半導体売り上げによる各種売り上げ・出荷台数の傾向
Gartnerは半導体の売り上げに関して2010年の速報値(3,003億ドル)と2011年の予想(3,140億ドル)を公開しています。
IT業界の高い性能向上率を支えているのは半導体がムーアの法則どおり集積率を向上させているおかげです。このため、同じ価格での高性能化もしくは同じ性能で安価になり続けています。このおかげで、今まではできなかったとが実現できています。極端な例がスマートフォンの高性能化でしょう。
このようなIT業界の縁の下である半導体の売り上げがIT業界にどのように影響を与えているか調べるために、他のサービスの売り上げや出荷台数の関係をグラフ化してみました。半導体、ITサービス、外部ディスクとサーバは売り上げで、携帯電話とPCは出荷台数で前年比のグラフを作っています(金額ベースに統一したいのですが、それらはGartnerから発表されていません)。
金額ベースは統計データが不足しているため傾向が見えづらいですが、概ね半導体の動きに追随しています。特に2008年の不況はまずは半導体が先行してマイナス成長になり、それから他の部門がマイナスに推移しています。これは、2008年の不況が年の後半から始まったため、半導体の動きが先行したのが極端に見えたのでしょう(四半期データならもっとわかりやすかったと思います)。
この動きは製品を作るのに半導体の購入を最初に行うためでしょう。
データを見てみるとネットバブル崩壊のほうが2008年からの金融不況よりもひどい状況の様に見えます。
前年比のデータは分かりづらいため金額を列挙します。
2000年:2,270億ドル
2001年:1,532億ドル
2002年:1,566億ドル
2003年:1,782億ドル
2004年:2,220億ドル
2005年:2,382億ドル
2006年:2,639億ドル
2007年:2,695億ドル
2008年:2,551億ドル
2009年:2,283億ドル
2010年:3,003億ドル
ネットバブル崩壊では回復に4年もかかっていますが、2008年の不況はたった2年で戻っています。意外な結果です。
2011年の半導体の伸びが余りよくありません。Gartnerは、PC部門が3.2%減、DRAMが2.4%減、NANDが24%増、携帯電話は13.6%増と予想しています。
DRAMは現在4GBx2が1万円をきりはじめたため、Gartnerの予測は当たりそうです。DRAMの価格の変動は激しいですね。前回のDDR2の1GBが非常に安価になったときはDRAMメーカが大変そうでしたが、すぐに回復しました。メモリが安価になることは一ユーザとしてうれしいですが、4GBオーバーのメリットがあるユーザは多くないと思われます。ただし、サーバはキャッシュにしやすいため大量の詰めるメリットは限りなくあると思いますが(来年はサーバ市場は購入の年?)。
NANDや携帯電話のほうに伸びると予想しているのは、Gartnerがメディアタブレットやスマートフォンの伸びがいいことを反映しています。PCが大きく売り上げを伸ばすには何か知らの大きな技術的なジャンプがなければ難しくなったかも知れません。
NANDですが、"東芝、中部電力の電圧低下でNANDフラッシュ工場に影響"で大きな問題になっていますがNANDの出荷量に影響が出なければいいのですが。
まだまだ半導体は微細化のペースは止まりません。2011年はIntel/AMDのCPUは大幅にリフレッシュされますが、どの程度売り上げに影響与えるのかわかりません。SSDがもう少し大容量化と高速化するかもしれません(微細化の問題が...)。
ですが技術的ブレイクスルーか、もしくはMacBook Airの様な魅力的な製品を出していかなければ、Gartnerの予想程度しか売り上げは伸びないかも知れません。前者は今のところ画期的な発表はありませんし、後者は誰もが望みながらなかなかできません。このため、IT業界の2011年の売り上げはGartner予想から大きくずれることはないのかも知れません。
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