« 2009年3月25日

2009年3月30日の投稿

2009年3月31日 »

60年目を迎えたF1グランプリの2009年シーズンの第1戦、オーストラリアGPが開催されました。

今シーズンから車両のレギュレーションが、大きく変更されました。昨年まで車体のあちこちから突き出ていた小さな空力パーツがなくなりました。また、フロントウィングの角度を走行中に変えられるようになって、ウイングの幅が大きくなりました。逆にリアウィングの幅は、狭くなりました。F1関係者から「まるでトラクターのようだ」と言われるくらい、頭(前)でっかちな見た目に変わりました。

新レギュレーションのシーズン第1戦となったオーストラリアGPの予選レースは、いろいろ波乱がありました。昨年のチャンピオンのハミルトンは、予定外でギアボックスを交換したことでグリッド降格になりました。トヨタのリアウイングは強度違反とされ、グリッド降格になりました。

結局、決勝レースの最前列は、ブラウンGPチームのバトンとバリチェロの2台になりました。ブラウンGPは、昨年末に撤退したホンダチームを引き継いだ新チームで、オーストラリアGPが初めてです。

レースのスタートでバリチェロが大きく遅れましたが、バトンは1位のまま順調に周回を重ねました。レース終了直前の土壇場で、2位と3位を走っていた車が接触して2台とも棄権になった結果、終わって見れば、ブラウンGPのバトンとバリチェロの1-2フィニッシュとなりました。チームデビュー初戦で最前列スタートから1-2フィニッシュで勝ったのは、60年の歴史で記録的なできごとです。昨シーズンまでのホンダチームの成績を考えると、想像できないくらいの大勝利でした。

この好成績には運だけでなく、技術的な裏付けがあります。旧ホンダチームは2009年を勝負の年と考えて、2008年シーズンを捨てて、早くから2009年のレギュレーションに沿った車体の開発を進めていました。そのため、他のチームと比べて完成度の高い車で第1戦を戦うことができました。

結果だけ見ると、「ホンダがもう1年頑張っていれば」というifも湧いてきますが、これは微妙なようです。ブラウンGPチームは、メルセデスのエンジンを使っています。このエンジンは昨年搭載したホンダのエンジンと比べて、パワーが70馬力以上あるのだそうです。今回の大勝利は、旧ホンダチームの関係者には複雑な心境かもしれません。

今回のレースを見て、「技術開発は目先の結果だけでなく、長期的に考えて続けていかないといけない」と感じました。業績悪化で安易にリストラしたり、目先の人件費削減で派遣社員に頼ったりすることは、企業の長期的な技術開発と継承にプラスにならないことは言うまでもありません。

第2戦以降は他のチームの車の完成度が上がってくるはずです。また、KERS(カーズ)と呼ばれるリアブレーキの運動エネルギー回生システムを使いこなして、パワーアップしてくるチームが出てくるでしょう。ブラウンGPは、今はKERSを使っていません。今後もKERSを使わないのか、使うのであればいつ実戦に投入するのかが、ブラウンGPの運命の分かれ目になるかもしれません。意志決定が裏目に出る可能性もあります。

勝つためには先を見通した地道な積み重ねが必要で、一度勝ったからと言ってこれからも勝てるとは限らない、F1と企業経営の共通点を見ました。

テクネコ

« 2009年3月25日

2009年3月30日の投稿

2009年3月31日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
techneco
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ