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基調講演の1人目は、オラクル本社のシニア・バイス・プレジデント ソニー・シン氏でした。オラクルの全体戦略の話でした。

以下、要約です。

ベンダー特有のテクノロジーのアプリケーションにカスタマイズが加わることで、非常に複雑になっています。オラクルは3つのこと、Complete(業務に適合)、Open(標準に準拠)、Intergrated(短い時間で使える)を提供しようとしています。

Complete

すべての業界で、業界に特化したベストなソリューションを出します。ここ数年、各エリアのベスト企業を買収してきました。テクノロジーの会社だけでなく、オープンスタンダードや特定業種の会社もあります。買収と自社開発で、アプリケーションを強化してきました。SAPはバックオフィスしかありませんが、オラクルはCompleteです。

例えば、ワールドワイドの通信業界トップ20の企業は、オラクルアプリケーションを使っています。オラクルアプリケーションは最も完成された業種別アプリケーションです。

Open

企業にはすでに投資したものあります。アプリケーションの互換性が重要です。標準準拠のテクノロジーを使うことは、アプリケーションを増やすことになります。

オラクルは、インフラ、データベース、ミドルウェア、アプリケーションのすべてを網羅しています。Openな業界標準を採用することで、既存のものと入れ替え可能になります。

Integrated

オラクルは、アプリケーション統合アーキテクチャ(AIA:Application Integration Architecture)の一構成要素として、ファウンデーション・パックを出しました。ファウンデーション・パックは、Fusionミドルウェアを使って開発されています。業界に依存しない汎用的なデータ・モデルや、それらの動作を規定するサービスが事前に定義されているため、迅速な導入ができます。

オラクルは、アプリケーション統合アーキテクチャで、いろいろなアプリケーションを統合します。これにはオラクル以外のアプリケーションも含まれます。

生き残りを支援するスマートIT戦略

ある調査では、低迷期に業界の企業ランキングが変わる可能性が大きいという結果が出ています。低迷期に4分の1の企業が入れ替わり、その企業はその後3年間ランキングの上位になります。低迷期に投資して経営を改善すべきです。ITを絞り込んで投資すれば、10倍の効果を上げることができます。

HPはSiebel CRMのディールマネージメントのカスタマーです。利益率をアップすることができました。

短期的には以下がキーです。

アナリティクスの重要性

企業の行動を決めるためのリアルタイムな分析です。オラクルのアプリケーションにはダッシュボード機能があります。

SCM

SCMで販売管理費を下げることが重要です。タタモータースは、1,500ディーラーから販売データを収集して、車を即日配送しています。売れている車種や色を把握して、瞬時に反応し、在庫を最適化することができます。

人材管理

Wells FargoはPeopleSoftのユーザです。コールセンター要員の評価にリアルタイムメトリックスを使っています。応答時間や顧客満足度などの尺度を組み合わせることで、統合されたパフォーマンス管理をしています。

お客様

アラスカ航空は、Siebelのユーザです。iPhoneを使って顧客とインタラクションすることにより、顧客ロイヤリティーを高めています。例えば、顧客に合わせてカスタマイズされたオファーをiPhoneを通して提示しています。

オラクルは、BlackBerry、iPhone、Windows Mobileに、分析とトランザクションの機能を追加しました。例えば、外出先で仕入れの承認をするだけでなく、その結果、どのような影響があるかを見ることができます。

事例に出てくるアプリケーションでSiebelとPeopleSoftが多いことは、少し意外でした。

4月26日追加

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テクネコ

サンマイクロシステムズ買収の興奮も冷めない中、Oracle OpenWorld Tokyoが始まりました。回を重ねる毎に規模が大きくなって、今回の東京は本家サンフランシスコの半分の規模までなったそうです。有楽町フォーラムを貸し切り状態です。いきなり余談ですが、この会場は建物の左右方向の行き来がえらく不便です。いったい何考えて設計したのかと思うくらいです。

今回は日本オラクルからブロガー枠でご招待いただきました。3日間通って、関連のエントリをいくつかアップする予定です。イベント名をOOWと書くのはオラクルさんとしてNGだそうで、エントリの頭に【Wendy】を付けることにしました。Wendyは日本オラクルの社員犬の名前です。木曜と金曜は会場で会えるそうです。

オープニングセッションは、日本オラクル株式会社の遠藤代表執行役社長でした。「不確実性の時代に必要とされる戦略--不況期に克つ戦略」がテーマでした。以下、要約です。

今のような時期に重要なのは、フレキシビリティー(柔軟性)です。お客様の課題や期待を正しくスピーディーに把握して、的確なレスポンスをしていくことが大切です。

最後の課題が「人の意識とスキル」です。一人一人のパワーとモラルを上げていく経営が問われます。日本の企業はオペレーションエクセレンス(現場の知恵)は強いのですが、これからはその上にマネジメントエクセレンスを積み重ねることが、勝利の原動力になります。マネジメントエクセレンスは、スマート(洞察)、迅速(素早さ)、協調がキーとなります。

人もITも変わらなければいけません。しかし、定額給付金システムの例を見てわかるように、変化に対応する力がありません。これはERPを入れることでは解決されません。既存システムとの連携があります。ITプラットフォームの標準化が必要です。これによって、イノベーションを起こします。

日本オラクルは、3つの要素、日本オラクル自身、パートナーとのトータルなエコシステム、ユーザ事例によって、イノベーションを起こしていきます。

15分の短い時間でしたが、「S・U・N」の文字は全く出てきませんでした。日本オラクルのWebサイトに出ているリリース以上のことはまだ話せないようです。

最後の課題が人の意識とスキルであるというのは、ITの会社の話としては興味深く思いました。やはり、最後は人のチカラなのですね。

4月26日追記

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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