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日経新聞などで、あいかわらず「百年に一度の」が経済危機の枕詞になっています。決まり文句は、思考を停止させます。いい加減に止めていただきたいところです。そもそも、百年に一度ではありません。

この言葉の始まりは、元FRB議長Alan Greenspan氏の2008年8月の発言です。

"The credit crunch of the past year has not followed the path of recent economically debilitating episodes characterized by a temporary freezing up of liquidity -- 1982, 1989, 1997-8 come to mind. This crisis is different -- a once or twice in a century event deeply rooted in fears of insolvency of major financial institutions.

This crisis was not brought to a closure by the world's central banks' injection of huge doses of short-term liquidity.

The insolvency crisis will come to an end only as home prices in the US begin to stabilise and clarify the level of equity in homes, the ultimate collateral support for much of the financial world's mortgage-backed securities."

Alan Greenspan氏は「百年に一度か二度のできごと(a once or twice in a century event)」と言っていたのです。日経新聞では、はじめは「百年に一度か二度」と書かれていましたが、いつの間にか「百年に一度」が一人歩きするようになってしまいました。

「百年に一度」と「百年に一度か二度」では、受ける印象が大きく異なります。百年に一度に当たってしまうと、一生に一度あるかないかのとんでもない不幸ですが、百年に二度なら「まあ一生に1回来るものならしかたない」と受け止めることができそうです。

さらに言えば、アメリカ合衆国は、1789年の建国以来、1929年の世界大恐慌を除いて経済的に右肩上がりで来た国です。その間の日本は、開国、明治維新、国庫が空になる3度の戦争、壊滅的な敗戦、バブル崩壊と大きな変化を体験しました。建国二百数十年のバブルの国の人が言う「百年に一度か二度」を、日本でそのまま受け取るべきではないでしょう。

不況でも、お腹は減りますからご飯を食べます。裸で歩くわけにいかないので服を着ます。マクドナルド、ユニクロ、ニトリは業績好調です。これらの企業に共通するのは、値頃感のある適正な価格で他にない魅力的な商品を売っていることです。不況のせいにしないで、自分たちで考えることが重要と思います。

「百年に一度」は、そろそろ止めませんか。

テクネコ

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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