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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

80年代からあった世界5大陸を高圧直流送電網でつなぐ構想"Global Energy Grid"

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ソフトバンク孫社長の「アジアグリッド構想」に関係した話題として、世界の全地域を高圧直流(HVDC)送電網で結ぶ構想を推進している"Global Energy Network Institute"の存在についてご紹介します。

以下が世界の全大陸を高圧直流送電網でつないだ図です。

Dymax_grid_flowsnotext

出所:Global Energy Network Institute

これによると、北米大陸の西海岸を北上してアラスカ経由でロシアに入った送電線が北京を経由してインドシナ半島へ南下するルートを幹線だとすると、日本へ来る支線はシベリアのどこかで分岐して北海道に入り、本州を貫いて九州から朝鮮半島へ抜け、北京あたりで幹線に合流しているように見えます。

この気宇壮大な送電網"Global Energy Grid"は哲学者・建築家・発明家のバックミンスター・フラー(Richard Buckminster Fuller)の発案になるもの。彼は1960年代に世界の人口増加、資源の枯渇、南北の発展格差などの問題を解決し、世界発展の最適解を求めるための"World Game"を考案し、何度か試行したようです。超長期を見渡した一種のシナリオプランニングだと思います。

そのなかで、世界の有限の資源を、もっとも短い時間で世界中の人々に行き渡らせるためには、世界の全地域に送電網を張り巡らし、砂漠地域などの太陽資源や風力資源を基にした再生可能エネルギーの電力を供給するのが順当であるという結論を得ます。

上の北極を中心にして世界の5大大陸を一体のものとして捉えられる"Dymaxion Map"も彼の考案になるもので、この視点で見れば、世界規模の送電網をイメージしやすいですね。

この"Global Energy Grid"の構想を推進するために財団法人Global Energy Network Instituteが1986年に設立されています。おそろしく早いです。

発案当時は米ソの冷戦化にあったため、東西両陣営にまたがって送電網をつなぐなどとんでもないという反応を受けたようです。また、当時の送電技術では数百kmしか送電できなかったため、現実味がありませんでした。
しかし、現在のUHV(超高圧)による直流送電技術を使えば、数千kmの送電が可能になるため、きわめて現実的な構想になってきたと言うことができます。弊ブログでも取り上げた中国の西電東送の送電網も全長数千kmに及びます。

こうした大陸をまたぐ巨大な送電網の計画では、サハラ砂漠の主には太陽資源による発電を欧州の電力消費地に送り届ける"Desertec"が知られています。これも企業などが資金を拠出した基金"Desertec Foundation"により、ゆっくりではありますが、実現に向けた仕組み作りが行われています。

Desertec

また、デザーテック日本版の構想も存在し、東京工業大学の玉浦裕教授らが進めているそうです。

日経BP:日本を救うか、太陽熱発電の「アジア・デザーテック計画」

Global Energy Network Instituteは同グリッドを実現するために啓蒙活動、特に世界のリーダーに対する啓蒙を行っています。ただ、World Economic Forumのような、毎年世界の政財界のリーダー多数を集めて華々しく会議を行う活動と比較すると、知名度不足の観は否めません。日本の送配電に関わるメーカーさんなどの支援があれば、世界的に影響力のある活動になるのではないでしょうか。

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