「抜かなくていい歯」を抜こうとする歯医者にご用心!歯を残したまま入れ歯を即日修理できたワケ
杉並区西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける
いとう歯科医院の伊藤高史です。
「レントゲンでもCTスキャンでも見たのですが、もうこのみぎ下2本はもう抜くしかありません」
「大きな虫歯が歯の内部に深く入り込んでいて、歯グキも悪くなっています」
「抜いてから高額な自費治療で入れ歯を新しく作った方がいい」
近所の支店を数多く出しているという大規模経営の歯医者と都心の職場近くの歯医者。
2軒とも言うことは同じだったそうです。
3年ぶりにメールで問い合わせくださったのは60代男性のYさんです。
しかし歯を抜いて入れ歯を作るのは回数と時間がかかります。
だから作る話は後から考えるとして、ひとまず歯を2本抜いて入れ歯の修理をお願いしたいとのことでした。
2軒の歯医者が同じ内容を言うということは、やはり歯を抜かないといけないのかな。
メールの文章だけだったので口の中の状態がわからないですから、私もすっかり歯を抜くつもりで返信いたしました。
それで麻酔薬や歯を抜く道具を準備万端整えてYさんをお迎えして口の中をのぞいて見たのですが...
「いやいやいや、抜く必要なんかないですよ」
開口一番に私はYさんに伝えました。
・歯の揺れもない。
・虫歯もない。
・歯磨きの力が強すぎて歯が欠けている部分はあるものの抜く理由になるほどではない。
・痛い、しみるなどの症状も全くない。
レントゲンでもCTスキャンでも、これでは何も異常な像は写らないはずです。
こんな内容はレントゲンなどなくても簡単にわかります。
そう説明するとYさんは
「いやあ、そうですよね。私も何で抜かれるのか理由がよくわからなかったんです」
とおっしゃいます。
レントゲンとCTスキャンの画像も一応見たそうですが、やっぱりよくわからなかったそう。
それはわからなくて当然ですよね。
異常な所見など、ないに決まってますから。
やはり患者さんも薄々疑問を感じていたわけです。
ただ白衣を来た歯医者が難しい顔をして、それっぽいことを言えば患者さんとしても「じゃあ抜かなきゃダメかな」と思ってしまいます。
私だって同じことをすれば患者さんはすぐに信じてしまって「じゃあ抜きます」となってしまうでしょう。
保険治療で、入れ歯と口の機能検査ができます。隠れた不調がわかります
とくに支店を数多く出している大規模経営の歯医者や都心のテナントで出店している歯医者は、家賃、人件費、借金などの経費が重くのしかかります。
保険治療だけでは赤字なので自費治療をせざるを得ません。
そうするともう患者さんなら誰でもいいから、リスクなどどうでもいいから、なりふり構わず高額な自費治療に邁進することになります。
私も都心の大規模経営歯医者に勤めた経験があるので、看板や店構えが立派に見えてもその苦しい台所事情は手に取るようにわかります。
・人件費が経費の7割を超えていた大規模歯医者
・借金の返済額が保険治療の入金額を超えていた都心の歯医者
・タイムカードを勝手に定時に記入して、後の時間はサービス残業させていたパワハラの激しい歯医者
など、それなりの経験をしてきたものです。
自費治療そのものを私は否定するわけではありません。
ただ、そのような「商売」をするならやり方があります。
歯医者に限らず一般的な話です。
安価な商品で少しずつ信頼関係を築いておいて、その上で最良の高額商品を勧めるなど。
たとえば工務店なら簡単、安価な扉の修理、雨漏りの修理、内装工事などで時間をかけて信頼関係を築いて、いざ家の新築の時は信頼できるその工務店に頼むとか。
キチンとした技術があって信頼関係があれば、たとえ高額な新築を建てようとも否定する理由はありませんよね。
それは真っ当な商売だからです。
それを一気に飛ばして、良いか悪いかも分からない工務店でいきなり新築したら手抜き工事された。
そんな「いきなり新築」みたいな話で「いきなり自費治療」をすればトラブルになることは想像つくと思います。
とくにYさんの下アゴは、みぎ下の4番目と5番目の歯の2本だけが残っていて、それで咬み合わせを保っていました。
「噛んでください」
と言うとその2本だけが上と噛み合って上下のアゴの位置関係を保っているという。
その咬み合わせを保っている2本を抜いてしまったら
「噛んでください」
と言ったときにどこで噛めばいいかわからなくなってしまいます。
すると入れ歯を新しく作るのが格段に難しくなります。
入れ歯と口の機能の検査は保険治療3割負担の方で約2,000円
いやあ、危ないところでした。
抜く歯などないことと、もし他の歯医者で抜く話が出たら強く断ってほしいことを説明しました。
・舌で触るだけで歯がグラグラ動くのがわかる
・グラグラの歯が痛くて口を閉じることができない
・グラグラの歯が痛くて食事できない
など明らかに抜く以外に治療方針がない歯なら患者さんにもわかります。
そのような歯なら遠慮なく抜きましょう。
しかし歯医者があーだこーだ言ってても
「何で抜かれるのかわからない」
そう思われるのでしたら、その歯は今回のように抜かなくても大丈夫なことがほとんどです。
そのようなわけで歯は抜かずに入れ歯修理だけをすることになりました。
入れ歯は真ん中で真っ二つに割れていて、このままでは使えません。
そこで歯科技工用の瞬間接着剤で割れた入れ歯を仮止めしておいて石こうを流して入れ歯を固定する模型を作りました。
模型上で、割れた部分には補強の金属線を埋め込んで入れ歯を修理しました。
これはもう当院では毎日1つ2つは手がけている慣れた修理です。
1時間ほどで修理できた入れ歯は口の中にピッタリと合いました。
「いやあ、まさか歯も抜かず入れ歯が1日で使えるようになるとは思いませんでしたよ」
Yさんは笑顔で答えてくださいました。
今回行なったYさんの入れ歯を修理する治療は通院回数1回で、保険治療3割負担で総額約5,000円でした(症状により費用は変わります)。
https://www.ireba-ito.com/→いとう歯科医院