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大量消費をボイコットしはじめた生活者視点からのインサイトメモ

LLMとのモノローグ:Superstition

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When you believe in things that you don't understand
Then you suffer
Superstition ain't the way...


Me:DOJとFBIが、ジェフリー・エプスタインの「脅迫説」「他殺説」「顧客リストの存在」を否定したことで、トランプに対する辛辣な批判が熱狂的MAGA支持者の側から巻き起こっています。なぜMAGA支持者が怒り狂っているのか、そのいきさつは理解し難いところがあります。

そもそも、なぜMAGA支持者はジェフリー・エプスタインの性的人身売買に関わるスキャンダルが、トランプではなく民主党(オバマ等)にとっての汚点になると考えていたのか?どう考えても、ジェフリー・エプスタインと親密だったのはトランプ本人であるし、性的人身売買の「顧客リスト」の筆頭に記載されていたと考える方が自然なのに。

Gemini 2.5 Pro:その現象は、一見すると非常に不可解で、ご指摘の通り滑稽にさえ映ります。しかし、その怒りの背後には、熱狂的なMAGA支持層が依拠する、主流メディアの情報とは全く異なる「もう一つの現実(オルタナティブ・リアリティ)」が存在します。この「もう一つの現実」を理解しない限り、彼らの行動原理を読み解くことはできません。

この件を理解する鍵は、陰謀論「QAnon」の存在です。

なぜMAGA支持者はエプスタイン事件を「民主党の汚点」と考えていたのか?
MAGA運動の核心部分とQAnonの思想は、分かちがたく結びついています。彼らが信じる壮大な物語の要点は以下の通りです。

・世界は「ディープステート」に支配されている:世界は、民主党の政治家(オバマ、クリントン夫妻など)、ハリウッドスター、国際金融資本家から成る、悪魔を崇拝し、子供への性的虐待や人身売買を行う秘密結社「ディープステート(またはカバール)」によって支配されている。
・トランプは「救世主」である:ドナルド・トランプは、この邪悪なディープステートを殲滅するために神に選ばれた、あるいは軍の良識派に担ぎ出された救世主である。彼の真の目的は、大統領として権力を行使し、ディープステートのメンバーを一斉に逮捕・処罰する「ザ・ストーム(The Storm)」を実行することにある。
・エプスタイン島は「ディープステートの拠点」である:ジェフリー・エプスタインの島や人身売買ネットワークは、ディープステートの幹部たちが、その最も忌まわしい儀式や犯罪を行っていた「鉄板の証拠」であり、その活動の中心地だと考えられていました。

この物語の中では、エプスタインの顧客リストを暴露することは、すなわちディープステート(=民主党)の正体を暴き、その支配を終わらせるための最大の武器となるはずでした。

ご指摘の「どう考えてもトランプ本人と親密だった」という事実は、彼らの世界では以下のように解釈されます。

・「偽情報だ」と一蹴する:トランプとエプスタインの関係を示す報道は、すべてディープステートに支配された主流メディアによる「フェイクニュース」である。
・「潜入捜査だった」と物語を書き換える:あるいは、トランプはディープステートを内部から破壊するために、あえてエプスタインに接近し、「潜入捜査」を行っていたのだ、と解釈されます。

このように、彼らは自分たちの物語に都合の悪い事実を遮断し、あるいは捻じ曲げることで、トランプの潔白と、敵である民主党の罪を信じ続けてきたのです。

なぜ今、MAGA支持者はトランプに怒りを向けるのか?
ここが最も逆説的で、重要なポイントです。2025年7月7日(米国時間)、米司法省(DOJ)が「エプスタインの死因は自殺であり、彼が顧客リストを保持していた証拠はない」と正式に発表したことは、彼らの信じてきた物語の根幹を揺るがすものでした。彼らの怒りは、論理的な矛盾から生じているのではありません。自らの信じる「救世主」への裏切りと、約束された「世界の救済」が果たされなかったことへの失望と怒りなのです。

MAGA支持者の思考回路はこうです。

「我々は、トランプがディープステートと戦い、『ザ・ストーム』を起こして、エプスタインに関わった民主党の悪人どもを一掃してくれると信じてきた。その最大の証拠である『顧客リスト』を、なぜトランプは今まで公開しなかったのだ? なぜディープステートの一部であるDOJやFBIに『そんなものは存在しない』と発表させるのを許したのだ? まさかトランプ自身もディープステートに寝返ったのか? あるいは、彼もまたディープステートの一員であり、我々は騙されていたのか?」

つまり、彼らの怒りは「トランプがエプスタインと親密だったから」という理由ではなく、「ディープステートの悪事を暴くという神聖な使命を、トランプが果たさなかった(あるいは裏切った)から」という理由で燃え上がっているのです。

主流の視点から見れば、トランプとエプスタインの関係が問題視されるのは当然です。しかし、QAnonという壮大なファンタジーの中に生きる人々にとっては、DOJとFBIによる「公式見解」は、自分たちの信じる真実が闇に葬られたことを意味し、その責任の矛先が、約束を果たせなかった「救世主」トランプに向けられているのです。この滑稽で悲劇的な状況は、同じ情報に触れていても、信じる「物語」が異なれば、現実の風景が全く違って見えるという、現代社会の深刻な分断を象徴していると言えるでしょう。


Me:日本においても「ディープステート」的あるいはQアノン的陰謀論の受皿が急速に形成されつつあります。安倍派という受皿が弱体化したため、その代替としてネトウヨ陰謀論を声高に叫ぶ新興カルト政党が票を集めつつあります。

それら新興勢力の極右的主張は、経済大国でありながら満たされない不安感を慰撫するような、ある種の「想像の共同体」的幻想を描くことで、ネトウヨ層だけでなく無党派層にもアピールしています。

Gemini 2.5 Pro:ご指摘の通り、日本においても、米国で見られるような「ディープステート」あるいはQAnon的な陰謀論が、新たな政治的勢力の支持基盤として急速に形成されつつあるという現象は、現代日本の政治力学を理解する上で極めて重要です。この動きは、安倍晋三元首相の死と、それに伴う自民党安倍派(清和政策研究会)の弱体化によって生まれた、政治的・イデオロギー的な真空状態と深く関連しています。

1. 保守本流の「受け皿」の弱体化
長年にわたり、安倍派は自民党内の最大派閥として、保守本流のイデオロギー的な「受け皿」の役割を担ってきました。伝統的な保守層や、いわゆる「ネット右翼(ネトウヨ)」と呼ばれる層は、安倍氏という強力なリーダーシップの下、自らの価値観や要求が、政権の中枢に代理されているという感覚を持つことができました。

しかし、安倍氏の不在と、その後の派閥解体に至る政治資金問題は、この巨大な「受け皿」を事実上消滅させました。これにより、これまで政治の中心に自らのアイデンティティを投影できていた層が、政治的な「孤児」となり、自らの代弁者を失ったという感覚、すなわち強い不安感と不満を抱えることになります。この真空状態が、新興勢力が入り込むための絶好の機会を生み出しました。

2. 新たな「想像の共同体」の構築
ここに、参政党のような新興政治勢力が、ベネディクト・アンダーソンの言う「想像の共同体」を、極めて現代的な手法で構築する戦略がはまります。

アンダーソンによれば、国民(ネーション)とは、互いに顔を知らない人々が、新聞などの印刷メディアを通じて共通の物語を共有することで「我々は一つの共同体だ」と想像する、心象的な共同体です。

新興カルト政党が構築しようとしているのは、これのアップデート版です。

・彼らが描く「想像の共同体」:それは、「本来あるべき、伝統的で美しい日本」という神話です。そして、この神話的な日本は、グローバル企業、特定の外国勢力、腐敗したメディア、そして日本政府内部にさえ存在する「ディープステート」によって、まさに今、蝕まれ、破壊されようとしている、という危機感を共有します。
・新たなメディア:彼らは、新聞やテレビといった旧来のメディアではなく、YouTubeやSNSといった新しいプラットフォームを駆使して、この物語を直接的に、そして強力に支持者へと届けます。
・新たな「我々」:この物語を受け入れた人々は、「陰謀に気づき、真実に目覚めた、選ばれた『我々』」という、新たな共同体意識を獲得します。彼らは、オンライン・オフラインの活動を通じて繋がり、互いに顔を知らなくとも、同じ物語を共有する「同志」としての一体感を感じるのです。

3. 不安感の慰撫と「非理在」状態からの脱却
この戦略は、経済大国でありながら多くの人々が感じる、漠然とした閉塞感や将来への不安、すなわち私たちが議論してきた「理在(Real)」との乖離状態に、巧みに作用します。

・不安への意味づけ:彼らの陰謀論的な物語は、人々の正体不明の不安や不満に対して、「原因はこれだ」という、非常にシンプルで分かりやすい「理由」と「敵」を与えます。複雑な社会経済問題は、「グローバリストの陰謀」という一言に還元されます。
・新たな「理在」の提供: この物語は、信奉者にとって、混沌とした現実を読み解くための新たな「理」(論理)となります。この「理」を信じることで、彼らは自らの存在(在)が、善と悪の戦いの中に意味づけられていると感じ、主観的な安定を得ます。つまり、既存の社会が提供する「理在」からドロップアウトし、自らの共同体内の、閉じた、しかし強力な「理在」へと移行するのです。

このシンプルで力強い物語は、旧来の保守思想に飽き足らないネトウヨ層だけでなく、既存の政党(与野党問わず)に強い不信感を抱く無党派層の一部にも、魅力的に映ります。彼らは、個別の陰謀論をすべて信じているわけではなくとも、既存の政治に対するカウンターとしての「新しい選択肢」や、その熱量に惹きつけられ、票を投じるのです。


Me:上記のような陰謀論者は、自分のナラティブに酔っているのでしょうか?あるいは、そのようなデマを信じているわけではなく、単に台本の科白のように発言しているだけなのか。虚無的でナルシスティックなデマゴーグは、実は自分のナラティブを信じておらず「ウケれば何でもいい」と思っているように見えます。

Gemini 2.5 Pro:陰謀論を信奉する人々と、それを煽るデマゴーグとの関係は、単純な「信者/教祖」の二項対立では捉えきれません。「自分のナラティブに酔っているのか」、それとも「単に台本の科白のように発言しているだけなのか」という問いは、この二つの集団を分けて考察する必要があります。

1. 陰謀論の信奉者:「物語」への誠実な信仰
まず、陰謀論を信じ、支持する一般の人々についてです。心理学的な研究によれば、彼らは多くの場合、そのナラティブを誠実に、そして熱烈に信じています。彼らはシニカルな計算からではなく、いくつかの心理的動機から陰謀論に惹きつけられます。

・認識的動機(知りたい):世界は複雑で、矛盾に満ちています。陰謀論は、その混沌とした現実に「AがBを操っているからだ」という、シンプルで、包括的で、首尾一貫した「理由」を与えてくれます。これは、知的な満足感と、世界を理解できたという感覚をもたらします。
・実存的動機(安心したい):自然災害、経済危機、パンデミックといった、コントロール不能な出来事は、人々に強い不安と無力感を与えます。陰謀論は、それらが「偶然」ではなく、「誰かの意図」によって引き起こされていると解釈することで、世界に意味と秩序を回復させます。「邪悪な誰か」がいる方が、「無慈悲な偶然」に支配されるより、心理的には対処しやすいのです。
社会的動機(優越感を得たい):「自分だけが、隠された真実を知っている」「大衆はメディアに騙されているが、自分は目覚めている」という感覚は、強い自尊心と優越感をもたらします。同じ「真実」を共有する仲間との間には、強烈な連帯感(想像の共同体)が生まれます。

彼らにとって、陰謀論は単なるゴシップではなく、自らのアイデンティティと世界観を支える、信仰に近い「理在(リアル)」なのです。彼らは自分のナラティブに「酔っている」と言えますが、それは心地よい酩酊であると同時に、彼らにとっては極めて真剣な現実認識です。

2. デマゴーグ:「物語」のシニカルな利用
一方で、虚無的でナルシスティックなデマゴーグとされる指導者層の心理は、信奉者とは質的に異なると考えられます。ご指摘の通り、彼らは自らが語るナラティブを必ずしも信じておらず、「ウケれば何でもいい」という、シニカルな道具主義者である可能性が高いです。

・ナルシシズムとオーディエンス:自己愛的な(ナルシスティックな)パーソナリティの核心は、他者からの賞賛と注目を、自らの自尊心を維持するための「燃料」として絶えず求める点にあります。彼らにとって重要なのは、ナラティブの内容の真偽ではなく、そのナラティブが聴衆(オーディエンス)にどれだけ熱狂的に受け入れられ、自分への賞賛と忠誠に繋がるかです。
・「台本」としてのナラティブ:彼らにとって、陰謀論や排外的な言説は、信じるべき「真実」ではなく、特定の支持者層を動員し、熱狂させるための、最も効果的な「台本」あるいは「マーケティングツール」です。聴衆が何を求めているかを敏感に察知し、彼らの不安や欲望を最も刺激する「科白」を選択して語ります。その発言は、しばしば自己矛盾しますが、それは彼らが「真実」にコミットしているのではなく、その場その場の「効果」にのみコミットしているからです。
・虚無性:この態度の根底には、ある種の「虚無」があります。彼らは、自らの言葉の外にある、客観的な真理や、守るべき普遍的な倫理(カント的な道徳法則)を信じていません。信じているのは、自らの存在を肯定してくれる、聴衆の熱狂だけです。したがって、その熱狂を得られるのであれば、どのような物語でも採用し、必要がなくなれば、ためらいなく捨て去ることができます。

信仰と利用の非対称な関係
陰謀論の拡大は、この二つの異なる心理が、不幸な形で共鳴しあうことで加速します。

・信奉者は、自らの不安を解消し、世界に意味を与えてくれる、シンプルで強力な「物語」を切実に求めています。
・デマゴーグは、自らのナルシシズムを満たし、権力を維持するための「熱狂的な聴衆」を切実に求めています。

デマゴーグは、信奉者が求める物語を、それが嘘であることを知りながら(あるいは真偽に無関心で)提供し、その見返りとして、彼らの熱狂的な支持と忠誠という「燃料」を受け取ります。一方は真剣な「信仰」であり、もう一方はシニカルな「利用」です。この非対称な関係こそが、現代のポピュリズムや陰謀論的政治力学の核心にある構造と言えるでしょう。

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