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先々週の話になります。「ボランティアが被災者の自立を阻害する?!~震災5ヵ月後のボランティアのあり方を問う」というタイトルのあるブログへの参照が、Twitterで数多くRTされたことがありました。(賛同できない部分があるため、リンクは貼りません。興味のある方は検索してください。)

私はこの問題を「ボランティア vs 被災者」の二項対立の構図で捉えるべきではないと考えます。今回の地震の被災地は南北600Km、東西100Kmの広い範囲です。被災者と一言で言っても、地震の被災者と津波の被災者は状況が全く異なります。ボランティアがいなくなったからと言って、時給600円で現地の方を雇用できるわけでもありません。無償ならお願いしたいことがたくさんある一方で、時給600円を出して被災者を雇用できるのは国か県しかありません。その予算の範囲でできることは限られています。

現地の個々の事情に即したボランティアは、まだまだ不足しています。ネットで流れる話を読んだだけですべてわかったつもりになってしまうことを危惧します。自分の目で見て、自分の頭で考えることをお勧めしたいと思います。

震災から半年になろうとしています。災害出動した自衛隊は、福島県の一部を残して任務完了しました。避難所を出て仮設住宅への入居が進んでいます。岩手県の避難所は、8月末で全て終了しました。この時期に必要な支援とは、なんでしょうか。私は被災された方が「この先なんとかなりそうだ」と将来に向けた見通しを持てることだと考えます。弊社と私個人は、被災地の方をピンポイントで支援しています。

宮城県の仙台湾に浮かぶ田代島(たしろじま)は、小さな漁村です。島には猫神社があり、猫好きの間では「猫の島」として知られています。島に住む100匹あまりの猫を観光資源にして観光事業が立ち上がりかけたところで、今回の地震と津波に遭いました。島の産業である牡蠣の養殖設備は、大きなダメージを受けました。養殖の復興までに3~5年の期間と1億円以上の費用がかかると見積もられました。

この資金を得るために、島の牡蠣養殖に携わる漁師さんたちが考え出した一口支援基金が、「田代島にゃんこ・ザ・プロジェクト」です。1口1万円の出資を募って、その資金を島と牡蠣養殖の復興に使います。出資者には島で取れた牡蠣が4~5年後に送られます。支援基金であって寄付や義援金ではないところがポイントです。

支援基金のうち、5割は牡蠣養殖と漁業に必要な資材購入費、1割は猫基金、残り4割は事務経費に使われることになっています。猫基金は、島の猫の餌購入費、医薬品購入費、観光設備構築費、観光設備修繕費のための基金です。

1万円で目標15,000口、合計金額1億5,000万円を集めるプロジェクトです。現地では目標金額に達するまでは、最低でも3年はかかると予想していたそうです。

ところが予想を大きく上回る反響があり、2011年6月10日から8月29日までの間に申し込み口数15,059口を達成して、申し込みは一旦終了となったのでした。私が申し込んだ時は13,000口を超えたあたりでしたので、8月の終わりにかけて一気に申込が増えたようです。

このプロジェクトの成功要因の一つが、「猫」であったことは間違いありません。牡蠣の養殖支援基金・寄付の募集は、他にもあります。その中から私が「にゃんこ・ザ・プロジェクト」を選んだのは、牡蠣だけでなく猫を支援する基金という目的が、猫好きの私のハートに刺さったからです。全国の猫好きのパワーが結集した成果だと思います。

田代島にゃんこ・ザ・プロジェクト

http://nyanpro.com/

株式会社テクネコは、自分たちの強みを活かした復興計画を実行する方々を、企業だからできるボランティア活動で応援します。東京の人に伝えたい・知ってもらいたい復興事業がありましたら、お気軽にご相談ください。

テクネコ

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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