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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

インド最大手電力会社が中国政府系銀行から11億ドルの融資

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この半年、クライアント様からいただいているお仕事と、自分たちで手がけようとしている内外の案件の準備とで慌ただしく過ぎまして、ほとんど更新ができておりませんことをお詫び申し上げます。
ブログを書くということは筋トレに似たところがあります。
肩慣らし方々、目に留まったネタなどについて再び記していきたいと思います。

今朝目に留まったのが以下のニュースです。

Wall Street Journal: India's Reliance Power Gets $1.1 Billion in Loans from China

インドでは連邦政府および州政府系の電力会社と純粋な民間の電力会社と併存していますが、Reliance Powerは民間側の最大手。名前からわかる通りコングロマリットのリライアンスグループに属しています。

■中国政府系銀行による国際インフラプロジェクトへの融資

記事では、Reliance Powerがマドヤプラデシュ州の石炭発電プロジェクト向けにインド国内銀行から借りた26億ドルの借り換えを目的として、中国系の銀行から11億米ドルの融資を受けたと伝えています。中国系銀行がインドの発電プロジェクトに融資するのは初めてとのことです。

インド国内の銀行の金利は13.5%に上るそうで、今回の借り換えによって中国系銀行の5%以下の金利が適用されるため、債務コストが大幅に圧縮されるメリットがあるとのこと。しかしまぁ13.5%とは衝撃的な数字ですね。

貸し出しに応じた銀行は中国銀行、国家開発銀行、中国輸出入銀行の3行。いずれも政府系の銀行と言ってよいですね。中国政府もいよいよ政府系銀行の資金力でもって国外インフラプロジェクトを支援する方向を打ち出したのかという印象があります。

日本政府が過去2年の間に整備してきたインフラ輸出政策のなかでは、国際協力銀行(JBIC)による2兆円超の海外インフラプロジェクト向け融資枠の設定が最大のポイントです。この方策が明らかになった当時、米国、韓国、中国のいずれも、政府系銀行に自国企業による国際インフラプロジェクト向けの大きな融資枠を持たせるということはしていませんでした。韓国が数百億円ぐらいでしたでしょうか(出所が探せません…)。従って、国際インフラ業界ではJBICによる融資枠の設定は唯一無比、最強といった観がありました。

実際、JBICによる支援は日本企業のインフラ案件受注に大きく役立っており、今年の初めぐらいから頻繁に報じられるようになった商社やプラントエンジニアリング会社によるアジア、アフリカ、中東の大型インフラ案件受注のニュースの背景にはJBICの融資があります。正確に言えばJBICが各案件のプロジェクトファイナンスにおいて先導役となることで、国内メガバンクや海外の大手行なども協調融資に応じ、数百億円〜2,000億円規模のファイナンスが成立しています。

今回の記事は中国政府がそれとほぼ同じことをやり始めたということを窺わせる内容になっています。手強いですね。

■補足:インドの電力需要の大きさ

しかしまぁインドの電力需要は巨大です。WikipediaによるとReliance Powerが保有・計画中の発電資産の総容量は3万3,480MWに上ります。原発1基が1,000MWだとすると33.5基分。
インドにはReliance Powerの規模をはるかに上回る連邦政府系のNTPC(旧称National Thermal Power Corporation、株式公開企業)という電力会社があり、既設分だけで3万6,014MW、原発36基分の発電容量を持っています。

このような発電の巨人が存在していながら、周知のようにインドではまだまだ電力は足りていません。都市では停電が日常茶飯です。
インド連邦政府は「電力をみんなの元に」(Power for All)を掲げて、2012年までに10万MW(原発100基分)の発電容量を増強するプロジェクトを進めてきていますが、計画は大幅に未達のようです。

Reliance Powerが2010年11月に中国の電機メーカー上海電気にかけた調達も巨大です。石炭発電所36基分の設備費、10年に及ぶサービス提供費の合計が83億米ドル。2000年代半ばの東京電力の設備投資に匹敵するサイズです。

ぜひともインドの攻略を。

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