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クライアントの言葉に傷つくことのあるSIの方や、SIの言葉に何か騙されているような気がしているクライアントの方へ

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2012年5月27日の投稿

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自分は音楽の専門教育を受けた訳ではないので、あまりよくはわからないのだけど、楽器を”音楽を作るための道具”と捉えると、作りたい音楽が先にあって、その音楽のメロディを作り出すために楽器ができてきたんじゃ無いだろうか、と。

ただ楽器それぞれには、その音階の取り易さ、というのは確かにあって、例えば鍵盤楽器だったら、オクターブ飛んで、というメロディは指の位置がすっと上げたり下げたり、というのがしづらいので弾きにくいし、ギターとかの方が(自分は弾けないけど)フレットの平行移動とかすることでスムーズなんじゃないか、と思うし。でも、ピアノの方が圧倒的にコードは弾き易く思う(指の配置がシンプルなんでね)。でも、ギターだったら指を弦跨ぐように押さえ込んでしまえば音の離れているコードは押さえ易いかも・・・。

と楽器によっても得手不得手なメロディや音階って確かにありますよね。

だから、随分以前に「Bussiness Media 誠」に、向谷実さんが京阪電車の発車メロディを多数手掛けた際のインタビュー記事が出てましたが、

丁度その頃、他のメディアにもこの発車メロディのことがいくつか取り上げられていて、そこには、楽器は極力手弾きにする、そして、メロディも手弾きで可能なものにする、それが一番聴く側にとっても自然なメロディになるはず、ということをおっしゃっていたような気がします。

残念ながら今となってはソースみつけられませんでした。自分はこの誠の記事だった、と思ってたのですが、そこまで楽器とメロディの関係までには書かれてなかったので、こちらだったかも、と思ったが、

今となっては見つけられない・・・だから、こういうネタは早く書かなきゃいけないんです、と自省(苦笑)

さて、そもそもこのネタ、約3年半前に佐々木さんより振られたネタだったので、お約束を果たすべく「いつかは」と思ってたらこんなに年を越してしまいました、すみません(苦笑)

で、近々が今になってしまった訳ですが、その代わり、と言ってはなんですが、おまけを書いてみることにします。

一時期のブーム的熱気からはちょっと落ち着きを取り戻した感のある(と自分は思っている)Perfume、ご存知でしょうか?そしてそのPerfumeのサウンドを活動開始時の初期の一部の曲を除き全部創っているのが中田ヤスタカさん、というアーティストです。

中田さんの曲の作り方は、ほぼほぼコンピューター上で制作されています。だから割と突飛なメロディやバッキングのフレーズも多いです。これは向谷さんのアプローチとは間逆なのかもしれません。楽器も素材でしょ?と。自分の感性で一番好み、と思うものにしていって、その結果として、それが実際に手弾きで再現できるかどうか、というのはこだわらないし気にもしない、という。「みんなに心地良いメロディ(≒向谷さん自身にとっても心地良いんでは無いか、と思われる)」を目指す向谷さんアプローチと、「とりあえず、今の俺はこのメロディがいいんだ、万人受けするかどうかなんか知るかよ(・・・とまで書くと表現が粗いかもしれませんが)」の中田さんアプローチ、というか。

実はこの向谷さんが京阪電車の発車メロディを作ってインタビューに答えられていた2008年の冬頃、丁度、中田ヤスタカさんも、その当時、ご自身のユニットであるCapsule(カプセル)の新作ができたことに伴い、いくつかの雑誌でインタビューに答えてらっしゃる。

※あくまで2008年11月頃時点の新作です。

雑誌「サウンド&レコーディングマガジン」の2008年12月号のインタビュー記事の一部を抜粋してみます。

(曲作りの仕方等のインタビュー場面において)
ちなみに、打ち込みの作業自体はライブのようにどんどん弾いていくんですが、ライブをすることを想定していないので、実際弾けるかどうかは関係無いんです。曲自体を重視する感じ。ステップ入力はほとんどしないですね。ステップっぽくするために、後でデュレーションを全部8分音符で統一したりすることはありますけど。曲を作っているときに”打ち込みしている”という感覚は無いんですよ。

赤の太字にしたところは、このインタビュー記事のこの回答の部分の段落の見出しにもなっています。だからかわかりませんが、どなたからか、「中田ヤスタカはそもそも自分の曲を手弾きでやったりすることに全否定なんだよ」なんてことを言われたことがあるんですが(→なんでそんなことを言われることになったか、はまた今度までとっておきましょう(笑))、見出し以外の部分を読めば、曲作りにあたって、”コンピューター上でデータ打ち込みばっかりで計算上だけで曲作ってるんじゃないの?”みたいな誤解を解きたいのかな、とも読めます。

事実、同時期のまた別の雑誌、「ミュージックマガジン」2008年12月号のインタビュー記事では、同様に曲作りのところで、

「いや、ずっとハイテンションですね。座っていないし。なんかイラっとするんですよね、DTMのイメージに。どんな音出してもピコピコって言われるじゃないですか。鍵盤弾けないと思われてるし。僕の場合、全部、手弾きからやっているのに」

と答えてらっしゃる。

・・・いやぁPerfume人気で知名度が上がって、またその際の制作風景としてビルの一室にあるご自身の持つプライベートスタジオにはボーカルブースとキーボードがちょっとしかなくて、大きな液晶モニターとサブモニターとあって、いかにもコンピューターだけで作ってます、的な報道をされているのも多かったから余程頭に来てたのかな、と。

ついては、もともとサウンドプロデューサーではあるんだが、”プレイヤー的資質だって当然あるんじゃボケ~!”っていう心の怒りが、どんなインタビューでも出ちゃうのかな、と感じて、ついつい向谷さんの話と比較すると自分の中で何かおもしろかったのです。

だからきちんとブログエントリーしようとして、そのまま構想期間が過ぎて今になってしまったのですが。

こんなこと書いてると評論家ぶってるように見えちゃうかもしれないし、ま、もちろん自分はそれほど上手ではないんですが、佐々木さんが当時書いてくださっていたとおり、自分にはやはり手弾きへのこだわり、というのは確かにあります。

以前、「オルタナティブな生き方」で取り上げていただいた際にも、

Senoo_takashi02

こんな若い頃の雑誌のコピーを見てもらいましたが、そこにも書いてある、「機械は機械らしく、人間は人間らしく」みたいな。さらに言えば、機械(シーケンサー等)で演奏されているフレーズを手弾きで再現、みたいなものにはちょっと燃えるものがあります(笑)

そんなこんなで、前述の中田ヤスタカさんの曲のフレーズでも弾いてみませんか?というご提案です(え?ここまでが前置き?(苦笑))。

最近のPerfumeのシングル曲、連続でキリンの氷結という缶酎ハイのコマーシャルに採用されているので、皆さん聴かれることも多いか、と思います。その2曲のフレーズを取り上げてみます。

■最新の曲「Spring of Life」(2012年4月11日発売)


YouTube: Perfume - Spring Of Life (HD)

2分48秒ぐらいの間奏の後半から入るシーケンスフレーズなどが特徴的でおもしろい、と思うのですが、残念ながらサビの部分では無いのでCMでは聴くことができないか、と思います。是非YouTubeなりお買い求めいただいて聴いていただきたいのですが、これを楽譜に起こしてみるとこうなるのではないか、と思います(あくまで妹尾の採譜ですので正確では無いかもしれません)。

Spring_of_life

上段も下段も全く同じ譜面です。ただ指使いを入れたかどうかの違い。

そもそも、中田ヤスタカさんの曲のフレーズを弾いてみよう、と思うようになるまで、指使いなんか何も意識したこと無かったんですけどね(爆)それでなくても飛ぶフレーズなんでよーく考えないとそれこそ弾きようが無い、というか。

※くれぐれも、自分の弾きやすさでの今の所のベスト、であり、この指使いが正解という訳ではありません。

■一個前に採用されていた曲「GLITTER」(2011年11月2日発売(スパイスと両A面・・・とは今のご時世言わない?(笑)))


YouTube: perfume GLITTER PV

GLITTERの方は全編通してずーっと鳴り続けているフレーズにしてみました。メロディのパートにより音色が変わったりオクターブが変わったり、あとは細かい所でフレーズが変わったり、調が変わったり、とバリエーションはありますが、基本はこれか、と思います。

Glitter

こちらは紙面の都合で指使い有のみ。この指使いも正解、という訳ではありません。

いずれの曲にしても、上手な人ならあっという間に弾けちゃうかもしれません。

自分はまだ上手く弾けませんね~。練習が足りません。今のところ、この原曲のテンポを80%~90%ぐらいに落として、やっと追いつけるぐらいの感じなんで、今年中には(遅!)弾けるようになりたい、と思います。

みんなで楽しみましょう!手弾きライフを!

追伸:先日、出張に行って京阪電車を祇園四条から枚方市まで、しかもせっかく特急に乗ったのに、色んな仕事上の段取り確認やらしてた都合で、落ち着いて発車メロディを楽しむどころか、そもそも向谷実さんが作ったことすら忘れてて惜しいことをしました。ただ、耳障りではなくさらっと聴けた(あまり覚えてない)、ということはそれだけその場において自然だったのだと思います(笑)

t-senoo

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妹尾 高史

妹尾 高史

某輸送用機器製造メーカー勤務。国内四輪販売会社向けのITによる業務支援企画部門所属。
ミニ鍵盤奏者、という新しいミュージシャンカテゴリーを開拓中。

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