« 2010年7月22日

2010年7月30日の投稿

2010年8月2日 »

株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)主催の『クラウドサービス「IIJ GIO」ブロガーミーティング』に行ってきました。

第一部その1「なぜIIJ GIOが生まれたのか?~日本発クラウドサービスの誕生秘話~」では、GIOマーケティング部 小川副部長からプレゼンテーションがありました。

2010年4月にIIJと合併した株式会社アイアイジェイテクノロジーは、10年以上前から「IBPS」のサービス名でIaaSを提供していた。IBPSは25,000管理ノード(台)の規模となっている。IIJは実はIaaSの老舗である。

1990年代後半になると、Server Side JavaやASPが実利用に耐えられるようになった、ネット上でクレジットカード決済サービスが提供されるようになった等、環境が整ったことにより、ECサイトが急増した。ECサイトはどこも似たようなシステムアーキテクチャ構成であり、その都度コンフィグレーションしていると、エンジニアが飽きてしまう。

そこであらかじめ大きな自社設備を用意しておき、その都度切り売りすればいいのではという発想が出てきた。これならお客様にとっても、資産を持たなくてよい、必要な期間だけ契約できる、納期が短い等のメリットがある。2000年にIBPSのサービス名でリリースした。

大企業でIBPSを利用している実績がある。大企業のWebサイトは、新製品発表やイベントの時に短期間だけ急激に負荷が高くなることがある。利用者企業では従来はピークに合わせてサーバを持っていたが、IBPSを利用するようになって繁忙期だけリソースを手軽に追加することができるようになった。

極端な話、インフラのサイジングができなくてもなんとかなってしまう。当初予想以上の負荷やディスク容量になった場合でも、ディスクの追加・削減がオーダー変更だけですぐできる。タイムセールのトラフィック急増等に柔軟にリソースを増減して対応できる。

ECサイトの用途では、サーバーへのネットワーク接続は、一般顧客がアクセスするインターネット側と配送業務などで使う閉域網側(イントラネット)の両方が必要になる。

Amazonのクラウドは余った自社リソースを小売りするところから始まった。Amazonのクラウドでは閉域網ネットワークは使えない。

IBPSは最初から商用サービスとして専用に用意したことが大きな違いだ。プライベートIP空間を利用可能なので、企業のマシンルーム代わりに使える。プライベートIPアドレスは、IIJ側で使えるIPアドレスを指定するのではなく、利用者のIPアドレスを使える。利用者の社内のサーバーをクラウドに移行する際に、社内からの接続先のIPアドレスを変更する手間は不要だ。

また、利用者の管理者がインターネットからポートの開閉設定ができるところもAmazonとは違う。

クラウドが普及して来たのに合わせて、IBPSをクラウドサービス「IIJ GIO」にブランド変更した。IIJ GIOは、グローバルIPの接続性とプライベートIPの接続性を両立する「本物の」プライベートクラウドだ。

IIJ GIOのサービスメニューは、レディメイドの「IIJ GIOアプリケーションサービス」「IIJ GIOプラットフォームサービス」と、オーダーメイドの「IIJ GIOコンポーネントサービス」がある。

「IIJ GIOコンポーネントサービス」は個別の要件に合わせて、ITリソースパーツを構成して提供する。閉域網ネットワークの提供はこのメニューになる。

「IIJ GIOプラットフォームサービス」の「IIJ GIO ホスティングパッケージサービス」が、Amazon EC2やニフティクラウドの比較対象になる。仮想サーバー1台で月額4,000円の「ベーシックプラン」等、7つのプランを用意している。初期費用不要のプランもある。日割り契約が可能で、1日あたりだと133円からになる。

Amazonは1日あたり2ドル(約180円)だから、価格面でも競争力はある。ただし、価格競争は今後さらに激化すると考えている。

後編に続きます。後編では仮想サーバーを体験します。

テクネコ

« 2010年7月22日

2010年7月30日の投稿

2010年8月2日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
techneco
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ