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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

DAISY XML規格で教育のユニバーサルデザイン(UD)を実現する取り組み

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DAISY XML規格とは

DAISY XML規格による電子図書は世界の多くの国々で読み書き困難な方が利用しており、読書による情報格差の解消に役立っているとのこと。DAISYはデイジーと読み、Digital Accessible Information Systemの略です。

財団法人 日本障害者リハビリテーション協会さまのサイトでは「アクセシブルな情報システム」と訳されています。日本では視覚障害の方を対象とした録音図書として認知されているようです。

かつては視覚障害の方が読書をするためにボランティアの方が朗読した音声をカセットテープに録音されていたそうですが、カセットテープは劣化してしまうため、デジタル化がすすめられました。

近年ではDAISYという規格で音訳ボランティアの方が朗読をしたものを録音し、図書館の障害者サービスやボランティア団体を経由して視覚障害者など録音図書を必要とする方に提供するスタイルがとられています。

DAISY XML規格には私見による大きな分け方をしますと

  • 音声のみ (録音図書)
  • 画面と音声がシンクロしたもの (カラオケのように話す本)
  • テキストDAISY (音声はなくテキストのみ)

があります。

注:(財)日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD) の「Enjoy DAISY」というサイトの中の「デジタル録音図書(DTB)の種類」に詳細が記載されています。正確には6種類あります。

テキストDAISYは現物を見たことがないため、マルチメディアDAISYの音声がないものと認識して良いのか現在、調査中です。そのため、今回は音声のみのもの、画面と音声がシンクロしたものを取り上げます。

日本でDAISY図書(デイジー図書)と言った場合は、一般的に視覚障害の方が利用される「音声のみ」の録音図書を指します。マルチメディアDAISYのことを言いたい場合は「マルチメディアデイジー」「MMD」と呼びます。

マルチメディアDAISYについては財団法人 日本障害者リハビリテーション協会さまが以下の動画を公開されています。

▼ディスレクシアとDAISY
http://youtu.be/4In_Ql-CP4o

実際に難読症の日本の子どもがマルチメディアDAISYで作成された図書で国語の勉強をする動画です。

▼マルチメディアDAISYで勉強するディスレクシア(難読症)の子供2
http://youtu.be/IAL8sj4NiYw

マルチメディアDAISY版教科書を利用して学校の勉強の補助にされている方もいます。ボランティア団体が作成したマルチメディアDAISY図書を(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センターが統括して読みに特別なニーズのある子どもへ提供しているものです。

外国では難読症の人のためにDAISY図書作成をするとお給料がもらえて仕事として成り立つそうですが日本では基本的にはボランティアが無償で作成するという状況になっています。音訳の場合は(株)音訳サービス・Jさま、音訳工房さま(http://www.bonz.co.jp/onyaku/)のように販売を行なっている例もあります。

ですが販売先が公共図書館に限られているなど制約があるようです。マルチメディアDAISYの場合は無料作成ソフトを利用する条件が非営利となっているため、販売目的で作成ためには外国の高額な作成ソフトを購入する必要があります。

実際に利用されている方とおはなしをした限りでは、視覚障害の方に限らず何らかの理由で紙の本を読むことが困難な方へのサポートとして有効性が高いのではないかと感じています。

>>「ITを活用した学びの保証より「魔法のプロジェクト」に続く

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追記

2011年9月3日に題名を「アクセシブルなデジタル図書を作る取り組み・3「DAISY XML規格」 -情報格差を解消するために-」から「ユニバーサルデザインを実現する取り組み・3「DAISY XML規格」 -情報格差を解消するために-」に変更しました。

2011.7.21 22:32 題名を短くしました。「DAISY XML規格とは」の説明の一部を削除しました。

2012.12.12 22:40 題名を「ユニバーサルデザイン(UD)を実現する取り組み・3「DAISY XML規格」」から「DAISY XML規格で教育のユニバーサルデザイン(UD)を実現する取り組み」に変えました。

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