オルタナティブ・ブログ > プロジェクトマジック >

あるいはファシリテーションが得意なコンサルタントによるノウハウとか失敗とか教訓とか

ルールを見たらしつこく自問せよ、あるいは習慣がもたらす決定的な差について

»

去年の4月1日にも新入社員向けの記事を書いたので、今年も若者向けオジサントークを。
まあ、このブログ、ほとんど新入社員の人とか読まないんですけどね。


★決まり事を見たら・・

会社に入ると、よく分からない決まりごとが沢山ある。
「○○円未満の支払い決裁は部長以上の申請が必要」とか「○○の締めは月初第3営業日」の様な、業務プロセス上の約束事もある。
「5月1日からの半年間はネクタイ不要なのに、残りの半年間は絶対ネクタイしないとだめ」という中学生の校則みたいなルールもある。
「見積をする際は、この原価表を使うこと。値引率は◯◯%までとする」といった商売上の決まりもある。


いずれにせよ、最初はそれを覚えて間違えずに仕事をこなすだけで精一杯だと思う。その手のルールは山ほどあるので。
だが、少し余裕が出来てきたら、必ずそのルールの意味について考えて欲しい。ルールを「そういうもんだ」と思って従うだけの人と、ルールについて色々と考えている人で、1,2年は有意な差は出ないかもしれない。
だが、10年それをやっている人と、のほほんとしていた人では、断然変わる。仕事をする人として別人になる。



★では、何をどう考えればいいか?


【1】ルールの範囲をまずは把握しよう。
・自分の部署だけのルール
・自分の会社だけのルール
・自分の業界、業種だけのルール
・世の中一般のルール

これは一見簡単のようで、中々難しい。特に「自分の会社だけ?」や「自分の業界だけ?」は、転職するまでは本当には分からない。でも、アンテナを張っていると、取引相手はどうもそんな事考えてなさそう、とか外資系は気にしてなさそう、とかが見えてくる。


【2】なぜそのルールがあるの?
ルールって存在自体が面倒くさい。仕事を縛ることが多い。それでもあるのだから、何か理由がある。一見意味が無いように見えて、大事なことだったり。一見大事そうに見えて、実は昔からの名残なだけで、今となっては意味がなくなっていたり。

いずれにせよ正解はないので、仮説を持って何気なく先輩や上司に聞いたりする。ほとんどの人がキチンとした理由を知らないと思うけれども、それが分かるのもまた良し。


【3】それを破ると何が起こる?
破った人が罰せられる、というだけじゃなくて。
ルールがあるということは、破ると組織全体が損害をこうむるはずだ。それはどういう損害なのだろうか?【2】を考える取っ掛かりにもなるはずだ。


【4】自分が改良するならどう変える?


「なぜフェンスが建てられたのか分かるまで、決してフェンスを取り壊してはならない」      by チェスタートン


パッと見て邪魔だから壊してしまった。でもそのせいで羊が逃げちゃったり狼が入ってくるかもしれない。気づいた時には遅いかも・・という意味だろう。

つまり、誰かが昔決めたルールを改良・廃止するのはそれほど簡単じゃない。それでも「自分ならこうするのに」を考えておくことは出来る。考えるだけなら何のリスクもない、ただの訓練である。
入社2年目に「こういう理由で作られたフェンスだろうから、今となってはこういう風に直したほうがいいんじゃない?」と思ってたけど、10年目にそうじゃないんだ!と気づいてもいい。
それが成長というものだ。



★そうすると、あなたはどう変わるか?

こういう風に、会社のルールについて一つ一つ考えていくと、どう変わるか。
一言で言うと、偉くなった時に困らない人になります。
実際に偉くなれるかどうかとか、偉くなって嬉しいかはこの際おいておくとして、いざ偉くなった時に困らない方がいいですよね。


課長でも部長でもいいんだけど、管理職の仕事ってざっと挙げると
・イレギュラー対応、トラブル対応
・他部門、他社との調整
・新しい仕事の方針をたてる
・今の仕事のやり方を変える
みたいなことなのだが、どれも「既存のルールに従えばいいだけの仕事」ではない。
こういう仕事をキチンとやろうと思えば思うほど、仕事の本質的な意味を理解した上で、「だから今回はこうすべき」を決断していかなければならない。どちらかと言うと新しいルールを作るような仕事だ。

 
ルールに従えばいいだけの仕事は、担当者が粛々とやってくれる(はず)。だから、管理職にそういうヤヤコシイ話ばっかり集まるのは当たり前だ。
でもそんなのいきなりやれと言われても、普通は出来ない。担当者の仕事からは結構飛躍がある。だから、5年とか10年をかけて、準備しておいた方がいい。準備の方法は沢山あるけれど、ルールについて片っ端から疑問に思う、というのはかなりお手軽で、効果が高い方法だ。オススメしたい。


★副作用に注意!
ただし。2つの副作用がある。
まず、こうやってルールの疑問点を考えていくと、意味のなさそうなルールに従うのがバカバカしくなる時がある。ルールが一見無意味、というのとそれを破っていいかどうかは、別問題。バカバカしくなったとしても、必ず従わなければならない。ルールを破るような人に、面白い仕事は回ってこないからだ。

 

そして、「この決まりって何か意味あるんすかねぇ」と事あるごとに聞いてくる後輩とか部下って、日本社会ではあまり快く思われない。そういうことを普段考えもしない人からは特に。
上司や先輩からはやっぱり可愛がられたいよね、という人とか、そもそも可愛がられないと偉くなれない会社に勤めている人にはオススメしません。
そういう会社が20年後にもあるかどうかは分からないけれども。



*****************************
★去年の新入社員向け記事2本

人間は思っているよりずっと馬鹿だということ、あるいは社会人1年生の時に全然仕事ができなかった話

今日から社会人になる君たちへ、あるいは問いも答えもない世界へようこそ
 

 

 

======================================
セミナーのお知らせ
======================================
「これが無償とは思えない!」
「ケンブリッジはこんなノウハウを公開していいんですか?」
と、過去のアンケート用紙ではこんな声をいただいているセミナーを今年もやります。

今年からはさらに内容を充実させ
・業務改革シリーズ「まずは業務改革の視点を持て」(全3回)
・ITプロジェクトシリーズ「スコープ・マネジメントと製品/ベンダー選定」(全2回)
に分けて実施します。

なお、業務改革シリーズでは私達のお客さまである三井製糖さんでの業務改革の事例もご紹介します。様々な改革を成し遂げた大きなプロジェクトですので、参考にして頂けることも多いかと思います。

各パート単独で受講して頂いても有益だとは思いますが、シリーズまとめて参加される方が多いですね。

詳しくはWebサイトから。

Comment(4)

コメント

きむらよしひさ

誤:ルールを守るような人に、面白い仕事は回ってこないからだ。
正:ルールを破るような人に、面白い仕事は回ってこないからだ。

だと思います。

ardbeg32

意味のないルールの洗い出し・見直しや、逆に意味があるのに軽視されがちなルールの遵守状況のチェックを行うのが監査部な訳で、重箱の隅をつつくのが仕事と思われてるのがorz
業務の効率化に貢献しているんだけど、同時に独立性も高くないといけないので、新人はおろかベテランにもルールと監査部がつながらないんですよねぇ。
本来私は監査経験を活かした情報システムをつくりたいのに、どうも中小企業では興味が無いようで。むしろ記事の「ウザイ新人」と同じ扱いにorz
まあ20年後も存在している会社には思えませんがw

ubic

いやぁ、全く同感です。
私にとって、ルールは作るものだったので、どうしてこのルールは必要なのかは、意識してきたつもりです。
経理とかガバナンスの人は、細かいルール好きですよね。
私は、「法三章」の原則で行くべきだと思ってます。

ところで、★副作用に注意の第1段落の最後の文章は「ルールを守るような人に・・・」ではなく[ルールを守らないような人に・・・」ですよね?

きむらさん、ubicさん、ご指摘ありがとうございました。
遅まきながら直しました・・。ツイッターとは違って、さすがに自分で1回は読みなおすんですけど、気づかないものですね。そもそもこの記事、最初はタイトル忘れてましたし。

ardbeg32さん、
監査の立ち位置って確かにすごく微妙というか、難しいんですよね。僕も仕事柄監査っぽい立ち位置になることもありますが「警察であるな。サポーターであれ」と思いながらやっています。相手がどう思っているかは別ですが・・

コメントを投稿する