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営業は売るな!知識力が最強の武器になる理由とAIを活用した実践的強化法

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「営業の人格は数字だ」

新卒の頃、当時の上司に言われたこの言葉が、今も私の芯にあります。

どれほど人柄が良くても、数字を達成できない営業はプロではありません。いかなる状況でも知恵を絞り、執着心を持って数字を作る。それが営業という仕事の根源です。

しかし、だからといって「手段を選ばず売り込めばいい」ということにはなりません。

30年近い営業人生で私がたどり着いたのは、『数字を作りたければ、儲けようとしてはいけない』という、究極の逆説でした。

では、何を武器に戦えばいいのか。その答えこそが「知識力」です。

今回は、これからの時代に求められる営業の本質である「知識力」の正体と、それを飛躍的に高めるための「AI活用法」についてお話しします。

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1. 営業における「知識力」の正体とは

「知識がある」と言うと、単に自社製品のスペックを暗記していることや、業界用語を知っていることだと思われがちです。しかし、真の営業力となる「知識力」はもっと深く、ダイナミックなものです。

私は、営業における知識力を以下の3つの要素に分解して定義しています。

  1. 語彙力:微妙なニュアンスを言語化し、相手の心に届く言葉を選ぶ力

  2. 読解力:相手の発言の意図、背景、行間を正しく読み解く力

  3. 質問力:相手自身も気づいていない本質的な課題を聞き出す力

つまり、知識力とは『顧客の断片的な言葉から思考を読み解き、顧客自身もまだ見えていない『あるべき姿』への物語(ナラティブ)を共に紡ぎ出す能力』なのです。

単なる「物知り」では意味がありません。

顧客が抱える混沌とした悩みに対し、あなたの知識(語彙・読解・質問)を駆使して、「あなたの会社はこうなるべきです」という未来の地図を描いて見せる。これこそが、これからの営業に求められる役割です。

2. 営業が守るべき「3つの『してはいけない』」

この「知識力」をベースにすると、従来の営業スタイルは一変します。私はこれを3つの指針にまとめています。

① 儲けようとしてはいけない。「お客様に儲かってもらう」

お客様はあなたの商材を買いたいわけではなく、自身の課題を解決したいだけです。自社の利益を一旦棚上げし、お客様が儲かるための「最善」を徹底して追求する。その姿勢が信頼を生み、結果として数字はついてきます。

② 説得してはいけない。「あるべき姿を語る」

人は誰しも、他人に指図されたくはありません。「こうなりたい」というイメージ、つまり「あるべき姿」を共有し、そこへの道筋を示すのです。そうすれば、お客様は自ら動き出し、あなたをパートナーとして選んでくれます。

③ お願いしてはいけない。「お願いされるようになる」

知識力がなければ、ただの物売りです。しかし、顧客の教師や医師のように、解決の筋道を示すことができれば、立場は逆転します。「先生、どうすればいいですか?」と、お客様からお願いされるようになるのです。

3. なぜ今、AIを営業活動に組み込むべきなのか

「知識力を磨けと言われても、学ぶ時間が足りない」「業界の変化が早すぎる」

そう感じる方も多いでしょう。そこで強力な武器となるのがAI(ChatGPTなどの生成AI)です。

多くの営業現場では、AIを「メール作成」や「議事録」の効率化にしか使っていません。しかし、前述した「知識力(語彙力・読解力・質問力)」を増幅させるためにこそ、AIを使うべきです。

具体的な活用方法をいくつかご紹介します。

具体策A:AIで「読解力」と「質問力」の予行演習をする

商談前に、お客様の業界動向や中期経営計画を読み込むのは基本ですが、さらに一歩進めます。AIにその企業の「仮想CEO」や「仮想担当者」になりきってもらい、壁打ちを行うのです。

【活用プロンプト例】

「あなたは〇〇業界の大手企業、△△社のDX担当役員です。現在の業界課題を踏まえ、私の提案に対して懸念点や、厳しい質問を投げかけてください」

これにより、お客様が抱えているであろう潜在的な悩み(読解力の補強)や、刺さる質問の切り口(質問力の強化)を事前にシミュレーションできます。

具体策B:AIを「語彙力」の拡張装置にする

お客様に「あるべき姿」を語る際、ありきたりな言葉では響きません。自分の考えをAIに投げかけ、より洗練された表現や、別の視点からの言い回しを出してもらいます。

【活用プロンプト例】

「この提案のメリットを『コスト削減』という言葉を使わずに、経営者がワクワクするような『未来の成長』という文脈で3パターン言い換えてください」

これにより、自分の中にはなかった語彙や表現の引き出しを瞬時に増やすことができます。

具体策C:エンジニアとの「共創」を円滑にする翻訳機として使う

エンジニアの稼働を圧迫する『無駄な同行』を減らすためにも、営業の知識力は必須です。難解な技術用語をAIに噛み砕かせ、経営層にも伝わる言葉に変換しておくことで、営業段階で捌ける範囲が格段に広がります。

【活用プロンプト例】

『エンジニアが説明するこの技術的な仕様(〇〇)について、専門知識のない経営者が理解できるように、ビジネス上のメリット(売上向上やリスク回避など)に焦点を当てて、比喩を使った分かりやすい説明文を作成してください』

4. 結論:プライドを持って「教師」となれ

製品情報や契約処理などの事務作業、あるいは単純な質疑応答はいずれAIが代替します。しかし、お客様の未来をデザインし、熱量を持って語り合い、正解のない問いに答えを出すことは、人間にしかできません。

AIという最新のツールを使いこなしながら、泥臭く知識を貪る。

「『お客様の成功のためなら、どんな知識でも貪欲に吸収してやる』というプライドを持つ。」

そうして磨き上げた「知識力」で、お客様の良き教師、良き医師となってください。そうすれば、売り込む必要などなくなります。案件は向こうからやってきて、数字は結果として必ずついてくるはずです。

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