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[書評]朽ちるインフラ

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東日本大震災が起こった日、3.11。東京でも大混乱が起こりましたが、その中で重大事故がありました。九段会館での天井崩落によって、2名が死亡、26名が重軽傷という事故は、東北の被災地の悲惨なニュースによって扱いは小さくなりましたが、今の公共インフラが抱える潜在リスクを明示するものではないでしょうか。

朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機


一般的に構造物の耐用年数は50年と言われています。そして道路、橋りょう、上下水道、病院や図書館といった日本の公共建築物などは1960-70年代に建てられたものが多く、まもなく耐用年数を迎えるものがほとんどなのです。


アメリカにおいては、1930年代のニューディール政策の際に建設された公共建築物が1980-90年代に崩落したり機能不全に陥る事故が多発し、その増え続ける公共投資が現在のアメリカの双子の赤字の原因となりました。


日本においても今後累計330兆円、年間8兆円規模の更新メンテナンス投資が発生するとみられており、それが現在の公共事業規模20兆円に上積みされることになります。ところがそんな財源はどの自治体にもあるわけではなく、多くの地域で「朽ちるインフラ」が多発するのではないかと考えられます。


私の暮らす集落でも、50万円を拠出すれば行政が1,000万円の予算で道路を直してくれるといった話で集会を開いていました。そのような陳情が市全域で行なわれている結果、私の住む自治体では全国ワースト4位の住民1人当り行政コストを計上しています。


このままでは、膨らみ続ける公共投資と減少する税収によって日本では多くの自治体が財政破綻を起こすことでしょう。とくに地方行政においては、高齢化と人口減少によって生産世代が著しく少なくなりますから、その課題は他の地域に先駆けて起こります。


ハード依存の地方経済と、お上依存の住民、そして持続不可能な地域社会、、これはいずれ日本全体において顕在化する社会課題ですが、すでに多くの地方では現実問題として対応が迫られています。東京出身の私が課題先進地域の岡山県美作市で活動しているのも、このような社会課題に対するソリューションをいち早く確立することが私たち以降の世代の持続可能性に係わるからです。


新しい公共、官から民へというかけ声は多くの自治体から聞かれますが、その実態は旧来のしがらみと政治的駆け引きによって骨抜きにされています。でも自治体とは本来、家族から始まり集落自治、町内会といったボトムアップ型のコミュニティ社会によって支えられているものであり、トップダウンで何とかしようという発想自体が筋が悪いでしょう。


道1つを補修するにしても、住民たちがそれぞれの技能や労働力を出し合って協働作業を行なっていけば、それだけでその地域は持続可能になります。それが昔ながらの普請と呼ばれるものです。特別なことをする必要もなく、そんな昔からあった地域における仕事が持つ機能を1つ1つ現代の産業水準に合わせて制度設計しなおしていくことが、日本社会を持続可能にしていく唯一の手段だと思うのです。



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