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DX案件の始め方③ ~実現にこぎつける~

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デジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードに注目が集まってから、随分経つ。

僕が所属するケンブリッジは、企業変革をお手伝いするのが本業なので、DX案件の相談もたくさんいただくし、実際に支援もしている。

多くの方々がDX案件と格闘しているのを実際に見てきた・・・。いや、本当に大変ですよね・・・。少しでも、取り組みのヒントになればと思い、僕らがDX案件をお手伝いする時に気にしていることを整理してみたので、ここで紹介してみようと思う。結構分量があるので、5回シリーズでの展開だ。

第3回:DX7ヶ条(実現にこぎつける)

Newtypeが具体的な未来を描くことが大事だと前回述べた。ソリューションやツールではなく、その先にある「実現したい将来像」が曖昧だとすぐに道に迷う。ソリューションやツールは手段でしかないのだから。

さて、具体的な未来を描いたら、それを実現しなくてはならない。未来を描くのも大変だが、実現するのも結構大変だ。実現にこぎつける上で、ケンブリッジが気を付けていることを3つ紹介したい。

④oldタイプに反対されない状態を
⑤少人数で一気にやる
⑥「投資対効果」で意思決定するな

④oldタイプに反対されない状態を

未来はNewTypeにしか描けない、と前述した。
じゃあ、未来が具体的になれば、OldTypeがスパッと理解して応援してくれるのかというと・・・。そうでもない。スマホがなかった時代に、スマホがある生活をどれだけリアルに描写したとしても理解できるのは極々一部だったはず。
どこまでいっても、OldTypeはまだ見ぬ未来の良さを理解できないのだ。もちろん僕も含めて・・・。
悲しいけど、これ現実なのよね。

なのでOldTypeを味方にするのは難しい。せめて「反対されない状況」は作りたい。

「まぁそこまで言うなら、やってみたら?」
「よくわからないけど、反対はしないよ」

と言ってもらえるようにしておきたい。両手を上げた賛成でなくてもいい。これ本当に大事。そのためには、

a)具体的に未来を描いて語る
これが最も基礎となる。これが出来てないと、日本人にヘブライ語で話しかけるレベルで理解できない。このためにも前回紹介した「具体的に未来を描く」というのが重要になってくる。これがないと会話が成り立たないと考えた方が良い。

b)スモールスタート or PoCで実際に体感してもらう
次に、やるべきは「実際に見てもらうこと」だ。
スモールスタートやPoCで、実際に体感してもらうのが良いだろう。実際に体感できると、グッと理解が進み、多少なりとも支援者が増えるものだ。

c)方向性だけ握る
3つ目は、「進むべき方向性」だけ合意し、細かい着地点は試行錯誤しながら調整してくやり方。初期段階では方向性の合意に留め、スモールスタートやPoCの中で少しずつ具体的な合意に持っていく。未来が実感できない以上、合意形成の仕方も工夫が必要になるということだ。

⑤少人数で一気にやる

実行に向けては、熱量が高いメンバーだけで走った方が良い。
中途半端なOldTypeが入ると、足を引っ張ってしまう。繰り返しになるが、見えない未来を理解できる人は少ないのである。多くの人が、実現されて初めてわかる。
結局、ビジョンと、信念と、実行力の世界。そういう意味では、旧来の大型PJは合意形成と巻き込みの世界であり、DX型プロジェクトとは少し特性が異なるのかもしれない。

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<EXモデル 1/1700 ホワイトベース (機動戦士ガンダム) BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)から引用>
旧来の組織から切り離なし、単騎独立行動を取るくらいで良いのかもしれない。あくまでイメージ。

⑥「投資対効果」で意思決定するな

実現にこぎつける上で、最も障害となるのは投資意思決定だろう。

DXにおいてはこれがまた曲者だ。はっきり言って、DXプロジェクトの価値は単純に数字で語れる世界ではない。誤解を恐れずあえて主張するが、従来のファイナンス理論などでは予測できない世界だと思う。5年で投資回収が...とか。WACCとNPVを考えると、こっちに投資した方がお得...とか。そんな世界ではない。

そもそも今現在、困ってないし、それが実現できたらどのくらい企業価値が高まるのかなんて誰にもわからない。
どちらかと言うと、DXをやらないと世の中の常識が変わり、企業価値がじわじわと既存していく可能性が高い。

DXの価値・・・例えば・・・
・事業継続性の向上
・従業員満足度の向上
・エンゲージメントの向上、離職率の低下
・新しいビジネスの可能性
・新たな企業能力の獲得
・社員全体の生産性の向上
・あるべき姿の企業の実現
・・・・・

など、数字で効果を見積もることが難しいものばかりだ。だから定性的な可能性で投資を決める。目指すべきビジョンの実現のために、投資を決断するしか無い。

大事なのは、意思決定者に「従来のプロジェクトとは違う」「投資対効果で投資するのではなく、ビジョンの実現投資する」とわかっておいてもらうこと。これができないと、確実にプロジェクトが止まる。
敢えて極端に言うと、DXの取り組みで「明るい投資対効果分析」が提示されたら、3年で回収できます!みたいな分析結果が提示されたら、かなり強引に作った数字だと思って良いだろう。そんなものを信用してはならない。

自然と意思決定は難しくなるが、そもそも経営判断は難しいものだ。誰にでもわかる定量的データに基づく判断など、経営判断ではない。

見えない未来に、意思を持ってリスクを取って投資することを決める。判断経営判断ってそういうことですよね。そのために経営陣がいるのだから、難しい判断を迫ってもバチは当たらないだろう。


ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブロク。
Havefun!(楽しもうぜ!)を合言葉に日々仕事をしています。ケンブリッジはお仕事の依頼も、一緒に働く仲間も絶賛募集中。

ケンブリッジのホームページにも記事が沢山載ってます。書籍も好評です。

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