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教えることは増えているのに、短期化・短時間化する新入社員研修で伝えるコツ2「心に残るストーリー」

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新入社員研修で講話やプログラム(担当テーマ)の準備を進められている方も多い時期。前回に続き今回は、多くのことを一時期に学ぶ入社時教育において、新入社員の意識や行動に効果的に働きかける「心に残るストーリー」を組み立てるポイントについて紹介します。

1)社内講師としての下準備
プロとして長年第一線で活躍する講師の多くが取り組む下準備。それは「経験の棚卸し」です。自身の経験をまずは100程度棚卸すことからスタートし、そのブラッシュアップを常に図っています。しかしそれは時間と根気の要る作業。

主業務があり、テンポラリーに依頼を受ける社内講師にとってその作業は現実的ではないでしょう。そこでお勧めするのは、棚卸しそのものが、これまでの取り組みや今後のアイデアにもつながる可能性がある棚卸しです。

棚卸す項目は大まかに分けると2つ。
①知識や技術(製品・サービス)の歴史的な流れ
②自身の経験と感情の流れ
それは次のイラストイメージです。

162224931_2829775697288880_6969132677899381632_n.jpgのサムネイル画像

それでは、具体的な進め方を紹介します。

①知識や技術(製品・サービス)の歴史的な流れの棚卸し
例えば、私が人材育成業界に入ったのは1995年なので、1995年頃~について書き出してみると・・・

1995年 
・阪神淡路大震災、オウム真理教事件
 →危機管理意識の高まり(危機管理研修)
・Windows95発売
 →ワープロからPCへ、スキル教育の高まり(IT教育)
・第二次男女雇用機会均等法改正
 →女性活躍(ポジティブアクション)の高まり(一般社員研修)

1998年/2000年
・金融ビッグバン/国際会計基準の導入
 →MBA教育ニーズの高まり(社内MBAプログラム)

年代ごとに出来事や法改正などについて書き出すと、扱う製品・サービスのトレンドの変化などが確認しやすくなります。また、その時代や当時の自分の状況が俯瞰しやすくなるので、話の流れが組み立てやすくなります。

業界の歴史や動向などは、自社(自組織)、あるいは、自業界を牽引する組織のウェブサイトに書かれていることが多いので、それらを活用するとスムーズに把握できます。

②自身の経験と感情の流れの棚卸し
次に、自身の経験と感情の流れの棚卸しです。イラストのように、組織の年表と合わせて整理します。

新入社員研修を担当する場合は、新入社員時代の記憶や感情は「備考(気づき)」欄に丁寧に振り返っておかれることをお勧めします。
例えば私の場合は、
・全く未経験で入ったので、専門用語が難しくてわからなかった
・上司が時間をかけて教えてくれようとしたので、その姿勢に安心した
・5月頃から営業活動を始めても、まったくアポイントがとれずにつらかった
・お客様とお会いできても、何を話していいかわからなかった
・あるお客様に「他の会社との違いは何ですか?」と聞かれて困り「講師の人柄が違う」と答え苦笑された
・お客様と上司の話にまったくついていけず自信を失くした
・まったくお仕事がいただけず「向いていないのではないか」と思った
・「このお仕事は必ず形にしよう」と上司に言われて心強かった
・仕事の注文をFAXでいただいた時に、飛び上がるほど嬉しかった

書き出していくと、その時々の上司、先輩、同僚、後輩、お客様、関係者など様々な人の顔や言葉が思い浮かぶので、それも書き留めておくと、後々役立ちます。

2)担当パートの位置づけを把握する
例えば、ITの知識や技術がある人と、全くない人に対して、知識や技術の研修をする必要がある場合、自身が担当するパートの位置づけによって伝えるストーリーは変わってきます。

担当パートが教育のスタート時点である場合は、知識や技術が全くない人に焦点を当て、「安心してもらうこと」が必要でしょうし、ある程度教育が進んできた段階では、知識や技術がある人に向けて「基本の大事さ」について伝える必要が出てくるかもしれません。

自身の経験の何に焦点を当てるかは、担当するパートの位置づけによって優先順位が変わるので、前後のプログラムでどんなことをやっていて何に焦点を当てているかは、把握しておくことが大事です。

3)心に残るストーリーの組み立て
以上の準備をしたところで、理論→方法論→経験談の中で「心に残る」要素となる「経験談」をストーリー性をもって組み立てます。

ストーリー性を持って語る手順でどなたでも取り組みやすいのは、
Before→Turning Point→After
です。

これに私は、1つ付け加えることをお勧めします。
Before:知識や技術を知る、身につける前の状態
Turning Point:意識や行動が変化したきっかけ
       (何かができるようになった、コツや勘所)
After:実際に取り組んでみた結果
   (得られたものや感情)

Message:得た教訓をもとに
     【今後に向けたひとことメッセージ】

そして、手順がわかったところで大事なことは、自身の経験からどの経験をピックアップするか。

初めての方にお勧めなのは、講話や研修の依頼者に
・なぜ、私に声をかけてくれたの?
・どんな話を期待してる?
・何を一番伝えたい?
と確認してみると、フィットする確率が高まります。

ちなみに参考情報として・・・
毎年新入社員育成に関わる中で、講話やパートを担当される上司や先輩は、新入社員から見ると、自分がそうなれるとは想像だにしない「すごい人」のよう。

「すごい人」にも新入社員時代があり試行錯誤を経て今に至っていることがわかると、希望がもてるようです。

社会に新たに加わる仲間を迎え入れるまでにあと数日。
今年はどのような人たちに出会えるか、わくわくします。

基軸」に基づいて、ストーリー立てて語る。
この一手間で「一緒にいい仕事をし、いい会社にして、いい人生にしていこう」という気持ちを伝えていけると思います。

本内容が少しでもお役に立てましたら嬉しいです。

(イラストは、add9五月女圭司さん作です。社内教育ツール用のイラストなども対応されます。関心がある方は、弊社までご一報ください)

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