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世界で一番やさしい資料作りの教科書#5 ~資料作成の7つのステップ

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2019年12月に出版された「世界で一番やさしい資料作りの教科書」から、内容を紹介していくシリーズ第5弾。

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今回は「資料作成の7つのステップ」

1枚ものの資料作成については、解説済みだが。今回は複数枚で構成する資料を作るケースの話を紹介したい。全部で7つのステップに整理されている。7ステップ全部を解説するとすごい分量になってしまうので、ざっと全体像を紹介していくことにする。全体像はこんな感じだ。

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ステップを一つずつ見ていこう。

Step1:発散する

最初のStepは発散だ。
頭の中を書き出してみる工程である。やっていそうで、案外やっていないものだ。本文からお父さんのセリフを引用してみる。

「殴り書きでも箇条書きでも、文章でもいいから、ざーっとどんな事を話したいか書き出すことだ。思いつきでいい。まとまってなくていい。頭の中で考えていることは、見えるようで見えていないし、自覚できているようで自覚できていないんだ。書き出すことで、脳みその中が紙に転写される。後はそれを眺めながら思考を深め、整形していけばいい」

人間は考えているようで、案外考えられていない。特に脳みそだけで考えようとすると、すぐに限界がくる。
だからまず、頭の中を書き出して、考えていることを見えるようにするのだ。多くの人が、いきなりパワーポイントに向かうが、その前に一旦書き出すことで、思考が整理されるし、頭の中に考えるスペースが生まれる。ほとんどの人がやっていないのではないだろうか?書き出すのは、手書きでもいいし、メモ帳に打ち込んで見ても良い。手段は問わないが、少し書き出すだけでも全然違うはずだ。

Step2:主張と要望を明確にする

この資料全体を通じて「何を伝えたいのか」を考える工程。
主張と要望をはっきりさせる。この資料を見た人に何を伝えたいのか、そして、どうして欲しいのか。これがない資料の多いこと多いこと...。資料作りの幹とも言える重要な工程だが、細かく解説し出すとそこそこ奥が深いので、ここでは解説は端折る。
詳しく知りたければ、書籍でどうぞw

Step3:相手の状態を考える

相手の状態を確認する工程。
Step2で主張と要望を整理したので、伝えたいことは明確になった。でも、一方的に主張するだけでは伝わらない。
相手の状態に合わせて、伝え方を変えなければならない。だから相手の状態を知る必要があるのだ。
当たり前のようだが、実際はほとんどやっていないのではないだろうか。本書からお父さんのコメントを引用しよう。

「『主張と要望』を伝えることで、相手を『今の状態』から『将来の状態』に移していくことになる。だから当然、『今の相手の状態』を把握できていないと上手くいかない。
「あのー、質問です」葵が手を上げた。「相手の事が正直よくわからないんだけど...そういう場合はどうしたらいい?」
「良い質問だね。結論から言うと、無理やり想像力を働かせてもらいたい。『知らない』という理由で相手の状態を考えることを諦める人がいるが、それは思考停止だ。知らないながらも、想像することはできるだろう?きっとこうなんじゃないか?ってね。それが重要なんだ」
「なるほどね...無理やり想像するか...もしその想像が違ってたら?」
「それはしかたないな。想像力が足りてなかったんだろう。次から補正すればいい。でも、間違っているかもしれないから、全く想像しないというのは何かおかしくないか?」
「確かに...」
「それに、本当にわからないなら、相手に直接聞いたっていい。例えばお客さん先にプレゼンにいくなら、事前にお客さんに電話して、何が気になっているか聞いたっていいだろう。例えば、社内用の資料なら資料を見る人はもっと身近にいるはずだ。ちょろっと行って聞いてくれば済む」

やるべきことをサボるんじゃないってこと。

Step4:シナリオを作る

相手の状態がわかったら、相手に伝えるためのシナリオ(話の流れ、物語、文脈)を組み立てる。

「1スライド1メッセージ」の原則に従って、スライドごとに伝えたいこと、つまり「キーメッセージ」を書き出していく。「1スライド1メッセージ」の原則とは、1スライドに1つ以上のメッセージを入れると伝わらなくなるからダメ。というものだ。

そうやって出てきた「伝えたいこと=キーメッセージ」をつなぎ合わせて、シナリオを作っていく。

本書のなかでは、スライドごとを接続詞でつなぐことで、一つの文章として成り立たせるようにしている。
人間は、ぶつ切れの情報を投げつけられると、それを文脈で解釈しようとする。
箇条書きではなく文章で、単語ではなく物語で理解しようとする。(箇条書きが悪だと言うつもりはないが、箇条書きを見た人間は、それらをつなぎ合わせて文脈として理解しようとするものだ、という話)
なので、複数枚で構成される資料を作るときには、シナリオ(話の流れ、物語、文脈)が大事になる。
これがしっかりしていると、途端に読解の負荷が下がる。

Step5:ラフスケッチ

全体の流れが整ったら、スライドごとにどんな図・表を入れ込むか考えていく。
ここでのポイントは
・パソコンには向かわず、「手書き」で考えること。
・図表を主役にするのではなく、キーメッセージを主役にすること。
詳しく書かないが、きっと分かる人にはわかるはず。わからない人は、本書へw

Step6:電子化

ここまできてようやくパソコンを開く。パワーポイントを立ち上げる。
キーメッセージも、全体の流れも、スケッチも出来上がっているから、後は電子化すればいい。大事なのはパソコンの前で考え込まないこと。
考えがまとまっていないうちにパワーポイントを立ち上げると、日本語の表現や、フォントサイズ、色、デザインなどに気を取られてしまう。これらを気にするのは一番最後で良いのだ。

Step7:一晩おいて見直す

最後の工程は、作ったら、一旦時間をおいて、読み手の気持ちで見直すということ。
ここで、ハッとすることも多い。作り手の視点から、読み手の視点へ立ち返ろう。そうすることで、自然と新たな修正点が見えてくる。



以上、「資料作りの7つのステップ」を、ものすごくざっくり紹介した。詳細はブログには書ききれないので、「世界で一番やさしい資料作りの教科書」で確認してもらいたい。毎回全部をきっちりやる必要はないが、原理原則を語るとこの7つに収斂されると考えている。
次回は、最終回。プレゼン時の心得を紹介する。

<連載Agenda>
*新刊出ました
*1枚ものの資料作りの3Step
*タスク依頼の3要素
*コミュニケーションの3大お作法
*資料作りの7つのStep
*プレゼンターのべからず7箇条


ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブロク。
Havefun!(楽しもうぜ!)を合言葉に日々仕事をしています。ケンブリッジはお仕事の依頼も、一緒に働く仲間も絶賛募集中。

ケンブリッジのホームページにも記事が沢山載ってます。書籍も好評です。

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