学校に現在配備されている端末について(1)
情報教育に関するさまざまな取り組みをされている望月陽一郎 先生に、2013年から教育現場の状況や先生のお考えをインタビュー形式で伺っています。今回は2024年5月、望月先生が独自に調査された「GIGAスクール端末活用の現状と次期に期待するものについてのアンケート」を踏まえ、「現在配備されている端末について」をお聞きします。
【望月先生 プロフィール】
大分県立芸術文化短期大学非常勤講師。Forbes Japan電子版オフィシャルコラムニスト。公立中学校理科教諭(理科)・大分県教育センター指導主事(情報教育)などを経験されています。自作の「micro:bit『サンプルプログラミング集』」などをサイトにて公開されています。
望月陽一郎 個人サイト:http://mochizuki.net/
GIGAスクール端末活用の現状について
―今回は「学校に配備されているGIGAスクール端末活用の現状」いうテーマでお伺いします。先生がとられたアンケート(2024年5月)では、首都圏以外の地方からの回答者も多いこと、小学校・小中一貫校の先生を合わせると約半数であることを念頭に置いたうえでお話を伺いたいと考えています。
まず、望月先生の調査では「小学校に配備されている学習者用端末のOS」は、1位(最も人数が多い)は「iOS(iPad)」、2位が「ChromeOS(Chromebookなど)」、3位が「Windows」となっています。
「小学校に配備されている学習者用端末のOS(複数回答あり)」n=159
―小学校ではiOS(iPad)が人気のようですが、どうしてなのでしょうか。
望月先生:「タッチパネルで操作」するという点でとても使いやすいという意見が記述回答でとても多かったですね。
また、本体がとても丈夫でよい(落下した場合のケースをつけている前提で)という意見も多いです。ただ、GIGAスクール端末は物理キーボードをつけることが必要なので、iPadでもキーボード付きのケースを使っているのをよく見ます。
私も個人的にiPadを使っていますが、閲覧用端末としてはとても便利なのですよね。入力や作業用には使っていないので、物理キーボードは使用していません。
「中学校に配備されている学習者用端末のOS(複数回答あり)」n=142
「高等学校に配備されている学習者用端末のOS(複数回答あり)」n=62
―「中学校に配備されている学習者用端末のOS」と「高校生に配備されている学習者用端末のOS」は、「ChromeOS(Chromebookなど)」、「iOS(iPad)」、「Windows」の順になっており、中学校と高校では同じ傾向ですね。
望月先生:中学校、高等学校ではキーボード入力が重視されることから、キーボードが標準でついている端末が選ばれます。また、価格(45,000円以内という価格が示されていた)の面から、Chromebookの採用が多くなったのではないかと思います。
Chromebookを使っている学校の先生方から、「キーボードが標準でついていること」は、採用する理由としてよく聞きますね。
逆にそういう意味では意外にWindowsが少ないのは、やはり価格面で不利だからでしょうか。
「特別支援学校に配備されている学習者用端末のOS(複数回答あり)」n=45
―また、「特別支援学校に配備されている学習者用端末のOS」では、「iOS(iPad)」、「ChromeOS(Chromebookなど)」、「Windows」の順になっています。「iOS(iPad)」が「ChromeOS(Chromebookなど)」の3倍超の数字となっており特徴的です。特別支援学校で「iOS(iPad)」が使用される理由は何でしょうか。
望月先生:もともと特別支援学校でiPadがよく使われていたということもあるのではないかと思います。私が知っている範囲でも、GIGAスクール構想が始まる前から特別支援学校で導入されていた端末がiPadでした。
タッチだけで操作できるメリットも大きいのではないかと思います。
―そのような理由があるのですね。
―次回も引き続き「現在配備されている端末で困っていること」などについて、現状と先生方のニーズについて明らかにしていきたいと思います。望月先生、今回も貴重な調査結果をお話しくださり、ありがとうございました。
>>「学校に現在配備されている端末について(2)」に続く(2024年10月公開予定)