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DX案件の始め方② ~未来を描く~

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デジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードに注目が集まってから、随分経つ。

僕が所属するケンブリッジは、企業変革をお手伝いするのが本業なので、DX案件の相談もたくさんいただくし、実際に支援もしている。

多くの方々がDX案件と格闘しているのを実際に見てきた・・・。いや、本当に大変ですよね・・・。少しでも、取り組みのヒントになればと思い、僕らがDX案件をお手伝いする時に気にしていることを整理してみたので、ここで紹介してみようと思う。結構分量があるので、5回シリーズでの展開だ。

第2回:DX7ヶ条(未来を描く)

DXにおいて「具体的な未来を描く」ことがとても大事だと、前回書いた。では、どうやって未来を描けば良いのだろうか?3つポイントを紹介したい。

①具体的な絵姿を描く
②Newタイプに頼る/oldは黙っとけ
③ソリューションを考えるのは最初と最後に

①具体的な絵姿を描く

一言でいうと、DXによってどんな世界を作り出すのか?という具体的なビジョンを作ること。手段ではなく、実現したい未来を語るな。

例えば、1969年にジェラルド・オニールらによって提唱された、スペースコロニー構想。シリンダーの内側で生活する人々が描かれている。「宇宙にシリンダーを建造する技術を駆使して...」なんて手段を語られてもよくわからないが、こうしてイメージを見せられると、なんとなく実現したい世界観が理解できる。この「宇宙でこんな風に人類を生活させたい」というビジョンが大事なのだ。

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<Wikipedia スペースコロニーのページより引用>

もう少し身近な例も挙げてみたい。
例えば、ケンブリッジ社内の話なのだが「Slackの導入」を例に上げてみたい。あるタイミングで社内のコミュニケーションツールとしてSlackを採用する事になった。ビジョンを語る、絵姿を描くとはどういうことか?

NG例)
「Slackを導入したいです!」
これではダメ。Slackは手段でしかない。Slackを導入した先で、「実現したい世界観」を語る必要がある。
その時の導入チームが何を語ったかというと...。

OK例)
Slackで会話するようにコミュニケーションをする世界を作りたいんですよ。
従来は「手紙と面会」の世界でした。
メールとファイル添付でやりとりする世界。「お疲れさまです。田中です」から始まるメール文章...ファイルパスワード...会議室開いてるかな?30分単位で予約して...会議室に移動して...「どっこいしょ、さて、お呼びしたのは...」の世界。

そうではなく「極自然な立ち話」の世界を作りたいんです。
席にいながら、Slackで自然な会話をする。「あ、今から少し話せる?」「いいよ」「じゃあ今からzoomで!」。そのままZoomを起動して、自席から一歩も動くことなく、さくっと5分の打ち合わせ。Boxでオンライン資料共有&同時編集をしながら物事を決めていく。そんな世界を実現したいんですよ。

導入チームはこんな風に、未来を語ってくれたのだ。これが、ツール導入の先で実現したい具体的な絵姿を描く、ということ。
ここで上げた例は、社内IT環境の話で小さなDXだが、大きかろうが小さかろうが同じだ。手段を先行させてはならない。手段の先にある未来を語れなければ、実現の途中で道に迷うだろう。

でもこれは簡単ではない。そこで大事になるのが次のポイントである。

②Newタイプに頼る/oldは黙っとけ

未来を描ける人間は限られている。未来を描けるのは、もともと思いがある人のみ。

  • 「こうしたい!」という熱い思いを「日頃」から持っている人
  • やりたくて、ウズウズしている人
  • 現状に満足していない人
  • 自分で変えていく気概がある人

こんな人だ。
先天的なものなので、観察によって見つけてくるしかない。結果的に、だいたい若い人。僕は尊敬の念を込めて「NewType」と呼んでいる。僕らOldTypeには逆立ちしたって、未来は描けないのだ。
OldTypeを捕まえて、お仕事として「DX推進を任命」しても上手くいかない理由がここにある。

未来を描きたくてウズウズしているNewTypeを見つけてきて、任せることがとても重要だと思う。ポイントは全てを任せること。OldTypeは、その世界観が理解できないから邪魔にしかならない。

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<画像はイメージ。機動戦士ガンダムより引用。あくまでイメージです>

③ソリューションを考えるのは最初と最後に

未来はNewtypeにしか描けない。しかし、いくらNewtypeでも全くのゼロから、新しい世界を想像するのはかなり難しい。そこで有効なのが、最先端のソリューション、IT技術を実際に見て触って体感することだろう。

ただ、ソリューションを見るとすぐに「ソリューションください症候群」に罹ってしまう。感染力の高い恐ろしい病だ。ソリューションを見たら、強い精神力を持って一旦忘れて欲しい。ソリューションによって実現されている「世界観」だけを頭に残すのだ。

体感すべきは、「ソリューション」ではなく、ソリューションによって「実現されている世界観」なのだ。これを将来のビジョンを描くヒントにする。実現したい世界観が確立してから、最もふさわしいソリューションを選べばいい。この「一旦忘れる」という作業がとても重要だと思う。

ケンブリッジのSlack導入チームも、いろいろなソリューションを使ってその世界観を体感した上で、「ケンブリッジで実現すべきコミュニケーションのあり方」を描いてくれた。そして、その世界を実現するのにふさわしいソリューションをじっくり選ぶ。という流れで、検討を進めていた。



以上

「未来を描く」を簡単に解説してみたが、僕は、ここが本当に大事だと思っている。これがないと次に進めない。ビジョンがなく、ツール偏重で道に迷っているプロジェクトをたくさん見てきた・・・。

次回は、「実現にこぎつける」に触れていきたい。


ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブロク。
Havefun!(楽しもうぜ!)を合言葉に日々仕事をしています。ケンブリッジはお仕事の依頼も、一緒に働く仲間も絶賛募集中。

ケンブリッジのホームページにも記事が沢山載ってます。書籍も好評です。

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