オルタナティブ・ブログ > インフラコモンズ今泉の多方面ブログ >

株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

インドネシア・西ジャワ州の地熱案件

»

インドネシア政府が今年4月中旬に内外の投資家(潜在入札参加希望者)に対して行った説明会において、西ジャワ州のインフラプロジェクト担当官が使った資料がこちらにあります。

Province of West Java: Platform for Quality Growth

資料では外国企業の投資を期待する以下の7つの領域の概要が記してあります。
- 地熱発電
- 国際空港
- 水産業拠点
- 合成アスファルト製造拠点
- 先端看護教育センター
- ごみリサイクル管理
- 牛肉生産拠点

地熱発電と国際空港は従来型のインフラ案件として切り出しが可能ですが、その他のものについてもいくつかは、収益モデルをインフラ施設的なものとして設計すれば、従来型インフラ事業のスキームがそのまま使えるのではないかと思います。

なお、同国では、案件として形が整ったものについては年に一度まとめて以下の"PPP Book"で公開しますが、案件になりきっていないものについては、企業からのUnsolicited Proposal(民間企業の発意による提案書)の持ち込みを認めていて、制度的にそれをフェアに処遇する仕組みもあります。よって提案次第というわけです。

西ジャワ州は首都ジャカルタがあるジャワ島の西端にあり、人口436万人。州都はジャカルタから車で2.5時間ぐらいのバンドン(Bandung)。インドネシアの製造業の40%以上が同州にあります。2025年までに8,500億米ドル相当のインフラ施設、公共施設、製造業拠点、農水産業拠点などの建設を予定しています。これは2025年までの政府マスタープラン「MP3EI」のジャワ経済回廊の計画の一環ということでしょうね。

この投稿では同資料の地熱発電について見てみます。

インドネシアは世界の地熱発電資源の40%が集中していると言われており、20,000MW(標準的な原発28基分)以上の潜在発電容量があります。うち27%が西ジャワ州にあります。

資料によると同州の地熱発電により、2025年までにインドネシア全体の電力需要の3〜4%をまかなえる可能性があります。現在同州では以下の4つの地熱発電所が稼働中ですWayang Winduは住友商事サイトのこのページで紹介されているものですね)。

- Kamojan(200MW)
- Mt.Salak(375MW)
- Darajat(259MW)
- Wayang Windu(227MW)

西ジャワ州で地熱発電が見込めるエリアは43箇所。うち、14箇所が具体的な地熱発電所案件として切り出されつつあります。14箇所による推計発電容量は1,080MW(標準的な原発1基分)。総事業費約30億米ドルと見込まれています。日本企業にとっては大きなチャンスと言うべきでしょう。なお、地熱発電事業には優遇税制が適用されます。

Westjavageothermal


インドネシア政府が現在公開しているインフラ案件総覧とでも言うべき"PPP Book 2011"には、こうした地熱発電案件は載っておらず、これから案件としての切り出しを待つというところだと思います。"PPP Book 2011"には、発電関連では石炭火力発電が5件、水力発電が1件記載されているのみです。

インドネシアでは、エネルギー鉱物資源省や国営電力会社PLNが官民連携の発電所建設を推進しているだけでなく、州政府も力を入れているようです。細かく探すと中小の島々(とは言っても四国程度の大きさはあるもの)で、地熱発電に加えて太陽光発電や風力発電の計画を持っているものもあり、そうした案件は州政府(Province)や県政府(Regency)の所管となるようです。受注活動では、そうしたところと話をする必要があります。

---------
[お知らせ]
先日お知らせしたインドネシア・インフラ案件視察の募集がコラボレート研究所さんでも始まりました。最大手製造業さんから参加申込が入っています。西ジャワ州政府も訪問予定。

Comment(0)