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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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2012年12月10日の投稿

2012年12月13日 »

 

iOS6の地図がどうしようもない代物としてリリースされてしまった話は既に旧聞に類する話ではありますが、その状況自体は現在も大きく改善された話では無い事も事実。Googleとの確執やら、Appleの関係者のクビがどうのとかの話は今でも流れつつ以前のように「チャンと使える地図」がリリースされるのをまっているユーザーは世界中に居るわけですが、そんな地図をそれでも信用して命に関わる事態がどうやら本当に起きているようです。

たとえば…

 

AFPが伝えた、オーストラリアの警察が「命に関わるから使わないで」と呼びかける事態

たとえば、このオーストラリア。行った事が無くても都市間にとんでもなく広く何も無い荒野が広がっているのは想像できます。私自身は30年近く前に一度行った事があるのですが、たとえばブリスベーンからシドニーに飛ぶ飛行機の眼下には何も無い荒野が本当に延々と続くわけです。そんなところで道に迷えば命に関わる話になるのは簡単に想像できます。

そして、現実の事象として、iOS6の地図を信用して向かった地点が本当の場所から70キロも離れた荒野だと知ったとき、そしてそこは携帯電話も通じず、水も食料もない場所であることが判った時点で既に自分の命に関わる事態が起きてる訳です。

パチンコガンダム駅www なんて笑ってる場合じゃありません。

 

提供者側が想像もしなかった社会的責任が巻きつく事があるということ

本来、スマートフォンなどで提供される地図はそんな役割を持ってるわけではないし、そのためにはキチンと「紙の地図とコンパス」や、GPSと連動した「専用のPND」や「きちんとしたカーナビ」を使えよという議論はあるかもしれません。でも、一般向けに提供されるそのシステムをユーザーがどんな意図でどんな使い方をするかを提供者側が厳密に規定することなどできる訳がありません。

ましてや、その機能を大きなウリとして扱ったとき。
更には「なんとかしますから」という報道が流れ続けるとき。

それがどういう状況なのか、既に改善されたのかなんてのを全てのユーザーに徹底させる事など無理な訳です。そうして既に事故が幾つも起きてる事の裏返しで存在する社会的責任と言うものをどこまで理解しているかと言う問題から逃げる事が出来ないと後から判るという流れ。

 

真正面から「社会的責任が~」と言ってしまうととても難しい問題に入り込むのは重々承知なのですが

ハードウェア、ソフトウェア、そしてサービスまで含め、ソーシャルな云々の世界の中で色々と社会生活のなかで便利だよねという何かが続々と提供されている訳ですが、とりあえず装置産業の末席で禄を食む私から見て「それは無責任に提供しちゃイカンだろ」と思うものが正直あります。もちろんユーザー側がそれを理解して使っていれば良いし、提供者側が責任範囲を明確に定義して提供していれば逃げ場もあるのですが、社会一般これでOKみたいな謳い文句と共にユーザーを増やしているサービスがあるのは事実なんじゃないかとは思います。

極端な話、インフラの話はインフラ屋がやるけれど、そこで提供されるものに不満があるなら上位レイヤーのサービスはウチを使ってね♪系のモノが多いのは事実。だからと言って、以前散々言われたインフラタダ乗り論をここで今一度ぶち上げる気は無いし、インフラ側も色々と事情状況その他諸々が変化していますから一概にこうするべきだとかは言いませんが、明るい未来に全力でGOみたいな話だけではないかも、という目でモノゴトを見るべきだとは思っています。

何れにせよ、これだけ選択肢がある世の中でどんなハードウェア、どんなソフトウェア、どんなサービスを選ぶのかというトコロは提供者側のディスクロージャーがキチンとなされてるのであれば最終的にユーザーの責任に帰するとは思うのですが、それらがキチンと機能しているかの検証を含めて簡単に見える話が実はそれだけでは済まないこともある、という事は頭の片隅においておく必要があるとは思います。

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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