DX案件の始め方⑤ ~プロジェクトでの工夫~
デジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードに注目が集まってから、随分経つ。
僕が所属するケンブリッジは、企業変革をお手伝いするのが本業なので、DX案件の相談もたくさんいただくし、実際に支援もしている。DXに関するセミナーも絶賛運営中!(2020年9~12月)。こちらからどうぞ。
多くの方々がDX案件と格闘しているのを実際に見てきた・・・。いや、本当に大変ですよね・・・。少しでも、取り組みのヒントになればと思い、僕らがDX案件をお手伝いする時に気にしていることを整理してみたので、ここで紹介してみようと思う。結構分量があるので、5回シリーズでの展開だ。
第5回:PJでの工夫
DXプロジェクトの7ヶ条を、3つのステージに分けて紹介してきたが、実際のプロジェクトで具体的にどういう動きをしているのか簡単に書き添えておきたい。
プロジェクト開始前の工夫
A)NewType探しのために、定期的にソナーを打つ
DXを始めたいなら、人探しから。
ケンブリッジのお客さんを見ていると、普段から社内をフラフラし、雑談の中でNewTypeを見つけ出している方が多いように思う。これは定期的に根気よくやっていかないとダメなようだ。
そして、彼らが探しているのは決して、上手にプレゼン出来る人ではない。どこかで得た知識を上手に語れる人ではない。見栄えの良い優等生を探しているわけではないのである。
拙くても良い。自分なりの考えを持っている人。誰かの言葉や現状を鵜呑みにせず、自分の頭で考えられる人。何かに対して想いのある人。などを日頃のコミュニケーションから見極めるのである。
B)先進事例の体感の場を仕掛ける
ケンブリッジでもよくやるのだが、最新ソリューションや最新DX事例のミニ勉強会などをやるようにしている。
IT先進国のサービスを体感した人の話を聞くのも有効で、座談会などを開催するケースもある。これらを定期的に設けてNewTypeの目覚めを待つ。
こうして無事にNewTypeを捕まえたらプロジェクトを発足させるのだが、NewTypeをもってしても未来を描くのは簡単ではない。ここからも工夫が必要になる。
プロジェクト開始後の工夫
C)集中討議で4つの機能を核融合させて、未来を描く
きちんと未来を描くためには4つの機能が必要だと考えている。
①妄想力(思いをはせる力)
②深堀り力(深めて発展させる力)
③言語化力(理解できる形にする力)
④統合力(複数の要素をまとめて一つのコンセプトにまとめる力)
NewTypeは、妄想力に秀でた人材だ。このNewtypeが他の能力も兼ね備えていれば言うことないが、なかなかそうはいかない。妄想力だけだと、凡人には全く理解できないものになってしまう。
①の妄想力を土台に、②、③、④が合わさってようやく、凡人にもなんとか理解出来る形になるのだ。
一人で①~④を補完するのはとても難しいので、多くの場合、複数のメンバーで機能を補完しあって、泥々の議論を重ねて未来を描くことになる。ケンブリッジでよくやるのは、集中討議形式(丸一日~丸二日での議論)をよく採用してる。
ありがちな間違いは、OldTypeをたくさん集めて伊豆あたりで合宿をやるケース。①~④がどれも不足しているのに、何かが生まれるわけない。ただの温泉旅行になるだろう。
①~④の能力を持ったNewtype達を集めるからこそ成果がでるのだ。
D)少数精鋭でPJチームを作る
目指すべき未来が描けたら、少数精鋭での体制を作る。特に大事なのは、頑固なOldTypeを入れないということだ。
チーム内に保守的なOldがいるとそれだけエネルギーが削がれる。チーム内の説得にパワーを割いている場合ではない。さっさと実現にこぎつけて、実物を見てもらうことで理解を促すしかないのだから。
E)OldType達と「合意の仕方」を合意する
何度も強調してきたが、どこまで行ってもOldType達にDXの真の価値は理解出来ない。(僕も含めて・・・)
だが、権力を持っているのは常にOldTypeだ。つまりDXを理解できない人が意思決定をすることになる。この矛盾を乗り越えなければDXプロジェクトの成功はない。OldTypeの権力者に握りつぶされて終わるだろう。
だから、未来を描いた直後には、合意の仕方を合意しておいた方がいい。従来の考え方で意思決定されると辛い。理解のあるOldTypeの権力者を見つけ「従来のPJとは違う」「意思決定は数字ではなく、難しい経営判断が必要になる」「経営者の覚悟しだいである」ということを理解してもらい、意思決定の考え方を合意しておくようにして欲しい。
<機動戦士ガンダムUCより引用>Newtype達を理解し支援してくれるOldTypeが必要だ。
通して伝えたかったこと
さて、長くなってしまったが、5回シリーズもこれでおしまいだ。最後に伝えたかったことをまとめておきたい。ざっくり言うと3つになる。
- DXは、旧来の課題解決型プロジェクトではなく、ビジョン駆動型のプロジェクトだと心得よ
- NewTypeと具体的な将来ビジョンを描け
- 投資意思決定の概念を変え、OldTypeの権力者を味方につけよ
どこまで参考になったかわからないが、普段ケンブリッジで気にしていることをお伝えてしてきた。少しでも、ヒントになれば幸いなのだが・・・。とにかくDXは難しい。しかし実現するととっても楽しいものだ。
僕自身も、変化を楽しみながら取り組んで行きたいと思っている。ケンブリッジでも「DXプロジェクトの始め方」セミナーなどを開催中。詳細はケンブリッジのホームページよりご確認ください。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブロク。
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