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客先でThinkPad X200のBIOSをアップデートしたところ、予想外のトラブルになってしまった。同様のトラブルにハマる人が今後も出ると思われるので、情報共有のために書いておく。

そもそもの始まりは、「ThinkPad X200で休止状態から復帰ができず、一度電源断して再起動するしかなくなる」というお客様からの依頼で、お客様を訪問したことだった。使用している型番は7454-A33。X200の中では比較的初期のVistaモデルだ。

ネットで検索したところ、休止状態から復帰しないのは、ThinkPadに限らずよくあるトラブルのようだ。オルタナブロガーの栗崎さんは、「ThinkPad X61がスリープから復帰しなくなった時…」というエントリを書いている。

栗崎さんは「電力の節約のために、コンピュータでこのデバイスの電源をオフできるようにする」チェックボックスのチェックをはずしたら解決したそうだ。お客様のX200で同じことを試してみたが、状況は変わらなかった。

このX200のBIOSは、バージョン1.05だった。Lenovoのサイトで調べると、1.05で修正された問題として「休止状態からの復帰でエラーとなる場合がある」が挙がっている。

であれば、さらに新しいBIOSにアップデートしたら解決するのではないかと考え、最新の3.15にバージョンアップしてみた。アップデート作業は特に問題なく、BIOSアップデートプログラムが自分でWindowsを再起動した。

ところがここで予想外のトラブル発生。

再起動直後から、電源投入時に表示されるはずのThinkPadロゴが表示されなくなった。AC電源、バッテリー、電源ONのLEDは点灯しているが、ハードディスクアクセスLEDは点灯しない。ディスクを読みに行かない。画面は真っ暗な状態。

ThinkPadロゴはBIOSが表示しているので、これが表示されないのは明らかにおかしい。BIOSのアップデート作業を失敗した時に、似ている。BIOSアップデート失敗か。しかし、過去にいろいろなパソコンのBIOSアップデートをした経験から考えて、今回のアップデート作業は正常だった。

お客様のパソコンのBIOSを飛ばしてしまうのは、あってはならない大失態だ。内心大いに焦りつつ、Lenovoのサポートに電話した。

毎度のことながらサポート電話は長い待ち行列ができていて、なかなかつながらない。音声案内をききながら、ひたすら待ち続けた。

と、ここで奇跡が起きた。(後から考えると奇跡でも何でもなかったのだが) ThinkPadロゴが表示された後、何事もなかったようにWindows Vistaが起動を始めたのだ。

その後にようやくつながったサポート電話で、サポート担当者といっしょに確認したところ、BIOSは正しく3.15になっていた。また、ハードウェア診断でエラーは見つからなかった。どうやら電源を入れてからBIOSが起動するまで10分くらいかかる以外は、正常なようだ。これを正常と言えるかどうかは別にして、全くもって理解不能な現象だ。

とりあえず、この状態で本来の問題であった休止状態からの復帰を試してみたところ、普通に休止から戻ってくることを確認した。もともとのトラブルは解決しているとは言え、再起動の度に10分待たされるのでは使い物にならない。

不幸中の幸いで古い1.05がダウンロードできたので、1.05に戻してみた。あっさりThinkPadロゴがすぐに表示されるようになった。当然ながら、休止状態から復帰できないトラブルは再発した。

まとめると、

  • BIOSバージョン1.05では
    電源を入れるとすぐに起動する。
    サスペンドから復帰しない。電源断で再起動するしかない。
  • BIOSバージョン3.15では
    電源を入れてから起動するまで10分以上かかる。
    サスペンドから正常に復帰する。

ということになる。これは「カレー味の○○こか、○○こ味のカレーかどっちにする」と言われているようなものだ。どちらも困る究極の選択だ。

落ち着いてネットを検索したところ、他にもハマった人がいた。

thinkpad x200起動せず→復旧

http://njmnjm.blogspot.com/2010/03/thinkpad-x200.html

ThinkPad X200が・・・・

http://blog.goo.ne.jp/suzuka_web/e/dafa84b892421b9bbd28d04a8e0fd220

BIOSアップデート...

http://swd.dtiblog.com/blog-entry-533.html

Lenovoのサポート担当は今回のようなトラブルは事例がないと言っていたが、このように複数の事例がある。私のケースでは10分待ちで済んだが、40分待たないと起動しないケースもあるようだ。

問題は、待てば起動することに気が付かないまま、修理に出した場合だ。BIOSのアップデートに失敗したとみなされて有償修理になってしまうようだ。私もはじめは有償修理と言われた。メーカー提供のBIOSを対象機種に入れて起きたトラブルで有償修理になるのは、私は納得できない。

はたして究極の選択が解決する日は来るのだろうか。私は古くから「IBM ThinkPad」のファンだった。今回の件で「Lenovo ThinkPad」のブランドイメージが自分の中で一気にダウンしてしまったのが残念だ。

本日の結論:BIOSアップデート直後に起動しなくなったら、あわてずに小一時間ほど放置して様子をみるのがお薦め。

テクネコ

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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