風呂敷は広げて畳め。あるいは僕の唯一のフレームワーク
★最強のフレームワーク(ただし僕にとって)
「考えるためのフレームワーク」がビジネス界(ビジネス本の世界?)でずいぶん前から流行っている。
プロジェクトワークでは、「考える」は、
(a)どのテーマをいつ、どのくらい考えたらいいか、を考えること
(b)テーマそのものについて考えること
の、2つにブレークダウンできる。
「フレームワークを知ってたって正解にたどり着けないでしょ」という批判がよくある。もちろん、フレームワークは(b)では役に立たないことが多いから、その批判には一理あるんだけど、だからといってフレームワークが全く役に立たない訳ではない。
フレームワークを知っていると、(a)を考える上でかなり助けになるのだ。それだけでもヨシとしないとね。
さて、あまたあるフレームワークのうち、個人的な思考から、プロジェクトでの検討にいたるまで、僕が愛用しているフレームワークはバージェンスモデルと呼ばれるもの。「拡散と収束」という意味である。逆に言うと、僕が意識して使っているフレームワークは、ほぼこれ1つ。
1)まずは妥当性はあまり気にせずに、片っ端から案を出す(風呂敷を広げまくる)。
2)出尽くしたら何らかの基準でアイディアを絞り込み、
3)本当に大事なものを残す(風呂敷を畳む)。
という考え方だ。
実は以前「プロジェクトを成功させる魔法?あるいはブレようのない要件定義」の回で書いた「やらないことを書く」というのも、このフレームワークの適用例なのだ。
絞り込む時に落選したアイディアを明記しておこう、という意味なので。
★広げる時期、畳む時期(大きな拡散と収束)
プロジェクトをファシリテーションする場合、プロジェクト全体のリズムというか、勢いをそろえることに結構気を使う。プロジェクトメンバー全員が、その時々で同じ方向を向いていないと、議論と作業がかみ合わない。
サッカーで「今は攻められているから、堪え忍ぼう」と思っているディフェンダーと「さっさと追加点を取って楽になろう」と思っているフォワードがいたら勝てない。監督やキャプテンがみんなの意見を統一して、攻めるか守るかをはっきりさせなければならない。それと同じことだ。
そこで、
・広げる時期
「アイディアをみんなで出して発散させましょう」などと言って、課題や仕事を効率化するためのアイディアを出す会議を多く組む時期
・畳む時期
現実に立ち返って、本当にうまくいくのか裏取りをしたり、取捨選択(うまくいきそうにない施策を捨てたり、他の組織に任せる)をする時期
という2つの時期を意図的に、明確に分けて、ダラダラ検討しないようにする。
「さあ、ここからは畳みますよ」と明確にモードを変えるのがコツ。
★「3案あります。」(小さな拡散と収束)
こんどは、ぐっと規模の小さな、日々の打ち合わせレベルの話。
プロジェクトでは意思決定をしまくるわけだが、毎回ゼロから会議で話していたら、時間がいくらあっても足りない。だから普通は、誰かがたたき台として選択肢を用意する(これをコンサルタントがやると、だいたいたたき台は3案になるのだが、ちょっと長くなるのでまた別途)。
言い方を変えると、3案出すということは一回「風呂敷を広げる」こと。
この方法しかないだろう、という確定案1つだけをたたき台として議論すると「ふーん、そうなの」で終わってしまうことが多い。無理矢理にでも複数の案を用意し、1案に絞る議論をする。つまり、いったん風呂敷を畳む。
このプロセスをわざわざ経ると結論を納得しやすいし、もっと良い第4の案を発見できることも珍しくない(案Bと案Cを組み合わせて案Dを作る、など)。
「無理矢理複数案を用意する」というとネガティブだが、こうすることで見落としていた要素、一見突飛だけどよく考えると良い案、などを見逃さずに拾えることも大きい。
こういう風に例を挙げると「フレームワークとして意識していないけど、もちろん普段からやってます」という方も多いと思う。本当に単純なフレームワークだから、当然だと思う。
でも漫然とやるより、フレームワークだと意識してその威力をもっとしゃぶり尽くせる。長くなったので、次回「広げて畳む」作戦がなぜ有効なのかを考えていきたい。
まとめ。
何かを考え、決定するときは一旦広げて畳もう。広げないで決めちゃうよりも、良い結果になる。今日はここまで。
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(一体何人がネタ元を知っているのだろうか・・)
定時後なので、僕も肩の力を抜いて話そうと思います。(まあ、力がヌケヌケなのはいつもなのだが)。
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