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東北地方太平洋沖地震の発生から1日過ぎて状況が明らかになるにつれて、被害が甚大であることがわかってきました。当ブログを書いている12日夜の時点では、福島原発の状況が気にかかるところです。

東北地方で被災された方々のご心痛やご苦労には及ぶべくもありませんが、私は今回の地震でいわゆる帰宅困難者になってしまい、寒い中を延々と歩いて帰る経験をしました。当ブログを読んでいただく方の今後の参考になるかと思い、以下、まとめておきます。

11日午後3時前後の地震発生の頃、私は東京都内の田町付近のお客様先で打ち合わせ中でした。ビルの8階はなんとも気持ちの悪い揺れ方でした。自分が体感した過去最大の地震で、怖かったです。

お客様の避難方針に従い、近所の公園に避難して1時間ほど様子を見た後、ビルに戻りました。ビルのエレベータは停まったままで、8階まで歩いて上りました。

夕方5時の時点で、JR他の鉄道が復旧する様子はありませんでした。お客様のご厚意によりビル内で泊まることもできたのですが、私は歩いて帰ることに決めました。

田町駅を通る路線は、JRの京浜東北線と山手線です。どちらも復旧のメドは立っていませんでした。Googleで検索したところ、田町から自宅のあるあざみ野まで歩いて帰る経路は、中原街道または厚木街道(国道246号)があり、どちらも20数Km、徒歩4時間37分です。

私は、Googleのお薦めには従わず、六本木経由で渋谷に出て、国道246号に沿って二子玉川に出ることに決めました。国道246号に沿っていつも利用している東急田園都市線が走っています。多少遠回りになっても、途中のどこかで電車が復旧することを期待していました。

コンビニもバスも行列

田町駅周辺のコンビニは、泊まり込みを決めた会社員が食料の買い出しに来ていました。おにぎりやサンドイッチの棚はすでに空でした。さらにスナック菓子などを買う客でレジは長蛇の列で、店内でとぐろを巻いていました。

バスで行けるところまで行けたらと思い、バス停に行ってみましたが、こちらも長蛇の列で、しかも到着するバスは満員でした。バスは諦めました。

腹が減っては戦ができぬ

舗道からあふれるくらいたくさんの人が歩いていました。一部は歩道橋を無視して、横断歩道のないところで力ずくで横断していました。信号の変わり目に無理をして、車体がはみ出している車がありました。ちょっと異様な景色でした。幹線道路のすべての舗道が初詣の参道状態だったと言えば、イメージしやすいでしょうか。

沿道のコンビニではめぼしい食料品は売り切れで、しかも客が並んでいました。コンビニで食料を調達するのは早々に諦めて、早めの夕食を取りました。腹ごしらえができたところで、いよいよ歩き始めました。田町から東京タワー方面を目指し、麻布十番経由で六本木ヒルズで1回目のトイレ休憩をしました。この間、携帯電話はかなり制限されていて、なかなか繋がりませんでした。

渋谷駅に入ったのは大失敗

六本木から首都高速に沿って歩くと、渋谷に出ます。首都高速は依然として閉鎖されたままで、全く車が通らない首都高は不気味に静かでした。対照的に一般道路の下り車線は大渋滞で、車のクラクションの音が目立ちました。歩く方が早いくらいの渋滞でした。

渋谷に近づくにつれて歩く人が増え、車道にはみ出したり横断舗道の信号待ちで渋滞になったりしました。渋谷の駅前に来ると、混雑はさらにひどくなりました。舗道が細くなっている部分では思うように歩けないくらいの混雑でした。

東急電鉄の改札口は、運転再開を待つ人が集まっていました。バス乗り場は田町よりさらに長い列ができていて、どこの列がどの路線の列なのかわからないくらい長く伸びていました。気が立っていてつまらないケンカをしている方を見受けました。渋谷から電車やバスに乗るのでなければ、こういう時は渋谷に近寄らない方がよさそうです。

二子玉川まで歩くしかない

この時点で田園都市線はまだ復旧しておらず、バスに期待はしていなかったため、いよいよ二子玉川まで歩くことに決めました。渋谷から二子玉川までは国道246号の一本道です。何度もバイクで走ったことがあり、沿線の土地勘があります。周りは同じように歩いている人たちでいっぱいです。夜8時を過ぎて、歩いていても寒くなってきました。

帰宅難民特需発生

沿道のコンビニ、ファーストフード、飲食店は大繁盛していました。特にラーメン屋は寒い中を歩く方に人気でした。予想外に繁盛していたのが、靴屋です。スニーカーを買ってヒールの高い靴を履き替える女性客で賑わっていました。

池尻まで来ましたが、あいかわらず田園都市線は動かないままで、駅の階段はシャッターが下りていました。首都高速も閉鎖されたままでした。池尻からタクシーを拾って、そのまま首都高に入るという目論見はボツになりました。実際のところ、国道246号は超超大渋滞で、最後まで空車のタクシーを見かけることはありませんでした。このような状況では、タクシーはあてにしない方がいいようです。

トイレは必要だ

なんとか桜新町付近まで歩いて来たところ、近くの小学校を開放して休憩所にしているという誘導があって立ち寄りました。ちょうどトイレに行きたくなったところで一休みできて、たいへんありがたかったです。女性の方が長時間歩いて帰宅する際に、途中のトイレは重要な課題になると思います。

電車は速くて楽すぎ

二子玉川まで来た頃は夜10時を過ぎていました。田町を出てすでに5時間を過ぎていて、かなり疲れていました。しかも冷え込んできました。あざみ野までまだ2時間くらいかかりそうです。さすがに歩く気力が薄れてきました。

ここで幸いなことに「田園都市線が復旧する」という情報を交番で得ることができました。二子玉川駅に行ったところ、並ぶこともなくスムーズに電車に乗ることができました。どうやら復旧後2本目の二子玉川始発の電車だったようです。続く電車は渋谷から大混雑になったようで、後続の電車を待つために途中で時間調整が何度か入りました。

歩くととてもたいへんな道のりも、電車だとあっという間です。いまさらながら、電車のありがたさが身にしみました。

11時過ぎになんとか無事にあざみ野に着いて、帰宅することができました。

雨でなくてよかった

今回は電車と首都高速が全面停止でしたが、道路が通れなくなる等の問題はありませんでした。首都圏地震で道路が寸断されたり、沿道の建物が火災になっていたりしたら、とてもこの時間で歩けるとは思えません。また、雨が降らなかったことは不幸中の幸いでした。傘が必要な状況だったら、舗道の混雑がさらにひどくなったと思います。

ガラケーは必要だ

地震情報の収集に役に立つのは、まずはワンセグ放送であることが身にしみてわかりました。公式な報道をリアルタイムに手元で見ることができるのは重要です。ワンセグ機能なしのスマートフォン一台持ちにする計画は、あっさり見直しました。

ローカル情報はTwitterとSkypeで

日頃からTwitterやSkypeで信頼できるグループを形成しておくことの重要性を改めて認識しました。Skypeは携帯電話で規制がかかっているような状況でも影響されませんし、Twitterは電車の最新状況などニュースに載りにくいローカルな情報を入手できます。左手にガラケーでワンセグを見ながら、右手にスマートフォンでローカル情報を入手するのが正しい使い方と言えるでしょう。

Googleマップの経路検索をブックマーク

Googleマップの画面左上にある「乗り換え・ルート検索」は歩いて帰宅する時に必須です。「ルート・乗換案内」リンクをクリックして、「徒歩で行く」ボタンをクリックすると、電車の路線に依存しない最短経路を探してくれます。

繰り返しになりますが、今回は道路自体にトラブルがなく、晴天に恵まれたことは幸運だったと思います。本当の災害時に自分はどうするべきか、何を用意して備えておくか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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テクネコ

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プロフィール

加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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