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キレイゴト抜きの農業論

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「有機農法だから安心」という論理は、ハッキリ言って2周遅れです。

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)

無農薬・無化学肥料の有機農法野菜を少量多品種で手がける久松農園から、このような意見を聞けて膝を打つ思いだ。有機野菜じゃなければならない、という原理主義は論外としても、未だに新規就農するに際して自然農だ、無農薬でやるのだ、という人たちに欠けている戦略性、それについて書かれている本である。

無農薬・無化学肥料とは美味しい野菜をつくるための手段であって、そこに至る手段としては別に慣行農法だろうが水耕栽培だろうがどれでも良い。一方で、新規就農という土地も資本もネットワークもない状況で採るべき戦略として、無農薬・無化学肥料というニッチな分野を狙うのはアリだと思う。

自分自身、田舎に住んで有機農法で野菜を育ててみたが、虫や雑草との戦いは半端なものではなかった。そのような痛い経験を踏まえて、様々な農業資材を活用しながら、顧客選別をするマーケティング戦略として無農薬・無化学肥料を実践する久松農園のやり方は合理的に感じた。

農業の素人で、漠然と有機農法が身体に良いのだと思っちゃっている人たちに是非読んでもらいたい内容である。

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