[書評]民心黙し難し(もだしがたし)
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岡山県南部・現在の和気町にある閑谷学校は、日本最古の平民向けの学校として江戸時代に設立された。だが江戸時代後期になると、岡山藩の中央官僚からは疎まれるようになり、中興の祖として知られた武元君立も失意のうちに出奔してしまう。
そんな武元の薫陶を受けて育った平四郎と栄之進、百姓と武士という立場の違いから疎遠になっていくが、それぞれの根底にあるのは閑谷学校で学んだ民心を重視する教えであった。
多くの地方で地域づくりが叫ばれる中で、民間と行政の立場の違いから変革が遅々として進まないのは今も昔も変わらないことである。それを嘆いていても始まらず、むしろ具体的行動によって周囲を巻き込みながら実績を上げていくしか方法はない。
「民心黙し難し(もだしがたし)」公益を想う心に立場の違いはない。もしそれが手続きやつまらない意地によって硬直化しているのであれば、もう一度自分自身の使命とは何かという問いに立ち戻るべきであろう。
岡山を活動拠点として地域づくりを進める立場として、非常に参考になった本であった。歴史物の青春長編小説としても読み応えのある作品。
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