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二拠点生活2.5年。あるいはワーケーションというより単なるワーク

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元々住んでる東京都多摩地方と長野県原村とで2拠点生活をしている。
原村は知らない人が多いと思うが、東京から中央高速で2時間くらい。諏訪湖の手前ですね。標高が高くて億を超える年商のセロリ農家があるような、比較的裕福な自治体らしい。八ヶ岳の近く、というよりも八ヶ岳の中腹に僕の家がある。

コロナ生活も2年以上になり、職場ではない所での仕事は当然になり、自宅ではない所で仕事することもやる人が増えた。夏休みなので、軽い話題として僕のケースがどんな感じだったかを書いておこう。

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セロリ畑。

★2020年2月17日
会社の経営会議でリモートシフトを決定。
この時の様子はこちらの記事に。
ウチの会社のコロナ対応、あるいは自律的な組織なりのBCP



★2020年2月20日のfacebookの投稿

コロナウィルス対策でリモート会議が一般企業にも広がることを期待している。
将来の野望として標高1000オーバーに家を持って、休暇と仕事と執筆を1/3ずつやるというのがあって。夏の東京が嫌いすぎて。
それに向けたラスト1マイルがお客さんとの打ち合わせだったんだよね。

コロナになってすぐに「もしかして、ずっと念願だった"夏は涼しい所からリモートワーク"をできない理由が消滅したのでは?」と考えた。まだ世間がStay Homeとか言い出す前。


★2020年4月:別荘購入
八ヶ岳に絞ってネットで別荘を探し、最後だけ現地訪問。翌日意思決定。

ちなみに僕はすでに出来上がった家を買うより、作ってもらうのが好きなタイプ。でもこの時は中古別荘をサクッと買っちゃいました。
なぜなら、夏までに別荘が必要だったから。東京の自宅は冷房が効かない構造で、「この家でひと夏在宅勤務したら熱中症で死ぬのでは?」と思っていたから。当時は会社に行けなかったし。すぐに使えることを重視。


★2020年5月:二拠点生活へ
当時は「県をまたぐ移動はするな」みたいなムードもあったので、ひっそりと八ヶ岳での生活を開始。普通にzoomで会議していたけど、同僚やお客さんは「背景がが変わったな・・。」というくらいだったのでは。(会社にも別に何も言わなかったし、今でも正式には何も言っていない)

★意思決定の早さ
当初不動産会社は「こんな時勢に別荘ですか・・」と、やや困惑していた。
数カ月後に話した時は「白川さんがきっかけになったように、あれから別荘を探すお客さんがすごく増えて、値段もずいぶん上がりました」と忙しそうにしていたので、早めに行動して良かった。僕の時は需要が全くなく、かなり値引きしてもらえたので。

なぜ他の人よりも意思決定が早かったかといえば、以前から「なぜオレは東京に住んで、満員電車で通っているのだろうか?」と考えていたから。
その時の結論は「顧客へのサービス提供は対面じゃなければできないから」だった。当時からリモート会議のツールは発達していたし、社内では使っていたが、顧客の側がそれに対応できていなかった。サービス業としてそれは致命傷だ。
この点だけが唯一のネックだと自分のなかで明確になっていたので、上記の2/20のFacebookの投稿のように、コロナが来た瞬間に、行動しない理由がなくなったことがすぐに理解できた。

6月ごろある人に「コロナで在宅勤務になり、良い椅子を買った、という人は何人か知っています。でも別荘買った人ははじめて聞きました」と驚かれたのだが、自分としてはとても自然だった。


★なぜ八ヶ岳か?
万一、将来「東京の会社を辞めずに高原の別荘買う」を考えているなら、長野県原村がおすすめ。僕は軽井沢、清里、山中湖、蓼科などを検討したけど、原村にした。参考までに理由を書いておこう。
・夏でもクーラーいらないのは、温暖化でいまや標高1200以上。それだと原村と蓼科、清里のごく一部のみ
・東京西部から車で2時間強
・蓼科はかなり雪が降るし、少し東京から遠い(原村は雪は少ない)
・原村は別荘地としてマイナーだからか安め
・自治体の財政が健全で、完全移住することになっても安心(セロリ農家のおかげ)
・湿気が少ない。軽井沢はカビで有名
・麦草峠など、自転車乗るには最高
・八ヶ岳は登って楽しい山(単独峰じゃないので、いろんなルートがある)

たまに来るだけじゃなくて、長期間暮らすことを考えると、上記のなかでも「涼しい&湿度が低い」が結局のところ一番大事だと思う。風景はだいたいどこでも良いし、食べ物はなんとでもなる。でも気候はどうにもならないし、そもそもそれを求めて東京じゃないところに家を求めるのだから。


もちろん、他の候補地が勝っている点もある。
・レストランは軽井沢清里の方が選択肢あり
・軽井沢なら新幹線通勤が可能
新幹線通勤というカードは強力で、週に何度か東京に行く必要があるなら、軽井沢は圧倒的に便利。僕は東京西部に住んでいるので、自宅から軽井沢はかなり遠いのでやめたけど。


★実際に住んでみてどうか?
ワーケーションという言葉があるじゃないですか。休暇滞在中に旅先から仕事するみたいな。でも僕の場合は、単に仕事をする場所が暑い東京の自宅じゃなくて、涼しい高原になった、というだけ。会議はびっしりあるし、普通に仕事。ワーケーションではなくただのワーク。仕事自体はどこでやっても同じ。
「休暇と仕事と執筆を1/3ずつやる」と野望をFacebookに書いていたが、仕事場が変わるだけでこんな優雅になれるわけもないし、大変な仕事が楽になる訳ではない。

まあでも、仕事の前に自転車ヒルクライムの練習ができたり、昼休みが長めに取れる時は小粋なカフェに行けたり、仕事机の目の前でバードウォッチングができたり、ほとんど喋らなくて良い会議に参加しながら草刈りができたり、在宅勤務特有の行き詰まり感はずいぶん軽減されるかな。

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★対面とリモートのメリハリ
いくらお客さんもリモートワークに慣れたといっても、やはり人間と人間が泥臭くプロジェクトを進めるにあたって、対面の方がコミュニケーションがスムーズなのは間違いない。
そこで僕らケンブリッジでは、メリハリをつけることにしている。
例えばプロジェクトのキックオフや集中討議、ややこしい課題の議論の際は対面で一気にケリをつける。この時は僕も長野から出てきて客先や自社のオフィスに行く(高速バスで3時間くらい)。そうやって信頼関係を作っておけば、普段はリモートでもスムーズにプロジェクトは進む。
結果、2/3くらいは長野、残りは東京で暮らしている(春夏秋)。冬は本当に寒いので、スキーに絡めて2,3週間くらいしか滞在しない。

まあ、こんな感じが僕の2拠点生活です。Quality of Lifeは確実に上がりました。


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2年前のブログ

(ブックホテルで)帰りがけに手にとったある本は僕の人生を変えることになった(その話はいつかまたどこかで)。

と意味深なことを書きました。
コロナになった直後に、本を書くためにこのブックホテルに泊まった時の話。
帰りがけに「週末移住からはじめよう」という本を見つけたので買ってみた。元々2拠点生活に興味があったから。
そしたら著者の人は八ヶ岳に住んでいるらしく、元々考えていた白馬や妙高よりも原村推しだったんだよね。それまであまり念頭になかった八ヶ岳が有力候補になったのはこの本の影響が大きかった気がする(とは言え、人生を変える、というのは少し大げだったかな)

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八ヶ岳の一つ、阿弥陀岳(赤岳の次に高い)

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