エマージングマーケットおそるべし
日本にいるとエマージングマーケットのすごさがいまいちピンと来ません。12月8日付日経新聞に次のようなくだりを見つけて目を丸くしました。
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今年、欧州やロシア、トルコなど「拡大欧州圏」で合計830万平方メートルのショッピングセンター(SC)が開業した。日本最大級のSC「ららぽーとTOKYO-BAY」(千葉県船橋市)が1年間で約70店できた計算になる。
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--「転機のユーロ景気(下)」
1年で日本最大級のショッピングセンターが70店舗!
これがエマージングマーケットのすごさです。
一般的にはBRICs、VISTAあたりがエマージングマーケットということになりますが、グローバル企業の多くは、ロシア、東欧、中東の金満国をエマージングマーケットとして括り、ロンドンあたりに拠点を置いて統括しています。これは地理的な管理がやはり便利だからです。ブラジルは南米地域、インドと中国はアジア太平洋地域として括り、別な拠点で見ているのが普通です。
ロンドンからロシア、東欧、中東金満国の各マーケットを見ると、どこも20%、30%といった成長が見込まれて、すごいんだろうなと思います。
私事になりますが、今年の春頃、ヤフオクにテクニクスのプリアンプを出品しました。アナログレコードの再生用のイコライザに特徴がある、ややビンテージっぽい中級機です。これが入手した時の値段よりも2倍近い高値で売れました。買ったのはトルコ在住の方でした。
メールでやり取りを重ねていると、①アンプはテクニクスで固めていてプリアンプでは同型機をもう1台持っている、②いつもはeBayを使っているがテクニクス製品はヤフオクの方が出品が多いのでヤフオクもウォッチしている、③ダイヤトーンのビンテージハイエンド機の入手をずっと狙っている、④ソニーのヘッドフォンのハイエンド機も欲しいものリストにある、といったことがわかってきました。
ビンテージおよびそれに準じるモデルの購入資金として100万円程度は常時手元にあり、オンラインオークションで出物があるとすかさず買いを入れる、ということをしているようです。
メールを何度もやりとりしましたが、富裕層の方というわけではなく、いわゆるMass-Affluentに属する方のようでした。イスタンブールに住んでいます。
トルコ。大都市に在住する大衆富裕層の青年。日本のテクニクスやダイヤトーンのハイエンドビンテージをeBayやヤフオクで常に物色している…。
おそらく、国によってまだら模様はあるにしても、われわれが今まで市場であると考えもしなかった国々において、中間層が分厚く育ってきているし、中間層の上には相当程度のMass-Affluentがいるという構造が、かなり速いペースでできあがっているのではないかと思います。
それでなければ、1年で日本最大級のショッピングセンターが70店舗という事実が説明できません。