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ベンチャーキャピタリストでオルタナティブブロガーでもある辻俊彦氏の著書「愚直に積め!」を頂きました。
ベンチャー企業の社長向けに書かれていますが、普通の中小企業の経営者の方、大企業の管理職の方にもお勧めです。

成長できない会社の4パターン
①計画がない。
資金調達のために事業計画書は作るが、実際には数値化された実践的な計画がない。
②実行がない。
経営者がきちんとアクションプランを作成するという責任を果たしていない。個人の役割を明確に認識させていないので、現場はやるべきことをやらない。現場に責任だけを求めてはいけない。
③検証がない。
自己否定を避けるため、検証せずに新たな目標を設定する。したがって常に計画変更ばかりしている。検証をきちんとするコツは、責任追及と切り離すことである。
④検証が生かされない。
検証結果がどうであろうと、同じような計画を立て、同じようにやって、うまくいかないと外部要因に原因を求める。

私は独立する前は外資系ソフトウェアベンダーを中心に多くの会社で働いてきました。
成長できない会社の共通点は、まさにPlan-Do-Checkが適切にできないことにあると考えています。事前の計画を立てている会社は多くても、事後の反省と今後の対策をきちんとしている会社は意外に少ないのではないでしょうか。

事業計画を立て、目標を設定する目的は、目標を達成するためではなく、目標達成を目指してアクションを起こすことである。

目から鱗の指摘でした。目標達成はゴールであり結果でしかなく、まずはどうやって達成するか真剣に考えて具体的に行動するということが重要と理解しました。

お客様の立場に立って考えれば、トラブルの原因は、結果そのものにあるのではなく、事前の期待と結果の乖離にある。三越で買ったものと100円ショップで買ったものでは同じ不良品でもクレームの程度は大きく異なる。ベンチャー企業が最も注意すべきことは、顧客に過度の期待を抱かせないことであり、できないことは引き受けないことである。

当ブログの「顧客の期待を引き算してはいけない」にも書きました。ベンチャー企業の場合、顧客の期待値管理はたいへん重要だと思います。

「わかったのであれば、変わっていなければいけない」
行動が変わって初めて、わかったと言える。

頭や言葉で理解するだけではダメで、実際に行動が変わらないといけないということです。耳が痛い指摘です。

経営者のしごとは、ビジョン(夢)を示すことと金繰りに尽きる。夢を語り続けることにより、メンバーの行動にスピード感が生まれ、キャッシュが尽きない限り、継続的な企業活動が可能になる。

「ビジョン(夢)と金繰り」、経営者として自分も心しておきたいと思います。

私は、周りの人たちはみんな全知全能の賢者たちだ、という前提で、現実に起こっていることの意味や身の処し方を考えるように努めている。そして反対に自らは無知無能の愚者と位置づけてみると、とても滑らかに時を過ごせるようになってくるのだ。これこそ、自然体ではないか、と思っている。

これまでの経験では、会社の業績が悪くなってくると、「アイツは仕事ができない。あの人のやり方ではダメだ。」と互いに疑心暗鬼になってダメ出しをする人が多くなることがありました。他人のマイナス面に目がいってしまうのです。私は「ドイツモコイツモ症候群」と呼んでいます。このような時こそ、現在の手持ちのリソース(人、スキル)を最大限にプラス指向で組み合わせて、困難な状況を解決すべきではないでしょうか。自分を無知無能の愚者と謙虚に位置づけるのは難しいことですが、弊社の社風として実現していきたいです。

著者の経験の集大成ということで中身の濃い本です。駆け出し経営者の私には正しい意味をまだ理解できないことがありそうです。1年後に読み返してみたい本です。

4492501797愚直に積め!―キャピタリストが語る経営の王道・99
辻 俊彦
東洋経済新報社 2008-01

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テクネコ

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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