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米国では、今年に入ってから金融機関だけで10万人超が解雇されたそうです。すごい数の人員削減です。金融業界はIT業界のお得意様の一つです。この影響もあって、昨年から日本の外資系IT関連企業で、日本法人のオフィスを撤退したり、社員をリストラする企業が増えています。

外資系ITベンダーのリストラは今に始まったわけではなく、以前からよくあることです。これまではリストラに遭っても、別の外資系ITベンダーに、より高い給料とポジションで転職することが容易でした。私は今まで自分がリストラに遭ったことはありませんが、会社員時代は常に右肩上がりで転職を繰り返したものです。

ところが最近は事情が変わってきました。

まず、外資系ITベンダーが買収や合併を繰り返した結果、転職先になる外資系ITベンダーの数が減りました。しかも、サブプライム危機以降、米国本社の指示で新規採用を保留にしている日本法人があります。

また、新規に日本に上陸してくる外資系ITベンダーが少なくなっています。サブプライム危機の影響だけでなく、外資系ITベンダーにとって、日本市場を新規開拓する意味が小さくなっていることもあるようです。

海外で開発されたソフトウェアを日本で販売するためには、ソフトウェアとマニュアルの日本語化が必須です。これには費用と手間がかかります。日本である程度の売上を見込めるのであれば本社も投資しますが、日本も不況で大きな売上は期待できない状況です。そうなると費用がかかって利益が少ない日本よりも、英語版をそのまま売れる東南アジアの国の方が魅力的です。このため、日本に進出してくる外資系ITベンダーが減りました。ジャパンパッシングです。

結果として、外資系ITベンダーの元社員の再就職は、なかなか厳しい状況です。特に40歳を超えると、管理職以上のポジションが対象になります。管理職のポジションの数はもともと少なく、年齢が上がるほど再就職はたいへんです。

このような背景もあって、再就職ではなく、起業して自分の会社を作ろうと考える人たちが出てきています。

私は会社員を辞めてから約4年をサバイバルしてきていることもあって、起業を考える友人・知人から相談を受けることがあります。皆さんそれぞれに商品やサービスのアイデアを持っています。私のような小さな会社の経営者が起業の相談にお答えするのは僭越ではありますが、いつも1つだけアドバイスさせていただくことがあります。

それは、「自社の商品やサービスを決める前に、買ってくれる顧客を見つける」ことです。

いわゆるベンチャー系の起業で、やりたいことがはっきり決まっていて、外部から出資をふんだんに受けられるのであれば別ですが、やり直しの効かないミニ起業では、とにかく早く売上が立つことが最優先です。そのためには、こだわりの商品やサービスを準備万端用意して「ウチはこれしかやらないよ」というのではなく、お金を払っていただけるお客様が必要とするものは、何でも提供するくらいの方がいいと考えます。

マイクロソフトの成功は、IBMがIBM PC用のDOSを探していた時に、MS-DOSを売り込んだことが始まりでした。この時、マイクロソフトは以前からMS-DOSを開発していたわけではなく、IBMに言われてからシアトルコンピュータプロダクツのQDOSを買ってきて、そのままMS-DOSとして売ったのでした。買い手を見つけてから商品を探したのです。

「顧客が先に見つかれば苦労はしない」という反論はあるでしょう。先に顧客を見つけることがいかに難しいか、私もよく知っています。それでも「では商品やサービスを用意したら、いつ顧客は見つかるのか」を考えると、ミニ起業では困難であっても顧客を先にすべきと考えます。

一連の金融危機が日本の日常生活に影響してくるのはこれからです。この先、第二次就職氷河期が来ないとも限りません。1つでも多くの起業が成功して、雇用の機会を増やすことを期待しています。

テクネコ

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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