« 2009年6月2日

2009年6月4日の投稿

2009年6月9日 »

6月2日、Linuxコンソーシアムの解散を受けて、新団体「OSSコンソーシアム」が旗揚げしました。OSSコンソーシアムの夢は大きく、海外のOSSコンソーシアムとの連携も視野に入れています。このため日本国花である桜をイメージした、オシャレなロゴになっています。この桜の花が、世界で活躍するようになって欲しいところです。

OSSコンソーシアムには以下の部会があります。

  • セキュリティ部会
  • 組込み部会
  • ソリューションビジネス部会
  • CMSビジネス部会
  • ビジネスアプリケーション部会

この中でCMSビジネス部会は少し変わっていて、オープンソースCMSだけでなく有償の商用CMSを推進している企業・個人も参加できます。CMSの認知度を向上させるため、オープンソース・商用を問わず、いっしょに盛り上げていくことを狙っています。興味のある方は、こちらのサイトをご覧ください。

発表に続いて、<クラウド=「IT新自由主義」時代をどう生き抜くか>と題して、国立情報学研究所 社会共有知研究センター長 新井 紀子 報社会相関研究系 教授の特別講演がありました。新井教授は数理論理学が専門で、10冊以上の著書があります。

IT新自由主義では、Googleのような強いものがますます強くなります。例えば、東大の優秀な卒業生をGoogleがリクルートしています。その人達の研究成果は、決して外部に出てこなくなりました。そのため、コンピュータサイエンスは「終わった」そうです。同じく国立情報学研究所の佐藤 一郎教授のインタビューがこちらにあります。

本当に先端の技術は、その技術の現物に触れている人でないと研究できません。論文を書くための研究なら、仮想化やシミュレーションを使えば何とかなるかもしれません。しかし、実際に使えるレベルの技術を開発するためには、現物を見て、現物の癖や特性を見極め、ノウハウを蓄積する必要があります。

つまり、何百万台ものコンピュータを連動させるスケールアウト型のクラウド技術で勝負しようと思ったら、米グーグル、米マイクロソフト、米アマゾン・ドット・コムにいる以外、研究のしようが無いのです。カーレーシングのテレビゲームでいくら一番になっても、実物のレーシングカーで一番にはなれません。軽自動車を改造して農道でいくらレースをしても、F1では勝てません。F1で勝とうと思ったら、F1にかかわらないといけないのです。

コンピュータサイエンスに残された研究の余地は、かなり狭くなるだろうと思っています。

つまり、クラウドを研究しようと思えば、「中の人」になるしかなくなったということです。

その一方で、日本大学、一橋大学、立教大学、東京女子大学他の大学で、Google Appsの利用が進んでいます。Googleのメールやアプリケーションのユーザインタフェースに学生の頃から慣れ親しんだ学生が、今後は続々と世の中に出てきます。

新井教授は、「Google Waveのようなユーザインタフェースが、これからの学生にとって当然のことになる。個々にWYSWYGエディタ等を作っても、Googleにかなわない。個別の開発はせずにオープンソースで共有して、Googleに対抗すべき。」と指摘しました。

Google Waveのデモを見ると、Googleの圧倒的なパワーがわかります。普通の一企業がGoogleと同じ分野やサービスで対抗することは、もはや不可能と言ってもいいかもしれません。しかし、Googleにやられたままというのでは、面白くありません。オープンソースのモデルでGoogleに対抗することは、一つの方向ではないかと思いました。

関連リンク:

テクネコ

« 2009年6月2日

2009年6月4日の投稿

2009年6月9日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
techneco
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ