice Mission 2025' (2025/12/29)

  • 2 Times of India: China launches drills around Taiwan (2025/12/29)

  • 4 ISW: China-Taiwan Update (2025/12/23)

  • 8 Global Times: Expert interprets PLA's 'Justice Mission 2025' (2025/12/29)

  • 33 Asia Times: Barracuda-500 US-Taiwan co-produced missile (2025/09/22)

  • 13 Eurasian Times: Japan to Deploy EW on Yonaguni (2025/12/04)

  • 29 Yahoo News Taiwan: Military interest in Roadrunner (2025/10/xx)

  • 26 CNA: MND response to Justice Mission 2025 (2025/12/29)

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