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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ベトナムのインフラ需要について

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日本政府のパッケージ型インフラ輸出政策では、インド、ベトナム、インドネシアの3国が重点相手国になっています。インドではデリー・ムンバイ間産業大動脈構想、ベトナムでは原発建設が動いており、インドネシアでは今後複数のインフラ事業の成約が伝えられるものと思われます。

今朝の日経で、来日中のベトナム政府高官が同国の高速鉄道計画について、一度コストの関係で棚上げになった日本の新幹線方式を改めて検討するという趣旨の記事が出ていました。首都ハノイと最大の商業都市ホーチミンシティとを結ぶ1,570kmを5時間半で結ぶ計画です。
近隣国の高速鉄道では、中国が雲南省昆明からラオスを経てタイに接続し、さらにシンガポールまで伸ばす計画があります。その計画からいわば漏れた格好になっているベトナムは、日本にとってオポチュニティだと言えるでしょう。

その他、ベトナム関連のインフラ事業では、産経ニュースが今日付で、港湾、空港、電力などの8事業で計1兆円超のプロジェクトが動き始めたと伝えています。

産経ニュース:「脱中国」へ官民でベトナムインフラ整備 8事業で1兆円超投入

日本の大手商社やゼネコン、高速道路会社などが政府との官民連携でベトナムのインフラ整備事業に乗り出す。港湾や空港、電力、駅周辺の整備など8事業で総額1兆円超のプロジェクトを計画し、第1弾として、政府は月内にも伊藤忠商事や日本郵船、商船三井などが手がけるベトナム北部のラックフェン港開発事業に対する円借款供与を決定する。

同じ動きを報じているフィナンシャルタイムズの記事がこちらにあります。
FT: Japan in push to build infrastructure in Vietnam

海外のニュースサイトでベトナムのインフラ関連の動きを拾ってみると以下があります。

■アジア開発銀行がベトナムの上水道に10億米ドルを融資

Reuters: ADB to lend Vietnam $1 bln to fix water system

記事によると、アジア開発銀行はベトナムの上水道整備に10億米ドルの融資を決定しました。最初の融資1億3,800万米ドルはホーチミンシティの50万人への供給システム改善に投入。20万世帯では初めて水道を利用できるようになります。他の大都市でも順次水道管の新設、修理、拡張を予定。
ベトナムの主要都市では4割の世帯が上水道のサービスを受けておらず、上水道設備がある都市は1/3に留まります。上水道がある場合も漏水率が30〜40%。政府は上水道のカバレッジを2020年までに人口の90%、2025年までには全人口に拡大する計画を進めています。

日本の水ビジネスを狙う企業には数多くのオポチュニティがありそうですね。

■外国企業の投資を呼び込むために電力料金をアップ

VietNamNet: Businesses say they accept high prices, if there is sufficient electricity
AFP: Vietnam to hike power rates
VietnamNewsToday.com:Price rise heartens power investors

ベトナムでは電力供給が需要に追いつかず、計画停電が恒常化しているようです。一番上の記事では、原材料費高、人件費高を乗り切るために、増産で対応しようとしている米系の建材メーカーが、ベトナム電力公社から電力カットを申し渡されて困惑している様が伝えられています。

ベトナムでは発電の4割が水力。しかし最近は渇水傾向にあり、今年の電力供給は昨年よりもさらに低下する見込み。慢性的な電力不足は、同国の電力料金がタイ、マレーシア、中国よりも安い水準にあり、外国資本による発電事業への参入が不活発だからだそうです。
政府では近年電力料金を上げてきましたが、2月下旬には新たに15%の料金アップを決定、1kWh当たり1,077ドン(4.264円)から1,242ドン(4.918円)へと改訂されました。これにより投資環境は改善します。

同国で展開する欧州商工会議所によれば、向こう5〜10年でベトナムのエネルギーインフラは400〜500億米ドルの投資を必要とするとのこと。建設のリードタイムが短い洋上風力発電などのオポチュニティがあるのではないでしょうか。

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