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モバイルシフトとソーシャル化によって変化するネットの世界を、読者と一緒に探検するBlogです。

« 2008年9月29日

2008年10月3日の投稿

2008年10月11日 »

手の中に収まるような小型の電子機器は、従来は日本のお家芸だったといえる。

しかし、インターネットサービスの連携を前提とした瞬間に、ハードの出来不出来よりも、非常に広大なネット世界を理解した上で精密に設計されたネットサービスと、そのネットサービスとのシームレスな同期のほうが重要となる。その結果、ハードウェア自体を比べれば優れたノウハウを持つ日本メーカーであっても、世界の潮流から置いてきぼりにされはじめる。ウォークマンのようなポータブルミュージックプレイヤーが負けたのはiPodがiTunes Storeとの連携によって光り輝くネット家電であったからだ。日本のケータイが負ける、と警鐘を鳴らすのは、iPhoneやAndroidケータイがインターネットを利用することを前提に設計されているからだ。

(日本のケータイが提供する”Web”とは、インターネットの海の中にキャリアが囲い込んだ池の中にあるようなものだ。インターネットの標準規格から外れたさまざまな仕様が混在する、偽物のインターネットを楽しんでいるにすぎない)

 

Googleは、従来型のブラウザーと比べれば機能点数においてヒドく見劣りするブラウザー Chromeを開発した。しかしChromeはPC上という限定的なプラットフォームに部分最適化されているのではなく、携帯電話やカーナビ、持ち運びを前提としたカーナビであるPNDなどにおける利用を考慮した、いわば全体最適化を目指したブラウザーであるということだ。Chromeは、僕が思うに、Linux版やMac版を作るより先に、モバイル用のエイジングや、カーナビ、PNDへの対応を優先するのではないか。

例えば、ストリートビューが話題になっているGoogle Mapsの米国版は、検索結果として得た目的地のURLを、携帯電話に送信できるだけでなく、ロケーション情報自体をカーナビに送信できる仕組みを有している。 メーカー別のGPS(現在は三種)への送信と、特定車種(現在はメルセデスとBMW)への送信が可能だ。ただし日本仕様車には適用できない。日本製のカーナビも対応していない。恐らく、ストリートビューをGoogleが作った最大の目的は、カーナビやPND、あるいはスマートフォン上での覇権を目指してのことだろう。ストリートビューは、実際に外出しているとき、あるいはクルマの中でこそ威力を発揮するサービスである。 そのためには、Googleのさまざまなサービスが動くことが保障されたブラウザーであるChromeを提供することが手っ取り早い。(恐らく、NIKE+とiPodというWebとハード(デジタルとアナログのシューズ)の組み合わせもまたヒントになっているのではないか)リアルとバーチャル、人間+社会生活とWebをシームレスにすることによってGoogleは最大化するのである。

 

さて、ここで感じるのが新たな危機感だ。

ケータイのガラパゴス状況を憂う人は少なくないが、それが意味する本当の危機を感じ取ってくれる人は多くはない。僕の別のエントリーへの反応をみているとそれが如実に分かる。

しかし、ケータイ以外にも本当にマズい、深刻なガラパゴスがもう一つある。それは前述しているモノ、カーナビだ。日本のカーナビは文字通りクルマに組み込みか、後から設置するにしても基本的にはクルマのパーツとして扱われているが、海外、特に米国のそれは、クルマを下りれば取り外して持ち出すのが基本だ。これをPND(ポータルぶるナビゲーションでバイス)という。PDA機能も当然持つものが多い。

(ふと思ったが、iPhoneはもちろんだがiPod touchはこのPNDになる可能性が高い。カーステレオとしての役割は既に持っているiPodだが、Google Mapsをベースにカーナビ機能を具備するのは時間の問題である気がしてきた)

日本に住んでいる限り、日本のカーナビの精緻さは素晴らしい、海外製品には負けない、と感じる人が多かろうが、海外では日本のカーナビは全く売れていないし、存在感はほぼゼロだ。日本の道路事情に最適化してしまっているがゆえに、グローバル市場への全体最適化がしずらいためなのだろう。また、国内ではPNDがあまり売れていないから、それに対する開発費もかけられない。

ただ、いまはまだカーナビはクルマの一つのパーツとして、機械としての主従関係があるからいいのだが、これがネット化すれば話は別だ。冒頭で述べた通り、クルマがネットオートモービル化したときに、クルマの性能もさることながら、インターネットとの接続、Webサービスのシームレスな利用のインターフェイスとしてのカーナビの重要性がより大きくなる可能性があるのである。

このとき、やはりGoogleかAppleが(もしくはこの組み合わせが)ネット側とそのインターフェイスとして強力なプレイヤーになる可能性は非常に高い。iPhoneがカーナビ機能を備え、僕のクルマと連動したら、音楽もカーナビもお任せにできる。電話の通話も可能になり、音声によるメールの読み上げや口述筆記も可能になるかもしれない。音声ファイルをそのままメールしたってイイ。素晴らしい未来じゃないですか!

(いや・・・やはりGoogleかな。Appleはどちらかというと”家庭”の中にフォーカスを先に当ててくる可能性が高いと思う)

メルセデスが、BMWが、トヨタが、Google Mapsを採用し、Chromeを搭載したPNDを本格的に採用することはあり得ると思っている。日本のカーメーカーは特に慌てる必要はないが、カーナビメーカーは相当に深刻な状況に陥るのではないか?

 

 

 

hiro

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プロフィール

小川 浩

小川 浩

株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。ソーシャルプランナーユニット「オガワカズヒロ」のクリエイティブディレクター。著書に「Web2.0Book」「仕事で使える!Facebook超入門」「ソーシャルメディアマーケティング」「アップルvsグーグル」など。

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