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あなたの会社のDX研修、大丈夫?それ、ただの「デジタルリテラシー研修」かもしれません。

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「全社を挙げてDXを推進するぞ!」 そんな掛け声とともに、多くの企業で「DX研修」が実施されています。

しかし、 「研修は何度もやっているのに、なぜか現場は変わらない...」 「ツールは導入したけれど、ビジネスが変革する兆しが見えない...」 そんな悩みを抱えてはいないでしょうか。

もし、少しでも心当たりがあるなら、その「DX研修」の中身が、本来の目的からズレてしまっているのかもしれません。今回は、多くの企業が陥りがちな「DX研修の罠」について、紐解いていきたいと思います。

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そもそも「DX」とは何だったのか?

まず、原点に立ち返ってみましょう。経済産業省はDX(デジタルトランスフォーメーション)を次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務プロセスや組織、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

少し長いですが、要するにこういうことです。

  • 手段: データとデジタル技術を活用して、

  • 実践: 顧客や社会のニーズを的確に捉え

  • 目的: 自社の競争優位を確立すること。

そして、その目的を達成するために、以下の3つの変革を行うことが求められています。

  1. 商材やビジネスモデルの変革

  2. 業務の仕組みの変革

  3. 企業の文化や風土の変革

重要なのは、デジタル技術の導入はあくまで「手段」であり、「変革」を通じて競争上の優位性を確立することが「目的」であるという点です。

あなたの会社はどの段階?DXの4つのレベル

「DX」という言葉は、人や企業によって様々な捉え方をされています。その解釈は、大きく分けて以下の4つの段階に整理できます。あなたの会社が目指している、あるいは実施している「DX」がどのレベルにあるか、チェックしてみてください。

  • 段階3:真のDX ビジネスモデル、業務プロセス、企業文化を根本から変革し、新たな競争力を確立する。

  • 段階2:デジタライゼーション デジタルを前提とした新しいビジネスモデルを創出し、新たな収益機会を生み出す。

  • 段階1:デジタイゼーション アナログだった業務の仕組みをデジタル化し、効率を向上させる。(例:紙の書類を電子化する)

  • 段階0:デジタル利用の日常化 社員の誰もが、当たり前のようにデジタルツールを使いこなしている状態。

本来の定義に従えば、目指すべきは「段階3」です。しかし現実には、多くの企業が段階0〜2の範囲に留まってしまっているのが実情ではないでしょうか。

「変革なきDX研修」の実態

企業のDXへの取り組みレベルは、実施している「DX研修」の内容を見れば一目瞭然です。

もし、あなたの会社のDX研修が、

  • 生成AIの上手な使い方

  • データサイエンスツールの操作方法

  • ローコード・ノーコード開発ツールのハンズオン

といった、流行りのデジタルツールの使い方に終始しているとしたら、それは「段階3」を目指すDX研修とは言えません。それは、DXの土台となる「デジタルリテラシーを向上させるための研修」です。

もちろん、デジタルリテラシーの向上は業務効率化や改善に役立ちますし、それ自体は非常に価値のあることです。しかし、それだけで「ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立する」という本来の目的に直結するわけではありません。両者には大きな隔たりがあるのです。

なぜ「ツールの使い方研修」で終わってしまうのか?

では、なぜ「変革」を伴わない、単なる「デジタルリテラシー研修」が「DX研修」の名の下に行われてしまうのでしょうか。

その背景には、 「デジタルリテラシーを身につけさせれば、現場は自律的に変革を始めてくれるはずだ」 という、経営層や企画部門の淡い期待が存在するのかもしれません。

あるいは、DXという言葉が一人歩きする中で、「研修担当者として何か施策を打たなくては」というプレッシャーから、手っ取り早く形になりやすい「ツールの使い方研修」に落ち着いてしまう...というケースも少なくないでしょう。

しかし、DXは現場任せで達成できるものではありません。経営が主導し、デジタル時代に最適化された企業へと、会社全体を新しく作り変える覚悟と設計図があって初めて動き出すプロジェクトなのです。

重心は「D(デジタル)」ではなく「X(変革)」に

もし、あなたの会社が「研修をやっても変革が進まない」と悩んでいるなら、それは当然の結果です。なぜなら、その研修はそもそも変革を目的として設計されていないからです。

DXのアルファベットが示す通り、重心を置くべきは「D(Digital)」よりも「X(Transformation=変革)」です。

本当の意味での「DX研修」とは、ツールの使い方を教えることではありません。

  • 自分たちを取り巻くビジネス環境を冷静に理解させる

  • 自社の現状に対する正しい危機感を醸成する

  • 「なぜ今、変わらなければならないのか」という変革の必要性を腹落ちさせる

  • 変革を実践するための思考法やプロセス、ノウハウを身につけさせる

このような、「ビジネスを理解し、変革の行動を促す研修」こそが、今求められているのではないでしょうか。

まずは、自社の研修が「DX研修」という名の「デジタルリテラシー研修」に陥っていないか、冷静に見つめ直すこと。そして、あるべき姿を再定義すること。それが、変革への本質的な一歩となるはずです。

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