学校裏サイトの影響は?
学校裏サイトはやはり深刻です。4月15日の文部科学省の委託調査の最終報告では、確認できた学校裏サイトは全国で38,260件、誹謗・中傷表現が50%のサイト、「死ね」「消えろ」「殺す」などの暴力表現も27%となっています。「学校裏サイト数はどこまで増え続けるのか?」のブログでご紹介しましたが、3月14日の確認時点で誹謗・中傷表現が2割程度という集計結果を公表していましたが、予想以上に深刻な結果となっています。
今年の1月に「学校裏サイトの現状と対策の取り組み」という内容で学校裏サイトの現状をアンケートや調査資料等から整理し、国の規制や情報モラル教育の取り組み等の事例をご紹介させていただきました。これからの取り組みも抜本的な対策ではなく、今後さらに踏み込んだ対策が必要となってくるでしょう。
では、学校裏サイトが今後も増え続けることによってどのような影響が生じていくのでしょうか?
まず、一番深刻なのは生徒や児童の精神面です。調査結果からも自分や友達が落ち込むといったケースも少なくなく、ネット上の多くのネガティブな情報に触れることによって生じる精神面の影響はかなり大きいでしょう。
また、「学校裏サイトとICT教育」等でご紹介させていただいたように学校裏サイトが学校のICT教育の普及にブレーキをかけていることも否めません。「ICT政策と利活用に関する国際比較ランキング」の中では、日本のICTインフラは世界最高水準にありながら、日本の学校のインターネット接続率は18位、LAN接続率も米国や韓国と大きな開きがあります。日本のICT教育がこのまま軌道にならなければ、日本のIT産業、ひいては将来の日本の国際競争力にマイナスの影響を与えていくことも否定はできません。
学校裏サイトの存在は、学校、児童・生徒、そして保護者等にとって非常に深刻な問題です。また、中長期的に見ると、ICT利活用の遅れや情報モラルの意識の低さという観点で、日本の社会、経済に暗い影を落としていくことにもなりかねません。
学校裏サイトに対して短期的には、政府、学校、保護者そして企業と一体となって対策を真剣に考えていく時期がきていると言えるでしょう。同時に、ICT教育や情報モラル教育を積極的に実施し、情報リテラシーを高めることで、多様化するインターネットの怖さと有益性を経験し身につけていく仕組みづくりもさらに重要になってきているのではないでしょうか。