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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

エントリーバリューを高めるための1方策 - サンプラーを用意する

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「エントリーバリュー」(EV)という概念を設定すると、色々論じられることに気づいたので、何度か書いています。この概念自体EVが高いです(^^;。

エントリーバリューとは「ある対象が、あるブロガーにとって、ブログを書くのに値する内容を持っているか否か」を論じる際に使う概念であり、ある対象が1回分のエントリーを書くのに値する内容を持っている場合、「1EVを持っている」と表現することにします。

EVは、あくまでもある特定のブロガーにとって、ブログに書く価値があるかないかを言うための概念なので、かなり主観的な尺度です。ブロガーAにとってはEVがあるネタも、ブロガーBにとってはEVがない、ということがあります。

ただ、このへんは、マーケティングの世界で言う「経験価値」にも通じるものがあります。ある特定のホテルが経験価値を持っているか否かは、1人ひとりの顧客の感じ方によります。

けれども、経験価値を高めることが、企業戦略の1つの選択肢になっていることからもわかるように、特定の顧客ターゲットにおいて「大多数が経験価値が高い」と判断するという状態を目指すことは可能です。(この場合、経験価値が高まったかどうかは、リピート率や顧客満足度調査で判断することになるのでしょう。)

つまり、EVにおいても、あるセグメントの大多数のブロガーに「この商品はEVが高い」と思ってもらえるような方策を講じることは可能だということです。

経営の観点からすると、ある数値指標を高めるために、何らかの方策を講じる余地がある、ということは非常に重要です。PDCAのサイクルを回すことができるようになります。

ということで考えてみました。企業がEVを高めるための1方策。

買いやすい価格帯のサンプラーを用意し、ブロガー専用という設定で頒布する。

この場合の「サンプラー」とは、音楽の世界で言うサンプラーではなくて、お試し品セットという意味ですね。ワインの世界でよく使う。例えばこんな感じの。

ブロガーはブログを書くためのネタを常に探しています。ある商品ジャンルを自分のテリトリーとしている場合、新製品が出てきた際には「試してやろう。よければ書いてやろう」ということを考えています。
けれども、価格帯が少しお高い商品の場合には、そんな簡単に試すことはできません。それも、いちどきに、6種類のシリーズ製品を一挙に発売するというパターンの場合、それら全部を試すのは財布の負担があり、少し難しいです。

そこで、少量のお試しができるサンプラーを用意する。シリーズ製品が6種とか12種出る場合は、すべてのサンプラーをセットにする。そして比較的購入しやすい価格帯で売る。
無料で配布するのではなく、あくまでも有料で頒布することが重要です。というのは、ブロガーにとって、購入という行為は一種の投資行為であり、「買う以上はリターンを取らなければ」という本気モードが得られるからです。

そしてこのサンプラーを、ブロガー専用ということで頒布する。

購入申込者がブロガーであるかどうかを判断するのが少し面倒ですが、やり方はいくつかあるでしょう。
例えば、自己申告式にする。ブロガーは、自分のブログのURLと、そこに記載されているメールアドレスを申告する、返送用メールアドレスがブログ記載アドレスであれば可とする、といったやり方があるかと思います。あまりがちがちにならず、ブロガーであるかどうかのチェックはしない、ということでもいいかも知れません。

こういうサンプラーがあると、すごくブログで書きやすくなります。

似たことをやっている事例がありました。永谷園の「『冷え知らず』さんの生姜シリーズ 4食セット」の配布です。「ブロガー限定プレゼント」とあります。

食品に限らず、他の商品ジャンルでも応用が可能です。高額商品でも、期間限定貸与のスキームを作れば、十分にやれるでしょう。

要は「試してみたい!試してみた結果をネタにしてみたい!」という欲求に素直に応えてあげればよいのです。

厳密に言うと、これによって、EVそのものが高まるというわけではありませんが、「EVが高いかどうかを判断してもらえる機会」をより多くのブロガーに提供することができます。

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