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AI時代の営業が目指すべき「たった一つの姿」とは

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「このままではまずい、何とかしなければならない。でも、具体的に何をすればいいのか分からない」

多くのお客様が、今このような漠然とした、しかし深刻な悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。今私たちは、「正解のない時代」に生きているのです。

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その提案は、本当にお客様のためになっていますか?

そんなお客様に対して、私たちはどのような姿勢で向き合うべきなのでしょうか。

よくあるのは、こんな会話です。

「何かお困りごとはありませんか?課題を教えていただければ、最適なソリューションを提案します。」

しかし、お客様は「何をすればいいのか分からない」からこそ困っているのです。その気持ちを汲み取らずにこのような質問をしても、お客様を戸惑わせてしまうだけでしょう。

あるいは、こんな提案はどうでしょうか。

「なるほど、確かに大変ですね。でしたら、まずはRPAを導入して業務効率化から始めてはいかがでしょう。」

これは一見、親切な提案に聞こえるかもしれません。しかし、発熱して咳が止まらない人に、とりあえず「かゆみ止め」を渡しているようなものかもしれません。根本的な原因を探らず、手近な解決策でその場をしのぐような提案は、いずれ信頼を失うことにつながります。

AIを「相棒」に、お客様の未来を提言する

では、どうすればいいのでしょうか。 答えは、「正解がない」という現実をお客様と共に受け入れることから始まります。そして何より大切なのは、課題をお客様とともに考え、本当に解決すべきテーマを明確にすることから始めるということです。

そのためには、営業担当者がまず、お客様のビジネスやその先にいる顧客のことまで深く考え、「お客様は本来、こうあるべきではないか」という未来の姿を想像し、それを提言することから始めるのです。

そこで、これからの営業にとって最高の『相棒』となるのがAIです。AIは、私たちがお客様の未来をより深く、より具体的に提言するための羅針盤となってくれます。

  • AIで「過去」と「現在」を深く洞察する 市場の動向、競合の動き、お客様の社内データなど、AIは人間では処理しきれない膨大な情報を瞬時に分析し、客観的な洞察を与えてくれます。これにより、営業はこれまで以上に深くお客様の「過去」の歩みを理解し、「現在」の立ち位置を正確に把握できます。

  • AIと「未来」の仮説を共創する AIが示した洞察に基づき、営業は「お客様のあるべき姿」の仮説を立てます。AIは、その仮説がもたらすであろう未来をシミュレーションし、データに基づいた予測を示してくれます。これにより、営業の提言は単なる思いつきではなく、説得力のある未来図としてお客様に提示できるのです。

AIに単純作業や情報収集を任せることで、営業は対話、共感、そして信頼関係の構築といった、人間にしかできない本質的な活動に集中できます。

営業は「お客様の先生」として未来を提言する存在へ

AIという強力な相棒を得たこれからの営業には、いわばお客様にとっての「先生」や「教師」のような役割が求められます。予め用意された正解がないからこそ、お客様と一緒になって正解を作る。そんなリーダーシップを発揮できる人材こそ、お客様が求める真のパートナーです。

そして、その根幹をなすのは、AIを使いこなす「人間力」に他なりません。 その人間力の本質は、誠実さだけではないのです。

知識とは理解と記憶力の問題で、本を読んだり、お話を聞いたりすれば知ることのできる大脳皮質の作用によるものです。 知識は、その人の人格や体験あるいは直観を通じて見識となります。 見識は現実の複雑な事態に直面した場合、いかに判断するかという判断力の問題だと思います。 胆識は肝っ玉を伴った実践的判断力とでも言うべきものです。 困難な現実の事態にぶつかった場合、あらゆる抵抗を排除して、断乎として自分の所信を実践に移していく力が胆識ではないかと思います。

山口勝朗著『安岡正篤に学ぶ人間学』より)

AIが提供する膨大な『知識』を、自身の経験と結びつけて本質を見抜く『見識』へ。そして、その見識を信念として貫き通す『胆識』へ。この昇華のプロセスこそが人間の役割であり、AIの分析力と融合して初めて、お客様の心を動かす唯一無二の提言が生まれるのです。

このような姿勢を貫くことで、私たちはお客様にとって「最初に相談される相手」になることができます。そうなれば、もはや競合は存在しません。お客様にとってかけがえのないパートナーになることが、これからの営業が目指すべき「あるべき姿」ではないでしょうか。

正解がない時代だからこそ、私たちの真価が問われています。

「確固たる正解はない。だからこそ、AIという相棒と共に、お客様にとっての正解を一緒に作り上げる」

営業とは、お客様の未来を切り拓くパートナーです。あなたはその役割を果たしていますか?

【募集開始】次期・ITソリューション塾・第50期

次期・ITソリューション塾・第50期(2025年10月8日[水]開講)の募集を始めました。

2008年に開講したITソリューション塾は、18年目を迎えました。その間、4000名を超える皆さんがこの塾で学び、学んだことを活かして、いまや第一線で活躍されています。

次期は、50期の節目でもあり、内容を大幅に見直し、皆さんのビジネスやキャリアを見通すための確かな材料を提供したいと思っています。

次のような皆さんには、お役に立つはずです。
・SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
・ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
・デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
・IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
・デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん

詳しくはこちらをご覧下さい。

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO(やまと)会員の皆さんは、参加費が無料となります。申し込みに際しましては、その旨、通信欄にご記入ください。

期間:2025年10月8日(水)~最終回12月17日(水) 全10回+特別補講
時間:毎週 水曜日18:30~20:30の2時間
方法:オンライン(Zoom)
費用:90,000円(税込み 99,000円)
内容:

  • デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
  • ITの前提となるクラウド・ネイティブ
  • ビジネス基盤となったIoT
  • 既存の常識の書き換え前提を再定義するAI
  • コンピューティングの常識を転換する量子コンピュータ
  • 変化に俊敏に対処するための開発と運用
  • 【特別講師】クラウド/DevOpsの実践
  • 【特別講師】アジャイルの実践とアジャイルワーク
  • 【特別講師】経営のためのセキュリティの基礎と本質
  • 総括・これからのITビジネス戦略
  • 【特別講師】特別補講 (選人中)

*「すぐに参加を確定できないが、参加の意向はある」という方は、まずはメールでご一報ください。事前に参加枠を確保します。決定致しましたらお知らせください。

8月8日!新著・「システムインテグレーション革命」出版!

AI前提の世の中になろうとしている今、SIビジネスもまたAI前提に舵を切らなくてはなりません。しかし、どこに向かって、どのように舵を切ればいいのでしょうか。

本書は、「システムインテグレーション崩壊」、「システムインテグレーション再生の戦略」に続く第三弾としてとして。AIの大波を乗り越えるシナリオを描いています。是非、手に取ってご覧下さい

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神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

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八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。

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